転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた 作:大きいホクロ
ファイティングライフ 竜武乱閃 収録カード
『絆の竜王』フレーバーテキスト
試合は8のブロックにてそれぞれ10回戦が行われる。
そこで1位〜4位になったチームは確定での入学となり、その上で1位通過チームはトーナメントを行い成績優秀者を決めるらしい。
3位以下のチームは対戦に一通り目を通された後に見込みのある物が合格する仕組みだ。
そんなチーム戦で俺たちは…
「終わりだ」
「くそっ……」
「終わりですよ」
「ここまで無敗だったのに…」
「終わりでございます」
「そ、そんな……」
9戦9勝チームメンバーも全勝中だ。
意外なことに、忍者…じゃなくて宵闇は強かった。
「強いんだな、宵闇」
「それほどでもございません。ゼン様にシラユリ様もまだまだ全力じゃ無いでしょう」
「当然よ」
「まあな」
捻咲は早くも宵闇に敬語を辞めていた。
彼女なりに気に入ってる証なのだろうか?
「そろそろ最後の試合だぞ、卓に向かおう」
「そうね、次も勝つわ」
「私もまた勝ちます。このまま全勝します」
合格はほぼ確定で後はどれだけ入学時に評価されるかだけである。
捻咲のように生徒会を狙っている奴は正念場だ。
そんは俺たちの前に並んだのは見慣れた男だった。
「ゼン君…同じブロックなのは見えていたから、こうなると思ってたよ」
そう、勝導だ。
「そうだな…いつかの借りを返す」
「そうは行かないよ。今回も僕が勝つ」
「……ところで、その隣の女は……なんなんだ」
勝導の隣、宵闇の向かいにいる女は雅では無かった。
そこにいたのは、武将のような鎧を纏った女だった。
腰には鞘をぶら下げている。
「ああ、彼女は武家ミコト、チームメイトだよ」
「さっき一緒にいたのに雅たちじゃ無いんだな」
「雅とケンはそれぞれ自分で1からチームを組んでるよ。…今回は自分達の力だけで頑張りたいって言われたよ」
ケンが誰かは知らないが、雅が勝導無しで勝ちに行きたい、と思っているのは彼女なりにDFCとの戦いで感じるものがあったのかもしれない。
「そうか……ところで水瀬、公立行くんじゃなかったか?」
そして最後の1人は水瀬だった。
「私なりに色々考えたんだ。やっぱり皆と一緒の学園に行きたいって」
「そうか…頑張れよ」
「うん。頑張るよ」
水瀬の表情は今まで見た中で一番凛々しく、前を見据えていた。
「ちょっと、応援するなら私でしょ」
「そうだったな、勝てよ捻咲」
「当たり前よ」
水瀬の対面に立つのは捻咲だ。
何やら少しイラついてる気がするが最終戦だから気が立っているのだろう。
「水瀬リン、私は貴方に負けるつもりはありませんよ」
「私もだよ、捻咲さん。私も負けたくない」
良い感じに対抗心が出ている。
今の彼女達の対戦での勝利への渇望なら良い勝負ができるだろう。
「ところで…えーと、その隣の…黒い人は?」
「ああ、そいつは宵闇センヤだ。強いぞ」
「どうかしましたか?ゼン様」
「…様?」
勝導が要らないところに反応している。
「いや、なんでもない。勝てよ」
「勿論です」
「ユウキ殿、私は必ず勝つ」
それに対抗して鎧の武家という少女も勝導に勝ちを表明している。
「…殿?」
……………。
俺と勝導はお互いの目を見つめ合った。
そこに言葉は要らなかった。
さあ、切り替えるか。
「ゼン君、君にはこの前もとても助けられた。心から感謝しているよ」
勝導がまっすぐな目でこちらを見る。
「まあ、受け取っておくよ」
「意外だね、謙遜すると思ってたよ」
「真剣な顔をしていたからな、受け取ってやった方が良いと思っただけだ」
「ありがとう。けど勝負は貰うよ」
今日の勝導はかなり勝ち気だ。
だがどうやら勝ち気なのは勝導だけじゃ無いようだ。
「いや、勝つのは俺だ」
俺もだ。
「僕だ」
『それでは、対戦を始めてください』
「「「「「「レディー、ファイト!」」」」」」
正直ずっと待っていた、この瞬間を。
俺は負けず嫌いだし、それだけは前世から変わらないと断言できる。
「ターン終了だよ、やっぱり凄いね。また耐えられたよ」
現在俺は残り1点、勝導は5点だ。
「あの時は結局負けちまったがな」
「今回もそうさせてもらうよ」
その時、両隣から決着を知らせる声が聞こえた。
「私の勝ちでございます」
「無念……」
宵闇が武家に勝ったようだ。
「私の勝ちだよ….捻咲さん……」
「私が…負けた…」
そして捻咲は、水瀬に負けていた。
正直驚いている。捻咲はここまで全勝しているように決して弱い奴では無い。
水瀬はこちらの視線に気づいた様でこちらを見る。
その顔はやってやったぞ、とこちらに言っている様な表情をしていた。
…凄いな、水瀬。俺は正直お前を侮っていたよ。
フッ、と俺は思わず笑みを溢していた。
どうやら俺は水瀬の成長が嬉しいみたいだ。
だが今は俺も前の敵に集中すべきだ。
「俺のターンだ。勝導、俺は…」
「ああ、なんだい?」
「負けず嫌いなんだ」
「奇遇だね。僕もだよ」
「チームの勝敗以上に、2度負けたく無いって思いで俺はここにいる。召喚、『郷愁の英雄』」
「そのカードは…」
「場に出た時に相手のモンスターを破壊する、『絆の竜王』を破壊だ。更にこいつは速撃を持つ」
先ほどのターンで猛威を振るった勝導のエースを破壊する。
これで勝導は防御できるモンスターがいない。
「そして魔法『片道切符の特攻』これにより『郷愁する生贄村の戦士』を召喚して打点を+2、更に防御されない」
「打点を揃えてきたね」
「攻撃だ!『郷愁の英雄』!『生贄村の戦士』!」
「対応魔法!『竜王の守り』!攻撃一つを無効だ!戦士の攻撃を無効!」
5→3 (勝導)
「これで攻撃は終わりだね…」
「いや、まだだ。このターンの終わりに戦士は破壊される。その能力で破壊された時の打点の数だけ墓地の郷愁・生贄村モンスターを山札に戻せれば打点の数だけダメージを与える。よって…」
「僕に4点か……流石だね」
3→0(勝導)
「俺の、勝ちだ…」
「僕の負け、だね」
その後、俺と勝導は互いの健闘を讃えた。
宵闇と武家も握手を交わしていた。
捻咲は……俯いて、何も言うことは無かった。
捻咲の様子を見ているとこの場を早めに離れた方がいいかもしれない。
「水瀬」
「うん」
「強くなったな。…また学園でな」
「うん。またね、悪道君」
今は全勝チーム同士の対決だったから勝導のチームが合格ラインに居るのは間違い無いだろう。
意外と水瀬とは長い付き合いになりそうだ。
「ごめんね、試合前なのに」
上位同士のトーナメント前に俺は勝導と2人で話していた。
「別にいいさ」
「ゼン君、僕は兄さんを倒した後に正直燃え尽きていたんだ。あれ以降負けてなかったのもあると思う。それは自信にもなってたけどね」
勝導の話に黙って耳を傾ける。
「けど今日君と対戦する時、僕の胸には火がついていたよ。僕は君に負けたくないみたいなんだ。だから必ずリベンジするよ」
正直今日もギリギリだった。それでもまだこいつは強くなる気かとどこかワクワクしている。
「また俺が勝って勝ち越してやるよ」
こいつとまだ戦う機会があるのならこれから通う学園も悪くないか。
互角に本気で勝ち負けを求めて競い合える友人、それは恐らく俺が欲しかった物なんだと俺の中の俺が言っている、そんな気がした。
「それじゃ、頑張ってねゼン君」
「ああ。次会う時、お前は俺に挑む側だ」
俺のチームは決勝リーグで全勝し、唯一の全勝者の俺は生徒会に入ることが決まった。
これから数回番外編を挟んで新章に入ります。