転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた 作:大きいホクロ
ファイティングライフ 竜花剣燗 収録カード 『被験体H』フレーバーテキスト
「おはようございます、二階堂君」
早朝、コソコソ1人で登校しようとしていた二階堂君に優しく挨拶をした。
「………おはようございまぁす、会長」
彼はあからさまにばつの悪そうな顔をしている。
「どうかしましたか?いつもより元気が無いですよ?」
「誰のせいですかねぇ、あんなリストをわざわざ用意しておいて白々しい」
「盗み聞きしているのを伏せてあげて用意する時間を与えてあげたのに酷いですね」
そう、悪道君にリストを渡した時、彼の気配も感じていた。しかしあの話を聞いて仮にカードを用意できるなら話はもっと早いだろうと敢えて見逃した。
「貴女達の目的にはワテクシの技術が必要な筈………ウツワが強くなる事も……その為にワテクシは動いて来たんですよ」
確かに彼の技術力は魅力的だった。
「そうですね、私も貴方がその為に成果を出してくれる事に期待していました。………けれど、やり方に品が無さすぎるんですよね」
「な.、なんですと……」
「ああそうそう、ちゃんとカードは用意できました?」
「ふっ………学園の一年連中の持つようなカード、ワテクシは既に持っているのですよ」
そう言うとカードをこちらに見せた。
「『絆の竜王』も見せてもらえないかしら?」
「そ、それは用意しようが……」
「そう………賭けた内容すら守れない、と…」
「しかしワテクシが居ないとあの力の調整がっ!」
「ああ、これのことですか?………展開」
世界はフィールドに飲み込まれる。
DFCが最初に実用化した技術であり、私達の目的にしても何かと都合のいい技術だ。
このフィールドの本質は実体化じゃなく、別のところにある。
「なっ………なんのつもりですかねぇ、しかもこれは…ワテクシ以外はまだ使えない筈なのに……」
「なんのつもりかと言うと、生徒会の権力という餌は生徒達に向上心を与えます。しかしあまりに品の無い行為をして生徒会自体に悪印象を持たれても困るんですよ」
「建前を………二ノ宮だって丸刈りにしてただろうが!」
「まあ彼も過激でしたけど、カードを奪って売買なんて小汚いことしませんでしたよ」
「っち………まあ勝てばいいです、勝ったらその時は………覚悟していただきますよ?」
「勝ったらなんでもしてあげますしなんでも用意してあげますよ」
「その言葉、忘れないでくださいねぇ!」
「「レディー、ファイト!!」」
「『被験体H』の能力で貴方に一点を与える」
「わ、ワテ、私が…こんなにもあっさりと………」
二階堂君は確かにそこそこ強かった。
しかしあくまでも“そこそこ”だ。
「さて、私になんでも要求できる権利を賭けさせたんですから、それ相応の物はいただきますよ?」
目の前に居る彼はあのフィールドで負けた事もありボロボロだ。
まあ利用価値はあるだろうが、今回みたいなしょうもないやり方をされても困る。
取り敢えずこの男の技術力だけは野放しにするのは危険だし回収はしておこう。
「わ、ワテクシをどうするつもりで………」
「さあね」
「それにしても二階堂君を倒すなんて、子供の頃よりかなり成長しましたね、ゼン君」
生徒会として負けは許したくはないが、学内ではともかくわざわざ敷地外でコソコソやってるのを槍玉に上げるのは野暮だろう。
「……もうすぐですよ、ツクルさん」
悪道ツクルさんが残した種、それにしっかり花を咲かせてあげましょう。
ウツワの用意は出来た、後は中に注ぐだけ。
短いのでもう一本あげます。