転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた   作:大きいホクロ

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貴方の話、聞かせて欲しいな

ファイティングライフ 竜王決戦 収録カード
『憧憬の癒し手』フレーバーテキスト


次シーズンへの準備の平和な時期

 

「…君もカードゲームやってるの?」

「一緒に遊ぼうぜ!」

 

「…君は強いね!」

「流石…君!」

 

「ははは、強いね…君」

「俺じゃ相手にならないや、流石だな」

 

「……そのデッキ使われたらそりゃ勝てないよ」

「ガチデッキなんて使って楽しい?」

 

目を覚ますと涙が流れていた。

この薄れつつある前世の夢で涙を流す度、俺が俺だと安心できる。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「書き留め?叔父さんからか…内容は………」

 

ある日届いたその手紙に書かれていたのは俺の進路についてだった。

母さんが死んでから俺の面倒を見ている叔父からの。

 

 

 

 

「悪道、そろそろ願書は出したかしら?」

 

「…出したよ」

 

昼休み。今日も今日とて暇なのか捻咲が俺のクラスにやって来ている。

 

「まだ出してないですって?聞きなさい!貴方の実力があればあの学園に行け……今なんて言った?」

 

「出したって言ってるんだよ……」

 

「公立の中学にイタズラで出して来たとか言うオチじゃあないでしょうねぇ?」

 

「ちゃんと例のFL学園にだよ…」

 

「悪道、私は嬉しいわ」

 

捻咲はわざとらしく目元を拭う嘘泣きのジェスチャーまでしている。

こいつこの年にしては言動が中学生みたいな方向でやかましいんだよな…。この年にしてとか言うと俺自身に刺さって痛いな…。

 

「なに親みたいなこと言ってるんだよ気持ち悪い…」

 

「さあ、そうと決まれば今日も練習するわよ!昼休み終わりまで付き合いなさい」

 

「はいはい…」

 

捻咲は意外なことに俺の心情の変化については聞いてこなかった。こいつはなんだかんだで踏み込んでくる所を弁えている。

それはそれとして、今日も俺の勝ちだった。

 

 

「おやぁ?悪道じゃないか」

 

放課後、廊下の人ごみが減ってから教室を出るとそこにはDFCの一員だった阿久野先生が居た。

面の皮厚く相変わらず教師をしている。

 

「…阿久野先生」

 

「ちょうど良い、お前の進路について少し話したいことがあったんだよ」

 

「俺の担任じゃないだろ…」

 

「お前の担任は放任主義過ぎてお前のクラスも俺が代わりにやってるんだよ」

 

阿久野先生といい副総帥といい変な組織に入ってる癖にこういうところがしっかりしているのは何なんだろうか?

そう思いつつ生徒相談室に付いていく。

 

「早速本題だ。良かったのか?例の学園に進学する為に受験するって事で」

 

「ええ。決めたことです」

 

「不服そうに見えるが?」

 

「気のせいだ…ですよ…」

 

一応先生だから敬語を使った方がいいと思いなんとか敬語に口調を切り替えている。

本心を言えばプロになる気がない俺からしたらあまり魅力的には感じないし不服ではある。

だが今養って貰っている叔父からの要求を飲まない程、俺は不義理にはなれなかった。

 

「……まあいい。推薦枠があるから推薦してやりたかったがお前は普段の素行が悪いからできない」

 

ぐうの音も出ない。なぜ俺はこんな不良になってしまったのだろうか?

 

「一般科目の過去問だ、持って行け。最近仲の良い捻咲にも見せてやれ。分からない事があったら放課後に職員室にでも来い」

 

だいぶ真面目にバックアップしてくれる事に驚きつつも疑念が生まれる。

何故ここまでしてくれるのかと。

 

「…先生は、俺たちを恨んでないんですか?総帥を倒してDFCを止めたのに」

 

「勝導と同じ事を聞くんだな。別に理念自体は変わってないしDFCはまだ残っている。やり方はこれから制限されるし叶うとしても相当先になるのは残念だ。けどな、それはそれとしてお前らガキンチョをサポートするのが教師なんだよ」

 

この前は口封じだとか言ってたし今もガキンチョとか言ってる癖に…。

しかし実際に真摯には向き合ってくれているから本心と少しだけ信じる事にする。

 

「ありがとうございます、分からないことがあったら相談します」

 

「おう、待ってるぞ」

 

「まあ、相談する事なんてないでしょうけどね」

 

「まずは生意気さを直しておけよ。気を付けて帰りな」

 

「さようなら、先生」

 

「さようなら」

 

 

帰路を歩いていると、ここ最近少しだけ見慣れて来た水瀬が歩いていた。

歩くペースはそんなに速くなく、用事が特に無いから横を追い越して行こうとしたが…

 

「あ、悪道君も今帰りなの?」

 

呼び止められてしまった。

 

「ああ」

 

それだけ言って立ち去ろうとする。

 

「あ、待ってよ!一緒に帰ろうよ!」

 

あの雨の日の時から思っていたが水瀬はやたらと俺に絡んでくる。

その上でやたらと俺を信頼しているのもよく分からない。

そんなよく分からない奴、と言う認識から俺は水瀬がやはり苦手だ。

 

「はあ…好きにしろ」

 

「うん!」

 

何が嬉しいんだか、満面の笑みを水瀬は浮かべている。

俺は何も言わず、水瀬も特に何も話しかけて来ず、静かに俺たちは家路を歩いていた。

ゆっくりとした水瀬のペースに合わせて、歩くスピードも落としている。

何が楽しいのかずっと水瀬は横でニコニコしている。

 

 

「悪道君はさ、中学校どこ行くの?」

 

突然水瀬が静寂を破った。

 

「FL学園を受験する」

 

「そっか…悪道君もFL学園なんだね…」

 

「勝導達もFL学園だって聞いたが、水瀬は違うのか?」

 

「うん、私はユウキ君やマコトちゃん、ケン君と違って強くないから…」

 

「そうか…」

 

ケン君って誰だ?と思いつつも深刻そうな表情を浮かべる水瀬に対して掛ける言葉を考える。

恐らく勝導達と一緒の学校に行けないのが寂しいのだろうが、あいつらが学校が変わっただけで友人と繋がりを切るような奴には思えない。

特に雅なんて相当水瀬を気にかけている。

 

「まあ勝導達なら学校が違っても休みの日とかに会ってくれるし大丈夫だろ」

 

「そうだよね、皆優しいし」

 

「だから気にし過ぎるのも良くないだろ」

 

そう話していると分岐路で自然と俺と水瀬の足の向く先が別れた。

 

「悪道君はさ、FL学園に行っても…会ってくれる?」

 

向かう先へ視線を向けたままの俺に水瀬が後ろから問いかける。

 

「さあな。偶然会うことはあるだろ」

 

顔をそちらに向けずに答える。

俺は別に勝導達とはお友達じゃない。

正直小学校を出たら水瀬と会うことはないと思っている。

 

「……そっか」

 

「じゃあな」

 

「うん、じゃあね。悪道君」

 

俺はそのまま振り返る事なく歩いて行った。

水瀬はしばらく立ち止まっていたのか、足音は聞こえなかった。




PL→FL修正しました
いつも誤字ばかりで本当に申し訳ないです
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