転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた   作:大きいホクロ

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下された神託は一つ。
逆徒、叡智の王及びそれに恭順する者への天誅。

ファイティングライフ 神罰漆攻 収録カード『<神託>の聖騎士』フレーバーテキスト


それでも本筋は進んでる

 夢を見ている。

俺が持っているのはファイティングライフのカードじゃない。前世でやってたカードゲームだ。

対戦相手は誰だっけ……名前思い出せないな。

 

「つまんないわ…」

 

「俺達のレベルに合わせてくれよ」

 

「悪い、俺そろそろ卒業するわ」

 

次々と対戦相手は変わっては消えていく。

そういえばこいつらは、名前も最早覚えてないこいつらは元気にやっているだろうか?

夢に出てくるこいつらはつまらなそうに俺の対面に現れて消えていくだけだが、それでも友人だったのに変わりない。

それに前世の父さんや母さんも元気なのだろうか?俺が死んで悲しんでないだろうか?

弟も元気かな?俺と違ってよく出来た奴だったし大丈夫か。

前世への未練だとかそういった物は最近消え始めている。この世界の“俺”になっていると言うべきなのだろうか?前世の俺は今の俺に溶けて混ざりあっているみたいな感じだ。特に最近、ユウキ達と仲良くなった辺りからその辺が顕著だ。

そうやって消えゆく今になっても、なんだかんだであっちの世界の人間が恋しいらしい。

寂しいな。

 

 

 

 

 

「ゼン様、だいぶお疲れですね」

 

 交流戦が迫る中でも当然授業はある。そして今はその合間の昼休み、センヤが眠そうな俺に声をかけて来た。

 

「ああ、ちょっと寝付きが悪くてな」

 

「大丈夫です?何か心配事でもあるんですか?」

 

センヤは心配そうな声で尋ねてくる。

 

「ああ……いや、大丈夫だ」

 

心配事自体はある。無論DFC団員の行方不明の件と神託やら神討ちのカードについてだ。

センヤは別にDFCがなんだとか知らないし、カード群についてもただのカードという認識だろうしこの話題は出すべきでもないだろう。いや、DFCの事を知っているユウキ達にすら今の段階では話していないし誰かに話すべきでは無いのかもしれない。オッサンに今度会った時その辺はユウキに話して良いか聞いておくか。

 

「そうですか……手伝えることがあったらなんでも言ってくださいね!」

 

「ああ、頼りにしてるよ。じゃあ早速授業始まる前に起こしてくれ」

 

前世関係の夢を見る時は大抵起きても疲れが取れてない。それにしたって今日は最近のアレコレで疲れてるのか尚更だ。

だから寝る。

 

「はい、ゆっくり休んでくださいね」

 

机に伏せて瞼を閉じるとすぐに眠気がやって来た。結構ぐっすり眠れそうだ。

 

「捻咲と一色が喧嘩してるってよ!」

「マジかよ何が原因だ!?」

「見に行こうぜ!」

「痴話喧嘩らしいぜ!」

 

なんかクラスの奴らが騒いでる気がするがそれでも今は眠気が勝っている。

センヤが起こしてくれるし深く眠ろう。

 

 

 

 

 

「ゼン様……ゼン様…起きてください」

 

「なんだ、もう昼休み終わったのか」

 

センヤにゆすられ、心地良い眠りから目を覚ますした。

時計を見ると授業開始の5分前といった塩梅だ。

 

「ええ。ビックリするくらいぐっすり眠ってましたよ?ちゃんと夜寝てくださいね」

 

「そうだな…それができたら楽なんだがな。というかなんか人少ないか?そろそろ始まるんだろ?」

 

「何やら皆様教室をドカドカと出て行ってそれきりでしたね」

 

「そうか…まあすぐに戻ってくるだろ」

 

「そうですね」

 

その後、授業ギリギリに間に合うか間に合わないかにはクラスメイトは全員帰って来た。

午後の授業はいつも通り過ぎ、何事もない日常と言うべき1日だった。

 

「ゼン様、この後少しどうです」

 

放課後、センヤはデッキを徐に取り出してそう言ってきた。

 

「良いぞ、俺の部屋でやるか」

 

「はい!」

 

教室でやっても良いんだが俺がここで対戦するとギャラリーが結構来て鬱陶しい。

数少ない俺の個室の有効活用だ。

 

「ゼン様は交流戦は副将でしたっけ」

 

「そうだな、ユウキに大将は奪われた」

 

「それ、シラユリ様も嘆いてそうですね」

 

「あいつも同じくらい嘆いてたよ。あいつは上昇志向が強いからな」

 

「そうですね。ですが次は私が勝ちますよ!」

 

この前の交流戦メンバーの選抜でセンヤは捻咲に負けている。

センヤは負けた後は悔しそうにしており、試合後数日は元気がなかった。

 

「頑張れよ、あいつまだまだ強くなりそうだし」

 

「見ていてください!いずれゼン様も倒しますから」

 

「それは楽しみだな」

 

周りの奴らはどんどん強くなっている。

俺も負けてはいられないなと交流戦の選抜を見て改めて感じた。

なんかよく分からないカード群も姿を見せ始めているし警戒するに越したことはない。

 

「そういえば先程シラユリ様を見掛けましたが、何やら大分イライラしてましたよ」

 

「あいつはいつもイライラしてるだろ」

 

俺の中であいつはいつもやたらとイライラしている印象だ。俺の部屋に菓子を食いに来る時もぐだぐだしょーもない愚痴を垂れている。やれクラスメイトがウザいだとか男子生徒から遊びの誘いが多いだとか。

俺の部屋の茶菓子は大体あいつの愚痴の肴にされている。

 

「それは流石にシラユリ様に失礼ですよ」

 

センヤは苦笑いしながら捻咲を擁護した。

昔はまだ取り繕ってたような気がするんだけどなぁ。

少なくとも入試の実技試験の時にはユウキ達の前で敬語だったりギリギリ内面の激しい性格は見せてなかった気がする。

だというのに最近だと常に狂犬だ、外見だけはお淑やかそうなのに嘆かわしい物である。

 

そんな他愛も無い話をしながら校庭を出て寮への道を行く。最近は情報が渋滞していたからこれくらい平和な日は悪く無い。

 

 

「なんだあの不審者!?」

「大変だ!藻部がっ…!」

「やばいって絶対!」

 

 

「なんか校庭の方が騒がしくないですか?」

 

「そうか?まあ生徒同士の対戦でもしてるんじゃないか?」

 

「そうですね」

 

今日の空も相変わらず曇天模様だ。

ここ最近は梅雨のせいかそんな日が続いている。

 




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