転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた 作:大きいホクロ
ファイティングライフ 竜王決戦 収録カード『革命の徒花』フレーバーテキスト
「兄さん!遊ぼ!」
「おお、良いぞ。何する?」
僕には兄が居た。大人びていて優しくて強い、そしてかっこいい兄さんだった。
「ファイト!」
「おー、良いぞ。やるか」
兄はよく僕と遊んでくれた。
「ほら、『希望の竜王』で攻撃だ」
『希望の竜王』は兄のカードだった。
兄の使うそのカードはカッコよくて、僕の憧れでもあった。
「う〜、また負けた〜」
「ははは、まだまだだな」
「兄さんのそれが強いからだよ!」
「そうかそうか、じゃあ使ってみるか?」
「良いの!?」
「おう、使ってみろ。俺は無くても強い!」
「ほら、『定めの竜騎士』で攻撃だ」
「うー、なんで勝てないの〜」
「ユウキは竜王を使いたいからそこに目が行きすぎてるんだ…例えばここでのアドの取り方とか…例えばこっちはキャントリ持ちだから……」
兄さんは僕が負けた理由をわかりやすく説明してくれる。たまに変な言葉を使うこともあるけど分からなそうな顔をするとすぐに噛み砕いてくれた。説明を聞く度に強くなっている実感が幼い頃からあった。
「兄さん、これありがとう。返すね」
「ん?ああそうだな……ユウキ、そいつお前にやるよ」
「良いの!?ありがとう兄さん!!」
そうして竜王は僕の元に来た。
そして僕の相棒として様々な活躍をしてくれた。本当に大切なカードだった。
「大切にしろよ」
「うん!」
兄さんはいつも僕に優しい笑みを向けてくれていた。けど僕はいつも感じていたんだ。兄さんはいつもどこか寂しそうにしているのを。
「ただいま父さん。兄さんは今日も?」
「そうだね、部屋でずっと勉強してるよ」
「根を詰めすぎじゃないかなぁ」
小学生3年生くらいの時、当時中学生だった兄さんは学校から帰ると部屋に篭って勉強ばかりするようになった。
成績は事実とても良いらしく家にある答案用紙は3桁ばかりだ。
しかし兄さんの表情は常に曇っていた。
「兄さん……、入るよ」
兄の部屋に入ると、そこは薄暗かった。
部屋には沢山の参考書のような物が山積みにされていた。
そして机の上にはパソコンが怪しく光っていた。
「ん?ああ……ユウキか。どうかしたか?」
「兄さん……最近ちょっと根を詰めすぎじゃない?」
「うーん、そうかな?やりたい事があってな、出来るだけ早く。だから頑張りたいんだ」
「それって、本当にやりたい事なの?最近の兄さんの表情はやりたい事をやってる顔じゃないよ?」
「道のりが険しいからな。それにこれは俺1人だけの望みじゃないんだ。みんなの為なんだ、だから辛くても頑張るんだ…………悪い、勉強に戻りたい……」
「う、うん………」
兄の僕に対する態度は相変わらず優しかった。
だから踏み込まなかった。安心してしまった。
いつもの兄だったと。
それから数ヶ月後、兄は忽然と姿を消した。
部屋は怖いくらい綺麗な状態で整理整頓がされていた。
机の上には何処から用意したのか分からないそこそこ多額なお金と置き手紙、そしてカードのストレージだけが残されていた。
「父さんへ
今まで家族としてありがとう。
これは育ててもらうのに掛かった額と比べたら少な過ぎるけど、せめてものお礼です。
あなたが父親で本当に嬉しかったです。
さようなら
Ps.ユウキへ 何か用意したかったけど何を用意すれば分からなかった、許して欲しい。
そこに置いてあるカードを持っていってくれ。」
これを読んだ父さんは泣き崩れていた。
「お金なんて求めてない」って何度も何度もその日から夜うなされるようになってしまった。
そして僕も胸に穴がぽっかりと空いた。
尊敬している兄さんが居なくなったのはショックだった。
だけど周りの友人に支えられてなんとか普段通り生きていけた。
そして3年後、兄さんと再会したんだ……。だけど兄さんは…………。
そして再会してから間も無く、兄さんはまた姿を消してしまった。
兄さん、今どこにいるの?
デッキを机の上に並べる。
『絆の竜王』を失ったデッキは、それでも戦える強さこそしているのに何処か寂しげだ。
「これも何か使うつもりにならないしね……」
そう言って手に取ったのは『希望の竜王』、ゼンが二階堂先輩から回収したカードの中にあったものだ。
僕の竜王が進化する前の物とはバージョンが異なり、イラストすら違うそのカードとまた絆を育める気は、カードには申し訳ないがあまりしなかった。
…を……よう…みに………ま……を………は…い
突如頭に声が響いた。
「誰だい!?」
僕の部屋には当然誰も居ない。
力を……与え…か……ない…力を……き……近…
「な、なんだこの炎は?…うわっ」
僕のカード達が突如黒い炎に包まれた。
いや、僕自身も包まれている……これはなんなんだ?
気が付いたら炎は消えていた。
僕のデッキも無事だった。しかし僕の手元にあった『希望の竜王』は姿を変えていた。
「………『
時は近い……
次回より新章です