ヒナ「お腹空いた…」   作:ひよりん

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第56話

「あれ、委員長…まだ書類残ってるの?」

「イオリ…食堂の帰り?」

「うん、忘れ物しちゃって……っていうか、早く行かないと食堂閉まるんじゃ…」

「そうね、そろそろ行くわ、今日はなんだったの?」

「あー……魚のフライ、あんまり美味しくなかったな…」

「…そう」

「揚げおきしてたみたいで衣がギトギトでさ、魚のみも脂っこくて…」

「……最悪ね」

(今日は特別メニューもないし、フウカには悪いけど、忙しかったことにして他所で買ってこようかしら…)

「…外食べに行く?」

「……おとなしく食べてくるわ」

 

いつも以上に重い足取りで食堂に向かう、ハズレを引くとわかっていると…どうしても気が滅入る

(何か起きたり…)

こういう時に限ってゲヘナは平和だ

「いつもは蕎麦を食べる暇もないのに」

 

(ガチャッ)

「あ、ヒナ?」

「お疲れ様です!風紀委員長!」

「遅くに悪いわね、一人前ある?」

「ありますよ!」

魚の唐揚げとサラダ、お味噌汁、それからご飯とお漬物が乗ったお盆を受け取り、誰もいない長机に腰掛ける

 

(…あれ?)

魚の唐揚げからは…意外と良い匂い、湯気も立って、温かそうで…

「…いただきます……カリッ…うん…?」

(…おい、しい…?)

 

「カリッ…はふ…」

ふわふわの白身に程良く醤油の効いた衣、ご飯を追いかけるように口に詰め込む、これがまたよく合う…

「ずずず……ふう…お味噌汁、薄いわね…」

ドレッシングをよく和えて、サラダを頬張る、そして唐揚げ…ごはん、お味噌汁…お漬物、ごはん…

 

「…はぐ…もぐ……」

「そんなに焦って食べなくてもいいのに…」

「…フウカ、なにそれ」

正面に座ったフウカの手元には…ボウルいっぱいの生野菜…

「…余り物」

「お隣失礼します」

「…今から晩御飯?…2人も大変ね」

「お互い様、ってね」

「ですね!」

 

「…ところで、その…この唐揚げだけど」

「え?何?」

「骨が残ってましたか…?」

大量調理が基本の給食部では揚げたての料理なんて出せないのは当然、仕方ないとは思うけど…

「いや、その……自分の分だけ揚げ直すのはどうなの…?衣も身もギトギトだってクレームが…」

「そ、そんなセコい事してないわよ!?少し待ってくれたら揚げ直すって言ったのに、みんな「いいから早く!」って聞かないから…」

「ああ…そう…その、ごめんなさい…」

「いえ…」

 

やや気まずい空気で完食した

「ごちそうさま、おいしかったわ、ありがとう」

「こちらこそ、頑張ってね!」

「お疲れ様です!」

 

「……他のみんなも、ああやって一言くれれば良いんだけどね…」

「ですね…」

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