転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた 作:大きいホクロ
ファイティングライフ 竜王黎明 収録カード
『希望の竜王』フレーバーテキスト
「やあ、おはよう」
「おはようございます、三月先輩」
「なんか雰囲気変わった?」
「気のせいです」
「じゃ、行こうか」
「ええ」
俺と三月先輩は2年生のとある教室の前、二階堂のクラスの前に来ていた。
三月先輩の後ろには女子が2人無言で控えている。
さてどう入るか…………
「やあ、おはよう」
かなり気さくな挨拶をしながら三月先輩は教室に乗り込んだ。
「………………」
「……………………」
教室に入ると沈黙がその場を支配していた。
2年生の生徒たちは気まずそうにする中、1人の生徒がこちらまで歩いてきて……
「おはようございます、三月先輩、悪道……さん」
そう頭を下げた。
「君は確か………」
「二階堂の取巻きの1人だったな」
二階堂の取巻き連中の中で見たことあるような顔だ。
しかし肝心の二階堂は見当たらない。
「二階堂さんからこれを預かってます、どうぞ」
そう言うと封筒が俺に渡された。
「二階堂君はどこに行ったんだい?」
俺が聞く前に三月先輩がそいつに問い詰めた。
「二階堂さんは………、今朝悪道さんが来たらこれを渡せと言うだけ言ってどっかに行っちまいました。部屋ももぬけの殻みたいです」
「何処までも最低な男だ………悪道君、その封筒の中は?」
横で封筒の中身を確認していた俺に対して三月先輩が問いかけてきた。
「………リストにあったカードのうち無かったもの全てです…『絆の竜王』を除いて」
恐らく二階堂は俺がリストを手に入れたのを即座に知ったのだろう、どうやってかはわからないが。
「無理難題ではあるけど、出来ないから逃げるなんて少しの間にしても四天王であった人間のやる事じゃないね」
三月先輩の言葉に同意しつつカードの確認をしていると、そこに一枚の紙切れと2枚のカードが挟んであることに気がついた。
紙には走り書きでこう書かれていた
『I'll be back.』
挟まれていたのは『希望の竜王』と『蝋人形館の主』だった。
絆を育んだ竜王は無くとも希望を与える竜は見つかったらしい。
しかし何故だろうか、この紙切れを見ていると嫌な予感がしてきていた。
まるで良くないことが起こるような、そんな予感が…………。
「じゃあ、これは私が返してくるね」
「こっちは俺が返してくるっす!」
水瀬と「す」の奴……名前はケンらしい…にカードを渡していた。
俺は二階堂から回収したカードを返すのをユウキに返すのを手伝ってくれと頼んだ。
そうしたら何故か当然のようにこいつらも手伝ってくれるようだった。
「ああ、ありがとうな」
「ふふ、どういたしまして!」
「素直になったすねぇ」
2人はやけにニヤニヤとしている。
「とっとと行け!」
「おーこわいこわいっすね〜」
「はーい!後でねゼン君!」
2人はそう言うと廊下を走っていった。
鬱陶しい奴らだ。
そういえば水瀬からの呼ばれ方なんか変わったか?違和感があった気がする。
「僕はどれを配ればいいかな?」
そう問いかけてくるのはユウキだ。
勝導ユウキ、俺の友達だ。
「ああ、これを頼む」
「うん…おや?ダメじゃないか、これは君が返すべきだよ」
「いや、そのカードは……」
「大丈夫だって、君がそんなに嫌われてるのを怖がるくらい大事にしたい友達が、拒絶なんてしないさ」
そう言うと思いっきり背中を叩かれた。
結構本気で叩いてたなこれ?痛い……。
「行って来なよ」
そう言うとユウキは俺に『夜の忍』を差し出した。
「そうだな……」
そのカードをありがたく受け取った。
ここまで言われたのならしっかり腹を括るべきだ。それでもやっぱり話し掛けるのは怖い。
憂鬱になりながら廊下から自クラスに戻り、目指すのは俺の席……ではなくアイツの席を目指す。
そこにいる相変わらず中学生にしては高めの身長の全身黒装束の変な奴の前に立つ。
最初は格好見てドン引きしてたのにな……。
ソイツはこちらが急に目の前に来たのを驚きながら何言わずに見つめてくる。
「なあ………宵闇、……その、さ」
「な、なんでしょうか?ゼン様」
いつものように聞いていたような問いだが、だいぶ懐かしく感じるものだ。
いまだに俺に“様”を付けてくれるんだな。
「これ…お前のだと思ってさ…二階堂が持っていってたみたいだし」
「あ、ありがとうございます……」
会話はそこで終わってしまった。
前までの俺なら。
「宵闇!」
「え!?は、はい!」
「一緒にメシでもどうだ?」
「喜んで!」
久しぶりに直視する宵闇センヤの顔は、相変わらず黒装束なのに笑っている、そんな気がした。
短めですいません
番外編何個か投稿したら次章です