ヒナ「お腹空いた…」 作:ひよりん
「…お肉が食べたい」
「肉…焼肉とかですか?」
「それもいいわね、今度風紀委員会で行く?……冗談よチナツ、そんな嫌そうな顔しないで…でも、なんていうかこう…」
…焼肉をお腹いっぱい食べるのもいいけど、そうじゃない
「大きなお肉の塊にかぶりつきたいのよ…」
「は、はあ……」
「一口大にカットされたお肉じゃなくて、口に収まりきらないサイズにかぶりつきたい、そういう日、ない?」
「……わからなくは、ないですが…」
「…お昼、なんだったかしら」
「トンテキだった気がします」
「…いいわね」
「…そろそろ良い頃かしら」
時計は既に正午を大きく回り、もうすぐ一時
慌ただしい食堂もそろそろ落ち着く頃…
「お昼食べてくるわ」
「わかりました」
アコにそう伝え、さっさと用意をして食堂に向かう
(トンテキ…分厚いのが良いわね…)
脂身がたっぷりで、筋の辺りが食べたい気分、固いお肉を顎を使ってかじりたいような…
「まだいい?」
「あ、風紀委員長…どうぞ!」
ジュリに促され、トレーを取り、食事を並べる、メインディッシュは大きなトンテキ…
「…珍しい形ね」
浅く4つの切り込みが入り、手のひらのように広がっている…
「ね、変な形だけどこれがレシピ通りなのよ」
(…作る側としてそれで良いの?)
席につき、手を合わせて…
「いただきます…」
早速お肉を…
(ズズン…)
…食堂が大きく揺れる
(地震?いや、爆発ね……はぁ…)
「すみません!ヒナ委員長は居ますか!?美食研究会が…!!」
「わかってる、すぐ行くわ…」
銃を担いでさっさと事態の鎮圧に向かう
「…で、なにがあって爆破したのよ、チュロスのキッチンカーだったかしら?」
「衛生面の問題がありまして、そのまま営業してるのを見逃すのは美食研究会として…」
「……はぁ…ハルナ、ひとつ言わせてもらうけど」
「はい?」
「美食研究会がキッチンカーを爆破した事で私も被害を被ったの、何かわかる?」
「…ランチが遅れた、でしょうか…」
「爆発の振動でホコリが舞って、食事にかかったのよ、今日こそは容赦しないわ」
「……今までに容赦があったのですか?」
「…ようやく食べられる…」
「お疲れ、温め直すからちょっと待って」
「もういいわ、面倒だし……いただきます」
フウカの申し出も無視し、さっさと箸でお肉を掴み…
「はぐ……ん…固い…」
すっかり冷めて、硬くなった肉を噛みちぎる
「……はぁ…」
モゴモゴと口の中で噛み締める、醤油とニンニクベースのタレが滲み出て、これがまだ温いご飯とよく合う
「…ふう……ずずず…」
お味噌汁を飲み、キャベツの千切りを肉のタレに絡めて口に運ぶ、そして白いご飯…
「…ふふ…お肉要らないわね…要るけど」
冷え固まったお肉を噛みちぎり、噛み締める…
脂の香り、そして甘味…ご飯を口にどんどん継ぎ足す
最後に残った、脂と肉の境の筋を口に運ぶ
(これが食べたかった…)
柔らかいけど、食感があって噛みきれない
それを何度も何度も噛み潰しながら、ご飯やキャベツとぐちゃぐちゃにして、呑み込む
「……ふう…ごちそうさま」
「今更だけど、本当に温めなくて良かったの?」
「冷えて固くなったお肉もたまにはオツなものよ、悪くないわ」
「……最近益々ハルナみたいになってない?」
「えっ……というか益々?え?」