ヒナ「お腹空いた…」 作:ひよりん
「ヒナ、今日暇?」
「……暇に見える?」
「みえないけど…?」
「…イオリ、フウカを送り返して」
「わかった、ほら、行くぞ」
フウカの両脇を抱えたイオリが部室を去って、山のような書類を進め始めてから……
10分…20分……どれほどだった頃だろうか
(帰ってこない…あれ)
モモトークを確認すると…
[助けて委員長!!]
「…結局こうなるのね…」
はぁ…と大きなため息をつき、重い腰を上げる
「……何してるの?」
食堂に行くと、そこには涙目のイオリと忙しなく動き回ってるフウカ、そして大鍋をかき回しているジュリ…
「助けて委員長!もう玉ねぎは嫌だ!」
「玉ねぎ……どう言う状況?」
「見ての通り、調理中…」
「なんでイオリが手伝ってるのよ…」
「メニューをイオリの希望通りにしたから」
「…そのメニューって?」
「ミートボールスパゲッティ…まだミートボールすら完成してないけど…」
「……はぁ…手伝うわ」
「豆腐とひき肉、塩、玉ねぎ、片栗粉、それから卵をよーく混ぜ合わせて…しっかり粘りを出して…」
「味をつけたタネを手に取って、搾り出すようにして沸騰手前くらいの熱いお湯に落とす…」
「…委員長、手際良くない…?」
火が通ったミートボールをお湯から出して、トマトソースに入れて煮込む
そして茹で上がったパスタと絡めて…
「あとはサラダとパンを添えて完成…!間に合った…ありがとう2人とも!」
(疲れた…)
「じゃあ、また後で食べにくるから」
「えっ?…委員長、もうこのまま食べて行かない…?」
「出来立ては調理人の特権だしね、すぐ用意するわ」
「…ありがとう」
出てきたのはサラダ、スパゲッティ、それからパンが1つ
「…こう見ると質素だな…」
「まあ…予算の都合でしょ」
「「いただきます」」
スパゲッティをフォークで巻き取り、口に運ぶ
「…もぐ…おお、美味しい!」
「あぐ…いいわね」
普通のトマトソースのスパゲッティと違ってコクというか、旨みがあるというか…
「はぐ…うん」
ミートボールをまるまる1つ口に含むと、これだけでご飯が食べられそうなくらいしっかりとした味
「…お弁当用のミートボールとは結構違うわね、どっちかというと…ハンバーグみたいな」
「アレもアレで美味しいんだけどね、こういうのにはこっちの方が合うでしょ?」
確かに、スパゲッティと一緒に食べた時も存在感がある、お肉の香りとつぶつぶした食感が主張してくる
「そうね、美味しいと思う」
「手伝った甲斐あったでしょ?」
「「……」」
「…何か言ってよ」
その日の夕飯は少し物足りなかった