ヒナ「お腹空いた…」 作:ひよりん
「……はぁ、少し、冷えるわね」
ゲヘナは火山の影響で地熱があるから冷えにくいとか誰かが行っていた気がするけど…
陽の光が落ちて冷え込む夜遅い時間にそんな物は微々たる物でしかない
(…こう冷え込むと、あれね……グラタンが食べたい…)
アツアツで、やさしい味のグラタンを食べたい…と、数日前から思っていた
なのでお昼にセナを誘ってファミレスに行き、グラタンを食べるはずが…
何故かドリアを食べ、紛れたはずだったのに欲求が再燃した
(…やっぱりマカロニがないのが良くないわね、あのマカロニが大事…あとミートソースはいらない…)
ということで食堂に…
「特別メニュー、よろしく」
「……」
残業中のフウカがあの目で抗議してくる、正直居残りしているとは思っていなかった
「今度手伝うから」
「なら今手伝って、とりあえず作るのも手伝って…」
疲れ切った様子のフウカに大人しく従い、キッチンに立つ
「マカロニと、牛乳…小麦粉にバターとチーズ、あとは…鶏肉と…野菜…ブロッコリーもいいわね」
そう呟きながらフウカはオーブンを予熱し、マカロニを茹で、そしてその間にフライパンに小麦粉とバターを入れて熱しながら練る
(…バターの匂い…いいわね)
「火が通ったら一旦お皿に避難…ヒナ、ぼーっとしてないでお皿出してくれる?」
「マカロニが柔らかくなったらザルにあけて、そのお湯でブロッコリーを茹でて…ねえ、そっちやってくれない?」
「わかったわ」
フライパンに塩胡椒で下味をつけた鶏肉、玉ねぎ、にんじんを入れ、強火で表面を焼く
焼き色がついたら牛乳を入れて煮込む
(…もう食べられるわね…)
コンソメと塩胡椒で味を整えて…
「これどのくらい煮込めばいいの?」
「スプーンにまとわりつくくらいのとろみになったらブロッコリーとあわせてそこのトレーに入れて」
言われた通りマカロニが敷き詰められたステンレスのトレーにグラタンソースを注ぐ
たっぷりのチーズがふりかけられ、そしてオーブンで焼き上げられる…
(…お腹が、限界……)
「…ヒナ、次」
「え?」
「コレを、明日のお昼に出せるくらい作るんだからね?」
「……そう、わかったわ」
徹夜が確定した
しばらく牛乳煮込みを量産しているうちに、グラタンが焼き上がる
「とりあえずこれは完成…とりあえず、食べる?」
「そうね、早く食べましょう」
フライ返しでトレーから掬い上げられたグラタンがお皿に置かれる
…トレーで作った時点で考えてはいたけど…こうやって食べることになるとは
(……私の知ってるグラタンじゃない…まあ、いいか…)
「「いただきます」」
まだ口に運ぶのを躊躇うほどの熱さのグラタンをよく冷ましながら食べる
「はふ……ほふ、ほふ…もぐ…うん、美味しい」
熱々で、チーズとホワイトソースがトロリとしていて…鶏肉も、ブロッコリーも、玉ねぎもにんじんもいて…
何よりマカロニがたくさん入っている
(コレが食べたかった…うん、最高…)
パンにグラタンをたっぷり乗せてかぶりつく、香ばしいチーズの香りがいい
「美味しい…けど、これを後…1000…いや、2000人前作るの…?」
「…せめて食べ終わってからにして」
お昼ご飯として出されたグラタンは、時期が早いと不評だった