転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた 作:大きいホクロ
ファイティングライフ 竜花剣燗 収録カード 『庭園を支配する女王蜂』フレーバーテキスト
「トドメですよ、『包囲する蜂兵』で攻撃」
「くそっ…………」
次鋒戦、捻咲の対戦相手は以前三月先輩の後ろに控えていた女の先輩だった。
その結果は捻咲の敗北、これで一年生側は二連敗である。
まあ今回は三年生と一年生の実力の見せ合いの場であるから負け越し確定でも試合はさせてもらえるようである。
「強いね、流石は三年生」
「ああ、武者震いが止まらない」
「ああ、そうだな……特にユウキの相手は一番強いぞ」
ユウキの相手は恐らく三月先輩、たった今捻咲を下した相手よりは強い相手だ。
「流石に一番強い相手に当たった事になるのはソメルじゃないかな」
「あれは流石に交通事故だな……一色殿なのに同情した」
「本当にそれもそうだな…」
一色はまだ戻って来ない。
あの普段の態度と比べて内面は意外と繊細なのかもしれない。
「………………」
そんな会話をしていると捻咲は無言で戻って来た。
「……ほら、なんか声かけてあげなよ」
ユウキが肘でこちらをつつきながら小声で言ってくる。
「なんでだよ、どう考えてもそっとしとくべきだろ」
「良いから、行きなよほら」
「そうだぞ、ほらとっとと行く」
武家にまでつつかれる。こういう時は一人にしておいた方がいい、俺にはわかる。負けた時には棋譜覚えておいて一人で反省会したい時もあるんだよ、勝ちへの意識高いしアイツもきっとそのタイプだよ。
捻咲は無言で俺達と離れてる位置に座った。
「「………………」」
二人は無言で行けと訴えて来る。
武家お前は中堅戦だろ俺じゃなくてお前がとっとと行け。
「はぁ………」
「……………」
捻咲は近付いてきた俺を無言で見ている。
本当に声かけなきゃダメか?
「…‥捻咲」
「………なに」
「しっかり見てたぞ、お前の負け方」
「っ〜……言ってくれるじゃない」
「次は勝ってるところ見せろよ」
「言われなくてもそのつもりよ……相変わらず慰め方下手くそすぎ」
さっきまで無表情だった捻咲の表情が少し和らいだ。
というか相変わらずってなんだよ、失礼な奴だな。
「悪かったな」
「もっと悪びれなさい…で、見ててどうだったの?」
「ああ、2ターン目の動きなんだが…………」
「けどあそこでああしなきゃ次のターンやばくない?」
「それ上振れした時だろ、事実相手の動き濁ってたし」
「それもそうね…‥だったらこの手は……じゃない?」
「ああ、けどそれ裏目あって………だろ」
捻咲はやはり負けてからセルフで反省会をしていたようであり、先ほどの対面についての論議を始めた。こいつはやっぱ切り替えが早いし慰めなんて必要ないだろう。
最近は負けた後不機嫌になってる姿が散見されるのはあまり良くないからそこだけは何とかしてほしいがな。小学生の頃は悔しがる程度だったんだがなぁ…。
「あの2人、なんというか独特だな」
「そうだね、だから強いんだと思うよ」
「そうだな…‥ユウキ殿、次は私が行ってくる」
「うん、頑張ってね」
「この流れ、変えて三年生チームに勝ちましょう」
「そうだね、せっかくだから勝ちたいね」
「ええ!」
「頑張りなさい、武家」
「頑張れよ」
議論してるうちに漸く武家が対戦に出るようだから一応エールを送っておく。チームメイトだからな。
「うちの2人のエースには私が繋ぐ!」
そう言って武家は卓へと向かっていった。
「それはそれとして、武家は実際勝てるのか?」
後ろ姿を見送った後にポロッと言葉が溢れてしまった。
「勝つよ、ミコトさんは。だって今の彼女はすごく強いから」
その目には一点の曇りもなく、武家の勝利を信じて疑っていない事が読み取れる。
「お前が言うんなら間違いないな」
「信頼してくれてるね、嬉しいよ」
「やっぱ今の無しで」
「もう聞いちゃったから遅いよ」
「何2人の世界に入ってるのよアンタ達」
捻咲が呆れたような顔で言ってきた。
そう言いつつ隣に座ってきたのは混ぜて欲しいのか?と言いそうになったがやめておく。なんかキレられそうな気がした。
「ただいまー、調子どう?」
騒がしいのも戻ってきたみたいだ。たかだか飲み物飲むのに時間かかり過ぎだろ、なんて野暮なことは聞かないでやる。
「今ミコトさんの試合が始まるよ」
「なるほどね、シラユリちゃん隣座ってい…………ユウキ、隣座るな」
一色は捻咲の無言の睨みで大人しくユウキの隣に座った。
「私のターン、召喚だ『かぶき者の大名』!相手は防御不能だ!一斉突撃!!!!」
「っ………通るよ」
「やった!やったぞ!!!!」
ユウキの言った通り武家は無事勝利を納めた。
武家の対戦相手は確かちょっと前くらいに三月先輩と話してるのを見たことある気がする男子生徒だ。
対戦内容を見る限り捻咲の対戦相手にも引けを取らない強さだったがそれ以上に武家が強かった。
正直あまり勝っている印象が無かったから驚いている。
対戦は他の生徒達も観戦しているが始めての一年生側の白星でそこそこ盛り上がっているようだ。
「ユウキ殿!やりましたよ!」
「うん!おめでとうミコトさん!」
「ふふふ、もっと褒めてくれ」
武家はユウキに褒められてとてもご機嫌そうだ。
一応チームメイトの俺も褒めておこう。
「プレイング、大分うまかったな」
「「「………………」」」
武家とユウキ、そして何故か捻咲がえ?まじ?とでも言いたげな顔でこちらを見てきた。
「な、なんだよ」
「い、いえありがとう。その、褒められると思ってなくて驚いてしまった」
「うん、普段あんまりしないから驚いたよ」
「別に褒める時は褒めるが……」
こいつらの中で俺は一体どんなイメージにされているんだよ。俺に対してやっぱ皆失礼じゃないか?
「普段の自分に自覚ないパターン?」
一色お前普段の俺そんなに知らないだろ。自覚がないって何だよ俺はしっかり褒めるべき所は褒めてるぞ。普段からセンヤとの練習中とかで…………たまには褒めてるよ。
「どうだか……」
捻咲、なんかお前また不機嫌になってないか?おい足を踏むな痛いだろ…というかお前これもしかしてヒールか?マジで痛いぞ…。
「まあいい……次は俺だな」
「うん、頑張ってね」
「応援しているぞ!」
「とっとと勝ってきなさい」
「頑張ってな〜ゼン」
見送られながら卓に着く。
この世界でのカードゲームの対戦は本当にスポーツみたいだな、と卓のあるスタジアムに立った状態で卓にカードを置きながら思う。
さて、俺の相手は……。
「ごめんね、悪道君。副将予定だった生徒が熱中症で倒れちゃってね。副将と大将は臨時で両方僕だ。もし2回同じ人が立つのが不公平だって思うのなら、代わりの生徒をすぐに用意するよ」
「大丈夫ですよ、三月先輩。正直対戦できないと思ってたから嬉しいですし」
「そう言ってくれるなら手間が省けて助かるよ。…………じゃ、やろうか」
この学園で一番まともで、一番世話になった先輩が対戦相手なようだ。
ユウキ、悪いな。俺が先に三月先輩に土を付ける。
神託編は後2話ほどで前半終了です。後半に行く前に間話のような物を挟みます。
前半の目的は一色の顔出しとユウキ達本筋組との交流なんですが今まで飛ばせていた本筋に関わることが増えた結果間延び感が否めないかなと書いていて感じます。どうかご容赦を。
キャラが増えてきたので間話に合わせて簡単なキャラ紹介も投稿予定です。