転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた   作:大きいホクロ

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夢見るは、遠く離れた故郷

ファイティングライフ 竜王決戦 収録カード『郷愁の英雄』フレーバーテキスト



対戦描写は読み飛ばしてもらって大丈夫です


販促の都合使うカードがいまいちまとまってないライバルポジ

 2年生の四天王選抜試験が今日から始まる。

日程は3日に渡るそうでありそれもあってか登校する2年生達はどこかピリピリとしてる。

 

「悪道じゃねえか」

 

そんな空気の中、少し聞き覚えのある声が俺に向けられた。

 

「二ノ宮先輩…おはようございます」

 

相変わらず丸刈りだ。

以前会った時から髪が伸びてる感じがしないのは返り咲くまでは伸ばさないつもりなのだろうか?

 

「おう、おはようさん。2年生はピリピリしてるだろ?お前はこうならない様気をつけな」

 

そう言いながら笑っている。

先輩の反応しづらいジョークへうまく反応できないのは前世からだ。

 

「また生徒会室で会いましょう」

 

「結構かわいげあるじゃねえか。そうだな、また会おう」

 

そう言う二ノ宮先輩の背中は必ず勝つと語っていた。

 

 

 

 この学園の授業は基本的な科目にカードが追加された様な形になっている。

そして今はそんなカードの時間の6限目なのだが…

 

「攻撃だ」

「通るぜ」

 

「お祈り1点」

「はい対抗」

 

「運だけのカスがよぉ」

「いやお前さっきのターンそっち切らなきゃ勝ってたろ」

 

2年生の生徒会選抜試験のせいで自習だ。

四天王という箔まで付いた今、俺に話しかけるのはいつも宵闇くらいだ。

しかしその宵闇はと言うと…

 

「攻撃でございます。『内通する丁稚』」

 

「負けましたぁ〜」

 

「さっきのターンは…」

「宵闇さん!次は俺と」

「いえ!私と!」

「拙僧と!」

 

大人気でクラスメイトにティーチング中だ。

なので俺は1人無言で学園の最新の技術を費やして作られた机と一体になってる画面でデッキ構築をしていた。

前世で言うところのデッ⚪︎メーカーだ。

ブシ⚪︎ビより使いやすいが前世のデッキ⚪︎ーカーより使いにくいくらいの塩梅だ。

使用感は置いておくにしても、この世界は唯一性のあるカードの存在がある為デッキリストがプロキシだらけになって見栄えが悪い。

正直オリカ作ってもバレないんじゃないか?とすら思っている。

前世のこう言ったカードゲーム等への知識は残っている割に俺自身については曖昧なのはエピソード記憶だとかそう言う話なのだろうか?

そんな事を考えながら昨日一晩考えても纏まらなかったデッキリストを弄る。

 

「ゼン様?」

 

その作業に集中していると、いつの間にか俺の傍に来ていた宵闇が声をかけていた。

 

「ん?どうした宵闇」

 

「いえ、何やら難しい顔をされていたので…デッキ作りですか?いつみても惚れ惚れするデッキですね」

 

「あ、ああ。………けど最近厳しさを感じていてな」

 

「…‥厳しさ、ですか?」

 

宵闇の声が一層真面目になった気がする。

 

「ああ。生贄村単体での性能の限界を感じて郷愁を入れていたがそれも頭打ちだ」

 

「しかし今ですら相当お強いのに足りない…ですか」

 

「ああ…だから別のデッキに切り替えるのもありかもな……」

 

「か、変えるんですか!?別のデッキに」

 

宵闇が普段は上げないような大声を上げた。

しかも普段よりかなり高い声だ。

唖然として思わず押し黙る。

 

「…あ、し、失礼しました…」

 

「お、おう……」

 

「デッキを…そんなにあっさり変えられるんですか?」

 

「必要ならな」

 

「デッキに…愛着は無いんですか?」

 

生贄村デッキは正直かなり気に入っていた。

最初は『彷徨いの龍』と相性が良かったから使い始めたがイラストの不気味さと背景ストーリーの薄暗さも好きだった。

だがそれはそれこれはこれだ。

『彷徨いの龍』を使うという縛りも辞めた今、このデッキ一つに固執する理由は無い。

別にこのデッキを海とか買取とか下駄箱に投げ捨てたりする訳でもない。

 

「勿論あるさ。だが勝つ事を優先するなら何回だってデッキを変えるさ。他のデッキの方が案外手に馴染むかもしれないしな」

 

「………デッキと自分の腕が信じられないのですか?」

 

「なんだと?」

 

「ゼン様…私は貴方を尊敬しています。その実力を。デッキにもその情熱を感じていました」

 

「しかし勝ちに拘りいとも容易くデッキを斬り捨てるのでしたら…私は貴方の目を覚まして見せます」

 

宵闇は珍しく怒っている。

相変わらず表情を読めない全身黒装束な筈なのに声と雰囲気が怒気を帯びている。

まるで俺が悪いみたいじゃないか。

 

『またガチデッキ組んでるじゃねえか』

『ネットで見たコピーデッキばっか組んでると強くなんねえぞ』

 

昔の“俺”の夢で何度も聞いた言葉が反芻される。宵闇、お前もそっちかよ。

 

「俺のやり方に文句があるのか?一度も俺に勝ててないお前が」

 

「今日こそ勝たせていただきます。まだ自習の時間はたっぷりあります。勝ちに拘らざるを得ない生徒会という立場、二ノ宮様の様に一度剥がさせていただきます」

 

「勝ちに拘るのが悪いか?」

 

「悪くないです。しかし今の貴方は迷走しています」

 

「お前の勝手な理想を俺に押し付けるなよ」

 

「「レディー、ファイト!」」

 

「俺のターン、『生贄村の猛犬』を召喚して魔法『生贄村の食卓』。その能力で猛犬を破壊して2枚を墓地に落としてモンスターを回収。

『郷愁の突撃兵』を回収だ。猛犬は効果で蘇生され更に山札の上から2枚を墓地へ落として一枚ドロー、ターンエンドだ」

 

「相変わらず二つのテーマを入れてる筈なのに綺麗な動きですね」

 

「私のターン、『諜報する商人』を召喚して魔法『目標の誘導』。私が2点回復する事で相手のモンスターを相手の場に蘇生。cipは無効。

対象はさっき山から落ちた『生贄村の農夫』。

そのモンスターは相手の効果で破壊できず強制攻撃になる」

 

6→8(宵闇)

 

「俺のターン、『片道切符の特攻』発動。突撃兵を出して打点+1だ。更に『生贄村の僧侶』を召喚。その能力で山札からカードを2枚墓地に落とし僧侶と突撃兵を破壊して2点を与える」

 

8→6(宵闇)

 

「更に突撃兵の破壊された時の効果でもう一点だ」

 

6→5(宵闇)

 

「攻撃だ。農夫」

 

「この瞬間、手札を捨て対応魔法『間者の一撃』相手の攻撃を相手に向け、その後そのモンスターと自身のモンスターを破壊し更に1点」

 

6→4(ゼン)

 

「更に破壊された商人の能力で2枚ドローします」

 

「厄介だな。ターンエンドだ」

 

「私のターン!『内通する丁稚』を召喚。破壊したら私は3点回復してして相手の場に移動する。

私の効果以外では破壊されない上次のターンに最初に攻撃する、打点は2です。

そして魔法!『秘密裏の伝令』相手の場に私のモンスターがいる時に山札より召喚!『夜の忍』!

その能力で1点を与えて墓地より対応魔法を回収!」

 

4→7(宵闇)

4→3(ゼン)

 

「これで次のターンの攻撃に入ったら私の勝ちです。いくら効果ダメージを大量に与えるゼン様でも7点は削り切れません」

 

「…いつも以上に強いな宵闇」

 

「これが私の強い意志の力です」

 

「そうか。だが勝つのは俺だ、ドロー」

 

「『朱色の手紙』発動だ。手札を1枚墓地に落とし、更に山札からも3枚を墓地へ落とし、捨てたカードと墓地に元からあったカードから一枚ずつ『郷愁』モンスターを蘇生。対象は2枚の突撃兵だ」

 

「そして魔法『生贄村の祈祷』デッキからカードを一枚墓地に落とし、モンスター1体を破壊して相手に2点を与える」

 

7→5(宵闇)

 

「魔法『埋葬の儀式』墓地のカード20枚以上を山札に戻し相手に3点を与える」

 

5→2(宵闇)

 

「墓地が増えるのが早いからって…そんなカードまで入れてるなんて…」

 

「そしてもう1枚、『生贄村の祈祷』を発動する。

対象は勿論突撃兵だ。魔法の効果と『郷愁の突撃兵』の効果で2点…俺の勝ちだ」

 

「対抗魔法を打つ前に決められた…私の…負けです……」

 

2→0(宵闇)

 

キンコンカンコンと、勝負の終わりと共に自習の時間の終わりを告げる鐘が鳴った。

結果は分かりきっていた。

目の前で宵闇は悔しそうに俯いている。

 

「宵闇…」

 

また強くなったな。

そう俺の部屋でやっていた時みたいに感想戦を始めようとしたが、言葉は喉から出なかった。

こうなったら宵闇も俺の側から離れていくだろう。

強い者同士だったから大丈夫だと驕っていた。

この世界の人間はデッキへの愛着が前世より強いという認識を知っていた筈なのに俺は自然と忘れていた。

学園に入学してから共に過ごして来た宵闇から向けられるであろう拒絶が怖くなった俺は、その場から逃げる様に立ち去った。

“俺"はこの胸の痛みを知っている。

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