転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた 作:大きいホクロ
ファイティングライフ 黒龍執激 収録カード
『彷徨いの龍』フレーバーテキスト
時は少し経ち小学6年生。
「ほら、攻撃だ」
「くっそおおおおおおおおお」
俺は相変わらずアンティルールでカードを取り返すことばっかやってた。
「へへへ、流石ゼンくん」
「いつも助かるぜ」
「ったくお前らもう少しは自分で勝てるようになれよ。ほら、こいつら返してきな」
「へへ、まあまあ」
「ゼンが強けりゃ大丈夫だろ」
「畜生悪魔が……」
負けた奴に悪魔と呼ばれる。最近なんかそんな風に呼ばれるのが増えた。
「おいなんて口きいてんだよ!」
「そうだそうだ負け犬がよ!」
「んだとてめーら!」
最近ガリとデブの口がデカくなってきてる。こんな感じに要らないトラブルを引き起こすから正直うんざりしてる。
毎回その場で嗜めるが同じことを繰り返すのに心底呆れている。
「やめとけよ」
「ちっ、へーい」
「んじゃまたね、雑魚くん」
自分達は負けてるくせによく言うよ。
そんな風に適当に過ごしていたある日の事だった。
「頼もー!」
放課後、帰ろうとしていた所で教室に1人の少女が入ってきた。
赤髪の目立つ顔立ちの良い少女だった。
その傍にはオドオドした茶髪の子もいる。
「悪道ゼンはどこ?」
なんか俺の名前呼んでるけど面倒だからスルーしよう、そう思いながら帰ろうとしたのだが…。
「ゼンになんか用か?」
「ゼン君に用があるときは僕たちを通してくれるかな?」
デブとガリが勝手に返事しやがった。
「カード狩りを辞めさせる為に来たのよ。後リンのカード返して」
「マコトちゃん私は大丈夫だから…」
「リンは黙ってて」
カード狩り?俺宛の用事なのに俺が知らないワードが出てきたぞ…。
後おそらくリンって子のカードを奪ったって話なんだろうが俺はあの子に見覚えもない。
「ゼンに挑むなら賭けるカードを出しな」
「そうだぜ、何を出すんだよ」
「腐ってるわね…」
「いらねーよ、賭けるカードなんて」
「「は?」」
「え?」
「誰か知らないけど良いよ、ファイトしよう」
「私が勝ったらカード狩りをやめて」
「何のことだ?」
「っ〜!ぶっ倒す」
「「レディー!ファイト!」」
「攻撃だ、彷徨いの龍」
「………」
「ま、マコトちゃん……」
「俺の勝ちだな」
正直あまり強くなかった。エースカードは強いが活かしきれてない。カードの切り方も所々悪かった。しかしそこを繋げばもう少し勝ち筋が広がっていただろう。
光る物は感じるしマナー違反かもしれないが今後の彼女のことを思って助言しておこう。
「2ターン目、あそこで『赤薔薇の棘』を使うべきじゃなかったと俺は思うぜ」
「へ?」
「あそこであれを使った結果リソースが中途半端に減って次のターンの攻めが浅くなった、次のターンに使っていればこちらに与える影響はもっと大きかった」
「何よ…」
「エースカードを活かしたいと言うのは動きで伝わったがそこに意識を向けすぎてるな。その辺をうまくやればもっと強くなれると思うぜ」
「っ〜!アドバイスなんて聞いてないわよ!」
気がついたら彼女は涙目になっていた。
そうだ、俺は確か前世でも同じことをやってしまっていた。もう2度とやらないと決めていたのに…。
『これ、組んでみたんだけどガチ目線で評価してみてくれよ〜』
『うーん、そうだね、ここは…例えばこいつは…』
『…そこまで言わなくて良いじゃん。俺はこのカードは強いと思ったんだよ!』
あれから気をつけていたつもりだった。
オブラートに包んで相手に伝える事。
それを今世で長らくやってなかったから忘れてしまっていた。だから精神的に年下の彼女を必要以上にいたぶってしまったのだ。
「……悪い、余計な世話だった」
「………。負けた私が悪いわよ、ほら…」
そういう彼女の手には彼女のエースモンスターが居た。
「持ってきなさい……」
「いや、いらないよ」
「え?」
「だって賭けてな……」
「ゼン君はそんな雑魚要らないってさ〜!」
「負け犬は負け犬らしく帰れよ!」
「おい!お前ら」
「っ〜……最低」
「あ、ま、マコトちゃん!」
彼女は走って行ってしまった。
「………酷いです」
そう言いながら赤髪の子を追う茶髪の彼女の悲しそうな目が、俺にはとても痛かった。