ヒナ「お腹空いた…」 作:ひよりん
「…とりあえず、ひと段落か」
昼下がり、大量に積まれた書類の山を眺めながらコーヒーを口に含む
(…今日も遅くなるわね、これは)
そう考えていると、委員会の部室をノックする音が聞こえた
「失礼します、風紀委員長は……居られるようですね」
「イロハ…?」
万魔殿が、風紀委員会に要件となると…
(面倒ごとの予感…)
「実は、お願いしたいことがありまして…」
「…何」
「これから芋掘りがあるのですが、風紀委員会に護衛を依頼しようかと」
「…芋掘り、そう、それで何で護衛?」
「給食部管轄の畑を使う予定が、何度か爆発したり燃えたりしたと聞いて、マコト先輩が…」
「あー……」
(そういえば、前にイオリが巻き込まれてたわね…そうそう無いとは思うけど…)
「わかったわ」
「とれたー!」
イブキが大きなサツマイモを掲げると、黄色い悲鳴とシャッター音…
「さすがイブキちゃん、1番大きいわね」
「次の特集の見出し、これに決めた!」
「キキキッ、いいぞ!」
(元気ね…こんなにさむいのに…)
それにしても、片っ端から芋を掘り起こしているけど…
(あんなに食べ切れるのかしら、いや…普通に食堂のメニューに使うか…)
…何がいいだろうか、甘露煮、天ぷら、シンプルに煮物に入れてみるのもいい…
大学芋なんてのも悪く無い…芋けんぴやポテトチップスなんて手も…
(フウカに頼んで、夜食にはスイートポテトでも用意してもらおうかしら…)
「……あれ」
いつの間にか、何かが焼けるようなような匂い…万魔殿の生徒が焚き火を起こして…
「…ここで焼き芋までしてるの?」
「まあ、ついでなので…よければ風紀委員会もどうですか?」
「ありがとう、みんなで頂くわ」
部室に着く頃にはやや冷めて、でもまだほのかに温かい焼き芋をみんなに配る
「珍しい、どう言う風の吹き回しでしょう?」
「万魔殿も普段から、もっと気を遣ってくれればいいのですが」
「まあ、たまには良いんじゃない?」
「いただきます…はぐ…うん、いいわね」
ねっとりと舌にまとわりつくような甘いお芋、噛み締めるほどに解けていく繊維を感じる
「甘くて美味しい…久しぶりに食べましたが、美味しいです」
「少し遅い気もしますが、季節感があっていいですね」
「…ところで、委員長は皮は食べない派なんだ?」
「え、皮ごと食べるの…?」
「まあ、これは柔らかいけど、パリッとしてて美味しいやつもあるし…」
「栄養価も高いですからね、ただ食べ過ぎも良く無いですが」
「へえ…まあ、また今度ね」