転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた   作:大きいホクロ

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棘も含めてが美しささ

ファイティングライフ 竜神懐星 収録カード
『赤薔薇の奏者』フレーバーテキスト


置いてきたキャラが本編に登場するまでの間

「さて、総帥とやらを拝みに行くか」

 

「待って!」

 

「なんだ?」

 

赤髪がふらつきながら立ち上がり、振り絞ったような声で俺を呼び止めた。

 

「私も、行くわ…」

 

「やめとけよ。ふらついてるぞ」

 

「それでも、私はアイツを…ユウキを1人にしたくない」

 

「そうっす!俺も、行くっすよ…」

 

「私も、ユウキ君の所へ行きたい!」

 

水瀬ともう1人も行きたいらしいがボロボロだ。

だいぶ無理しているのがひしひしと伝わってくるほどに。

 

「どうやってこのタワー登る気だよ、結構高いぞここ…」

 

「気合いでなんとか、なるっての」

 

立ってるのもやっとであろうふらつきなのに強がっている。気持ちは尊重してやりたいが流石に危ない。

 

「私が連れて行ってやろう、雅マコト」

 

「きゃっ!?ちょっ…ちょっと!」

 

「は?」

 

副総帥が赤髪、雅をお姫様抱っこで抱え上げた。小学生の女子とは言えダメージを敗北分喰らったのに持ち上げてるのはタフさを感じる。

 

「お前敵だろ」

 

「私も総帥の戦いは見届けたいのさ、だからついでだよ。君ももう一人の少女を支えてやれ」

 

「は?なんで俺が…」

 

「そこの少年は…おいそこに居る一般団員、その少年を支えてやれ」

 

「お、俺ですかい!?」

 

俺を案内してきたオッサンじゃないか…。

結構置き去りにしていたのに残っていたことに少し呆れを感じる。

 

「ほら立てよ…」

 

「あ、ああ、ありがとうっす…」

 

ちゃんと支えるのかよ…。

 

「あ、悪道君…お願い、できるかな?」

 

オッサンがもう一人の語尾がすの奴を支えるとなると俺は当然水瀬担当になる。

水瀬は申し訳無さそうにしているが、支えられながらでもタワーを登る気は曲げないらしい。

 

「はぁ…乗りかかった船だ」

 

肩を貸して歩き出す。

女子との至近距離での触れ合い、前世の思春期真っ盛りだった俺だったらドキドキしていた筈だがあまりそう感じない。これも幼少期の体に精神が引っ張られてるせいだろう。

 

「ありがとう、また助けられちゃった」

 

「…お礼を言われる事はやってない」

 

「してるよ、しっかりと…」

 

オドオドしている癖に頑固な奴だ。

俺はそんな水瀬が苦手かもしれない。

 

「おーい置いてくっすよ」

「早く来いよ悪ガキ」

「ちょっと降ろしなさいよ!」

「落ち着きたまえ、危ないだろ」

 

気が付いたら他の連中は既にタワーに入ろうとしている。

 

「ほら、行こう悪道君」

 

「ああ、勝導の面拝みに行くか」

 

 

 

 

「この団員専用のエレベーターに乗ればすぐだ」

 

「なあ、これ肩貸す必要あるか?」

 

階段で登ると思っていただけに拍子抜けだ。

エレベーターなら別にボロボロのこいつらでも大丈夫だろ。

 

「そうよ!降ろしなさいよ!」

赤髪こと雅マコトも抗議する。

 

「まだ立ってられないだろう。大人しくしてろ」

 

「あんたのせいで立てないってのに…」

 

「あ、悪道君…、私もまだちょっと立ってるの辛いから、もう少し肩貸して欲しいな…」

 

「2人とも体力ないっすね〜」

 

「お前は流石男の子って感じだな」

 

「ぶっちゃけオッサンの体臭ちょっときついっすから立ってた方がマシっす」

 

「なんだと!?」

 

「体臭には気を付けろ。副総帥命令だ」

 

「…そんなぁ…」

 

………騒がしい。

そんな騒がしさを受けながらエレベーターはタワーを上がっていく。

 

「というか悪道はなんでここにいたんすか?」

 

「言われてみればそうね。なんでここに居るのよ」

 

「こいつカチコミかけるつもりだったんだぜ?負けてボロボロの俺を無理やり案内させて、とんだ悪ガキだよ」

 

言いたい放題言いやがって…。

 

「それは負けたお前が悪い。鍛え直したまえ」

 

「副総帥がキツイ…」

 

「ははは…悪道君らしいね」

 

「というか悪道!リンと近すぎよ、離れなさい!」

 

雅が思い出したかのように言ってくる。

当の本人は副総帥にお姫様抱っこされたままだが…。

 

「は?…いやまあそうだな」

 

確かにちょっと距離が近すぎるか。

エレベーターに乗ってから水瀬は俺に寄りかかっている。だいぶ消耗しているのだろうと思って流していたが良いタイミングだなと思い離れるよう促そうとする。

 

「…もう少し、このままでいさせて欲しいな」

 

弱々しくそう言われたら流石に払いのける事はできなかった。

頂上までの異様な全員のテンションの高さは、それぞれの不安を払拭するための物なのだろうと、体に伝わる少女の震えから感じた。

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