ヒナ「お腹空いた…」 作:ひよりん
「……お腹減った」
ふとカレンダーを見る、もう7月も終わりの良い頃合い
(今日はそうめんでも……ああ、そういえば)
「ウナギ、今年も食べてないわね…」
とはいえ、もう丑の日も過ぎたし、わざわざ買って食べるのもなんだかめんどくさい
切ってご飯に乗っけるのすら面倒に感じる、だけど、それでも…
「…今日は、ウナギね」
「ウナギですか?そう言えば今日は食堂がうな丼だとか…」
(それは最高ね……でも、予算大丈夫なのかしら…)
「委員長!美食研究会が食堂を襲撃しました!!」
「…理由は」
「食堂のうな丼がウナギの蒲焼き風の、イワシの蒲焼きだったと暴動を…!」
「…うん、そんなことだろうと思ったわ」
「委員長助けて!!温泉開発部が川の周辺を掘削して苦情が!」
「美食研究会をつかま……全滅させたらすぐに行くわ」
「申し訳ありません委員長!万魔殿の議長が委員長に要件があると…」
「キキキッ!オイ、ヒナ!今日は──「邪魔しないでくれる、忙しいから」──…わ、わかった」
(…珍しく素直に引き下がったわね、まあおかげでこれ以上は仕事が増えない…)
「委員長ー!!!」
「……はぁ」
(今日は、もうダメね)
執務室に始まり、ゲヘナを東へ西へ、北と南もついでに掃除して、あとは自治区の外も回って…
(…疲れた)
「……もしもし?今日直帰するから、うん、あとは明日やりましょう……え?もう委員会は誰も残ってないの?…そう、お疲れ様…ごめんなさい」
ふと辺りを見回すと、もうすっかり暗かった
(忙しくて全然気が付かなかったわ……こんな時間じゃ、もうウナギを食べる手段なんて…)
「……いや、ある」
「いらっしゃいませー」
「うなぎと牛丼の盛り合わせ、ご飯大盛りで」
「かしこまりましたー!」
注文してすぐに運ばれてきたのは、ウナギの半身と牛丼の具が乗ったアンバランスなどんぶり…
だけど、そう、今はコレがほしかった
なぜか牛丼屋さんにあるウナギが、食べたかった
「いただきます…はぐ、はふはふ…むぐ」
ホロホロでフワフワ、甘辛いタレのウナギをご飯と一緒に頬張る
(…ようやく食べられた…夏の風物詩ね…)
うなぎを頬張り、さらに牛丼を続けて頬張る
(……別々でいいわね、おいしいけど)
ふわふわのウナギと対照的に、噛み締めるほど反発してくる牛肉
どちらも美味しいけど、これを合わせようと思った人の気が知れない
(美味しいけど、なんでこんな…美味しいけど…)
「ごちそうさまでした…はぁ…」
(…いっその事、片っ端から制圧してみようかな…)