ヒナ「お腹空いた…」 作:ひよりん
「はぁ〜……お・な・か・空・い・た・なぁ〜…っと☆」
空腹に耐えかねて冷蔵庫を開け、中身を物色する
(今日は…甘いの欲しいかな?甘いもの甘いもの……あ、これは…)
「…ティラミス…うんうん、全然アリかも!」
ティラミスの入ったタッパーを手に取り、持ち出す
(でも、こんな容器使うなんてナギちゃんらしくないか、も──)
「ミカさん?」
「……わーお…☆」
「わーお☆じゃありません!早くそれを返してください!」
「…で、だけど…ナギちゃん!それ誰からの貰い物?手作りだよね?だよね?!」
「人からの貰い物だと分かった上で、盗ろうとしたんですか?」
「いやいや、人聞き悪いこと言わないでよ!ナギちゃんのじゃなかったらつまみ食いなんて!」
「私のでも……やめなさい!」
「もごぉっ!?」
「と言うことがありまして、どう思いますか?」
「……ふっ」
「あー!笑った!セイアちゃんそれは酷くない!?」
「いやいや失敬、ティーパーティーともあろうものが、つまみ食いなんてね」
「…いや、みんなは好きな時におやつが食べられるかもしれないけどさぁ…私は休日に炎天下の中草刈りしても、アイスティーもクッキーもないんだよ?」
「…まあ、それは仕方ないのでは?」
「そうだね」
「酷くない!?」
「…まあ、せっかくですし、今日のお茶会はコレをいただきましょうか」
「良いのかい?ナギサ宛のお菓子だろう」
「しかも、タイミング的に誕生日プレゼント的な…?」
「構いませんよ、コレをくれた方もこのくらいでヘソを曲げるような人ではありません、それに…」
「それに?」
「いえ、なんでもありません」
(もし、エデン条約が結ばれていれば…というのは、あまりにも荒唐無稽な話ですしね)
「ティラミスは久しぶりだが、クリーム系のケーキか…」
「ええ、せっかくですし、今日はディンブラのストレートを如何ですか?」
「渋めだがよく合いそうだね」
「じゃあそれにしよ!」
ティーポットに茶葉と熱湯を注ぎ、コージーを被せてよく蒸らす
それぞれのカップに紅茶を注ぎ、タッパーを開けてティラミスを掬い上げ、それぞれのお皿に盛り付ける
「ふむ…美味しそうだね」
「お先にいただきます」
2人に目配せをしてからティラミスを少しだけ掬い、口元に運んで香りを確かめ、口に含む
「…ふむ……美味しいです」
紅茶を口に含み、相性を楽しみ、嚥下する
それを見てようやく2人も食べ始める
「これは…うん、いいね…ビスケット生地も華やかなバターの香りがまだ感じられる、エスプレッソと合わさって実に良い香りだ、それに…やはり紅茶にも合う」
「マスカルポーネのクリームもすっごく濃厚で甘めなのがいいかも!ちょーっとチープな気もするけど」
「ミカ、君は相変わらず」
「いやいや、素直な感想言っちゃダメなの?」
「…ふぅ……ふふっ」
「ナギサ、どうして笑っているんだい?」
「もしかして具合でも悪かったりする?」
「いえ、そう言うわけではありませんよ」
「…実は、今日のティラミスなのですが」
「あ、美味しかったよ!ナギちゃんからお礼言っておいてよ!」
「私からも頼むよ、いや…逆に気を遣わせるかな」
「ええ、わかりました」
(…まあ、今は良しとしましょうか)
『──と言うことがあったんです!』
「待って、ちょっと理解できないんだけど」
『凄く評判が良かったので、また機会があれば作っていただけませんか?』
「待って、話を聞いて、桐藤ナギサ、あなた何を言って──」
(私の知らないところで、何が起きていたの…?)