ヒナ「お腹空いた…」 作:ひよりん
「……はぁ…これは、今日も遅くなりそうね」
もうそろそろ陽が落ちる頃、今日は食堂も吹き飛んでやってないし、となるとご飯は自分で用意するしかない
(カップ麺でも食べようかしら…)
ガラッ…戸棚を開くと……
「…なんで、ないの?」
いつの間にかカップ麺が尽きてる…しかも、他のレトルト品もない…
「……買わなきゃ」
普段は誰かしらが備蓄品を買い足してくれる
それがたまたま遅れた?…だとしたら、最悪のタイミング…
「…はぁ……行くしかないわね」
…というわけで
(こんな時間に来たのは久しぶりだけど、賑やかね、スーパーマーケット…)
「…出来立てのお惣菜、いいわね、たまにはこれも……?」
「お、お鍋はどうですか…?」
(……この声は…)
「鍋、いいね…ただ、野菜が高い、かも……豆腐、こんにゃく…でも、せっかくの誕生日に…ううん」
あの後ろ姿は、見たことがある…
「あなた達、何してるの?」
「えっ」
「……空崎ヒナ…?…なんで、ここに…」
(鬼方カヨコ、伊草ハルカ、便利屋68のメンバーね…)
「私は買い物だけど…で、何してるの?」
「…アルが誕生日だから、買い出し」
「ふうん…そうなの、陸八魔アルが…」
だから、わざわざスーパーで食材を揃えて料理を…?
たまに野宿をしているという話も聞いていたけど…やはり金銭面が苦しいのだろうか
「そっちは?」
「…今日も遅くなりそうだから、夕飯でも、買おうと思って…夜遅くだとスーパーがやってないから」
「……」
「なんで黙ってるのよ」
「いや…」
「ええと…」
憐れむような目が突き刺さっている気がする…
もう、今更と慣れていたけど…こういう反応をされるとなんだか辛い
「…はぁ…まあいいわ、じゃ、私は行くから」
「…誕生日、ね…」
乳製品コーナーの一角にある、洋生菓子売り場を眺める
(…このショートケーキ、昔はもう少し安かったと思ったけど…まあ、いいわ)
2切れをパック詰めしてあるケーキを3つ、カゴに入れる
そしてカップ麺を2つと鮭おにぎりを手に取り、会計を済ませ、出口で少し待つ
「あれ?」
「…あ(ジャキッ」
「構えなくていいわ、コレ」
「…ケーキ?なんで」
「…一応、後輩の誕生日になるわけだし…あまり問題は起こさないで、それじゃ」
「…ありがとう」
「あ、ありがとうございます!」
委員会の部屋に戻り、ポットのお湯をシーフードのカップ麺に注ぐ
蓋の上におにぎりを置いて重石にし、3分待つ…
ソファに体を投げ出し、テーブルの上に置かれたケーキを眺める
(………)
カップ麺の蓋を開け、軽く混ぜてすする
「いただきます…ずずず……はぁ…シーフード、いいわね」
このふやけた細い麺に絡むタコや卵がいい味を出している
「はぐ……うん」
おにぎりも、海苔がパリパリしていて美味しい…このまま全部食べてしまいたいけど…
わざわざ鮭おにぎりを選んだのにはちゃんと理由がある
「ふー、ふー……ずずず…はふ…」
麺を一通り食べ尽くしたら、今度はおにぎりをカップに入れ、崩してよく混ぜる
「できた、シーフード雑炊…はふ…はぐ…うん、おいしい」
鮭おにぎりを選んでよかった、雑炊全体としては味は濃くない、でも鮭のほぐし身の塩気が程良くアクセントになって…
「…うん、美味しかった…」
「…ケーキ、どうしようかしら…」
ケーキは冷蔵庫で寝かせた