ヒナ「お腹空いた…」   作:ひよりん

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第53話

「……これでいいかしら」

「確かに、では勾留中の生徒を…」

「毎度毎度悪いわね」

「いえ…し、しかし…ゲヘナ風紀委員会の…風紀委員長が、自ら来るのは…」

「……まあ、事情があるのよ、公安局長」

「…お互い、人手はいくらあっても足りない様ですね」

「そうね……」

 

(ガチャッ)

「迎えだ、出てこい」

「…おや、ヒナさん、今回もデリバリーは頼んでませんよ?」

「……はぁ…さっさと行くわよ、他の美食研究会のメンバーが待ってるわ、ハルナ」

「釣れませんね…」

「…そういえば、今回は何したのよ」

「シャーレに寄った帰りに定食屋さんに入ったのですが…冷えたフライを揚げ直しもせず提供して来たもので、ついカッとなってしまいました♪」

「……それは…そう…D.U.だと捕まるからゲヘナでやりなさい」

(ヒナさんも嫌なんですね…)

(ゲヘナならいいのか…)

 

「…そういえば、お腹空きませんか?」

「……」

「勾留中、一食ももらえませんでしたので」

「2、3時間しか経ってないんだから、当たり前よ」

「何か、食べたい物、ありませんか?」

「食べたい物、ね…」

無くはない、けど…

(…ハルナ相手に変に気を使うのも馬鹿馬鹿しいわね)

「この前油そばを食べに行ったんだけど、あんまり美味しくなかったのよ」

「なるほど…では美味しい油そばを食べに行きましょうか♪」

 

「……どこにでもあるラーメン屋じゃない」

「近場で油そばが食べられるお店が他にありませんでしたので」

「そう……」

(美味しくなかったらどうしようかしら)

「私が思うに、ヒナさんは油そばの食べ方を知らないのかと思いまして…あ、油そば二つお願いします」

「食べ方?」

「油そばはラーメンとは違います、よく混ぜて、油とそこに溜まった油とタレを乳化させて麺に纏わせなければ食べられた物ではないでしょう」

「にゅう…?」

「納豆の様によく混ぜると油がとろみをもつのです、ヒナさん」

「……よくわからないわ」

 

しばらくハルナの講義を受けたあと、運ばれて来た油そばを受け取った

「これを、そこの油を纏わせる様に手早く混ぜるんです、しっかり、よく…」

箸でどんぶりの底からかき上げる様に手早く混ぜる

しっかりと、全体に纏わせるように…

「このくらい?」

「もう少し混ぜたほうが美味しいですよ」

「…そう」

 

麺が多いし、具材もある、それらが重く箸に絡まってくる…混ぜにくい…

(…でも、なんだか…)

全体的に艶やかというか、ネットリとした質感…これが、乳化?

「そろそろ良いでしょう、さあ、どうぞ」

「いただきます…」

面を端で掴み、持ち上げる…ラーメンと違う、全体を油が包んでいるからかギラギラとした輝き、これが…

「ずずず……」

「どうですか?」

「…悪くないわ」

近いのは焼きそばだろうか、麺にしっかり味が乗ってるような、この感じ…だけど、太麺なのに喉越しがいい

 

(…すごく体に悪い味がするけど、これは美味しいわね…)

「くどく感じたらお酢もおすすめですよ、サッパリします」

「…ふーん」

お酢をひと回しし、よく混ぜて口に運ぶ

(……これは、いいわね、体に悪い感じが消えた気がする…)

「ヒナさん…?」

 

「…卓上調味料も多いわね」

「色々アレンジしながら食べるのも美味しいですよ」

「…オススメは」

「私はフライドオニオンが好きですが…このお店にはないようです」

「そう…まあ、あってももう遅いけど…」

(…スルスルと食べられるから、すぐ終わるのが難点ね…)

「…食べるの早くないですか…?」

「……えっ?」

 

「…そ、その、ヒナさん、なぜじっとコチラを観ているのですか?…食べづらいのですが…」

「逃げられたら困るでしょ」

「えっ」

「……はぁ…一応断っておくけど、今回は前みたいに逃すつもりはないから」

「そ…そんな……」

「往生しなさい」

 

しっかりハルナを牢屋に入れた

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