転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた   作:大きいホクロ

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この命、貴方のために

ファイティングライフ 竜花剣燗 収録カード 『闇夜の女忍』フレーバーテキスト


ライバル同士が邂逅する回

 俺は走っていた。

あの勝負で使われたカードが何なのか、それを確かめるべく試合を終えたユウキ達の所へと向かっている。

しかし俺の進行方向に1人の男が立ち塞がった。

 

「よ、悪道。昨日は夜に俺の友達が迷惑をかけたな。そんなに急いでどこに行くんだ?」

 

その男は、生徒会内でも話題になっていた一色ソメルだった。

派手な金髪は染めているとは思えないほど綺麗で地毛である事を思わせる。

しかし耳に付けたピアスや着崩した制服は所々軽薄さを感じさせる。

 

「一色ソメルか…」

 

「俺のこと覚えてくれてるなんて光栄だなぁ」

 

「チームメイトになりそうな男の名前くらい知ってるさ」

 

本当は生徒会での会話で偶然知っただけなんだがな。

 

「高く買ってもらえてて嬉しいな〜。で、何処行くの?」

 

「ちょっとユウキ達の所にな」

 

「へえ…それってさ、こんな感じのカードが気になるから?」

 

そう言いながら一色は一枚のカードを取り出した。

『<神託>授かりし勇者』…件の神託のカードだ。

 

「…ああ、なんなんだそのカード達は」

 

「<神託>カードは世界の調和を守る為に顕現したカードだ」

 

「どう言うことだよ」

 

「つまりさ……」

 

一色は急にこちらに距離を詰めて耳元で囁いた。

 

「君達を倒す為のカードだ」

 

俺達を倒す…?……達?調和と俺に何が関係あるんだよ…。

そんな疑問が一瞬で脳内で逡巡する。

 

「じゃあな、そろそろ試合だ」

 

そう言うと一色は行ってしまった。

 

 

 次の試合、一色と水瀬の試合を見る為にユウキ達と会うのは一旦諦めて席への道を戻る。

一色の言葉の意味を考えながら歩いていると、意外とペースが落ちてしまっていたのか意外と時間が掛かっていたみたいである。 

 

「お、戻ったか……まあ試合は終わっちまったがな」

 

「もう終わった?」

 

一色と別れて多少ゆっくり戻って来たとしてもあまりにも早すぎる。

試合の卓へと視線を向けるとそこには水瀬が俯いていた。

勝者は誰かは語るまでも無かった。

 

「……楽しみだね、彼が交流戦に出てくるのは」

 

俺同様に交流戦の当事者である三月先輩の一色に対する視線は、明らかに警戒を向けていた。

水瀬は俯いたまま対戦後の挨拶を終えるとそのまま退席していった。

その姿を見ると何故か心苦しくなった。

意外と俺は水瀬と一緒に交流戦に出たかったのだろうか?

そんな事を考えていると次の試合が準備できたようである。

 

「センヤと捻咲か…」

 

相変わらず黒装束のセンヤと、小学生の頃から相変わらずのおさげ眼鏡の捻咲が対面している。

 

「2人は君の入試の時のチームメイトだったっけ」

 

「そうですね」

 

「残念だったね、入試チーム再結成はできなそうで。で、どっちが強いの?」

 

「そうだな…俺の所感だと、……ですね」

 

ここでは俺の率直な意見を告げた。

 

「なるほどね、楽しみだ」

 

 

 

「センヤ、何気にこういった場で対面するのは初めてね」

 

「そうですね、シラユリ様。私は負けません、肩を並べて戦いたい方が居るので」

 

 

何やら会話しているようだ…あ、センヤがこちらに手を振ってきている。能天気な奴だなと思いながら振り返す。

一方の捻咲はこちらに対して視線を向けているだけだ。

 

 

「随分仲が良いですね」

 

「クラスメイトで唯一の友人なので」

 

「私は悲しいです、生徒会の一員でありながらクラスで打ち解けられてないなんて…」

 

「…………」

 

「悪道、学校生活で友達は大事だぜ?」

 

「悪道君、クラスメイトとの交流は面倒だとしても良い方向に転ぶこともあるよ」

 

「……………」

 

何故俺は先輩3人から説教をされているんだ?

 

「試合始まりますよ」

 

取り敢えず試合の方に注意を逸らしておく。

 

 

試合展開は大分ゆっくり進んでいた。

置物系のカードで点を刻んでいく捻咲、相手の攻撃に反応してカウンターするセンヤのマッチアップだとそうなるのは自然だろう。

 

「召喚です。『闇夜の女忍』、能力で相手の盤面に墓地の私のモンスターを召喚して次ターンの最初の攻撃モンスターになる。そのモンスターは次のターン相手の効果で場を離れません!

そして魔法『秘薬:癒し』を発動して二点回復です」

 

現状捻咲のライフは3、センヤは4だ。

4ターン目としては大分点が残っている方である。

 

「次のターン殴ったら対抗魔法が発動して私の負けって事ね」

 

「勝たせていただきます。常に隣で戦いたい人が居るので」

 

「そう、隣……ね」

 

「はい」

 

会話の内容は聞き取れないがセンヤの視線がまたこちらを向いている。…気がする、前髪で見えないけど。

 

「なら私は負けない……隣で?私はもっと先を目指す、隣どころか追い抜いてやる……召喚!『ネフェルポイズニスト・ファレノプジス』!」

 

「これは…新しい切札、ですか」

 

「ええ…私はね、負けず嫌いなのよ。ここに入ってからは強い奴らに負け続けて鬱憤溜まってたのよね…だからそいつらに負けないくらい強くなる。能力発動!手札を2枚破棄と盤面のモンスターを1体砕いて相手の場のモンスターを次のターン攻撃不能に!更に相手に二点を与え私は二点を回復!」

3→5(捻咲)

4→2(センヤ)

 

これで点差は広がりセンヤ側が一気に不利になった。

捻咲の置きダメージモンスターは殴れないのがセンヤの戦術に対して却って強くなっている。

条件的に見てもセンヤは相当厳しそうだ。

 

「点差が一気に…」

 

「更に魔法!『毒芽吹く花園』!墓地より『ポイズニストチューリップ』を蘇生よぉ!更にこのターン自分のポイズニストモンスターは効果で破壊されない!さて、攻撃ね…ほら攻撃してやるわよぉ、貴方の『横流しする町民』で攻撃」

 

更にダメ押しに破壊耐性までつけて来たな、対抗魔法でのカウンターすら許さないようだ。

捻咲、相変わらず恐ろしい女である。

 

「町民の攻撃時の能力で一点受けていただきます!そして対抗魔法『間者の自爆』!相手の場のモンスターと同名のカードが墓地にあれば相手の場のモンスター二体を破壊して更に相手に二点与える!」

 

5→2(捻咲)

 

「ポイズニスト達は破壊されないから破壊されるのは町民だけよ!これでターン終了」

 

「私の、ターン…『収賄する門番』を召喚して墓地より対抗魔法を回収!更に魔法『商人の言いくるめ』でポイズニストチューリップを手札に………これでターン終了」

 

「殴れないものねぇ…さあ、私のターン!ここで私の可愛い可愛いポイズニストが能力発動!受けなさい、私の毒針を!ターン開始時に一点よ!」

 

「くっ……だがまだ一点あるっ!」2→1(センヤ)

 

「いいえ、もう終わりよ魔法『迫り来る一撃』相手に一点よ」

 

『迫り来る一撃』……それは俺や捻咲が昔使っていた『逃れられぬ双撃』の調整されたみたいなカードだ。効果は1点相手に与える。強欲なアレが強過ぎたから貪欲になったりして似た能力のものが代わりに刷られるみたいな奴だ。

何故最近『逃れられぬ双撃』を俺も捻咲も使ってないかと言うと……ある時からどうやら禁じられたカードとなっているようなのだ…。使おうとするとカードが灰色になってしまって使用不能になる。

どうやらこの世界ではたまにある事らしい。

最悪すぎる………。

 

「ここでそれを引かれていたんですね……私の、負けです」

1→0(センヤ)

 

「私の勝ちよ…」

 

 

 

「君が言った通りだったね、捻咲さんの方が強いって」

 

「思ってた以上に強くなってたけどな」

 

センヤと捻咲ならギリギリ捻咲が上だと思っていた。

しかし今回の勝負を見るに捻咲はかなり強くなっている。

 

「頼もしいじゃないか、まあ僕達は負けないけどね」

 

「その言葉、覚えといてくださいね」

 

「ははは、怖いこと言うね」

 

三月先輩と話しつつ視線をセンヤと捻咲に向けると、捻咲の視線とかち合う。

その目は懐かしい目だった。

小学生の頃対戦していた、あの頃のようなギラついた目を捻咲はしている。

生徒会の座を奪いに来る日が楽しみだ。




一色ノゾム→一色ソメルに修正しました
指摘・誤字報告いつも大変助かっております
本当にありがとうございます
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