転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた 作:大きいホクロ
ファイティングライフ 映画入場特典ファイライベイゴマースペシャルパック収録カード『世界繋ぐ竜王』
時期は一応交流戦後です。
細かい説明は省いてますがまだゼンは四天王です。
青い海、白い雲、光る砂浜、なぜか水を受けても一切傷まないカード。
俺の眼前にはそんな風景が広がっていた。
時期は7月、俺たち一年生は今臨海学校に来ている。そして今日1日は自由時間だ。
と言ってもなんだかんだで俺たちは中学生。流石に海で騒ぐ年じゃない。
という訳で俺は珍しく生徒会権限を行使して持って来させたビーチパラソルとリラックスチェアを設置してボーッと過ごす事にした。
潮風が気持ち良いし意外と静かな砂浜は心地良い。
「「「「海だーーー!!!!」」」」
前言撤回。やかましい。
この声はおそらくユウキ達だ。
まだまだガキだな、と温かい視線を向けた後にまたボーッとしようとする。
「ゼン様、飲み物を持ってきましたよ」
横合いから声を掛けられる。
そこに居るのは見知らぬ水着の女性だった。
ビキニにパーカー、スタイルは多分結構良い。
身長はかなり高い、センヤくらいあるだろうか?様と敬称を付けているから恐らく学園側が生徒会権限で色々やる俺の為に用意した人手だろう。
事実そんな感じの教師ではない職員がうちの学園には何人かいる。会長とかむっちゃその辺の使い方が荒い。
「ああ、ありがとう」
飲み物を受け取った後もその女性は離れる気配がない。
まあ俺がまた何か指示を出した時の為に待機しているのだろう。
「良い天気だな」
「そうですね」
空は雲自体はあるものの綺麗な青色、空色と言うべきか?をしている。
「ん?」
一瞬、そう一瞬何か一筋の光が見えた気がする。
しかし空の風景は雲の位置が少し動いた程度で何も変わってない
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない」
「そうですか」
きっと気のせいだろう。意外と空からカードが降ってきたりしてな。
特に何をするでもなく潮風に吹かれる。
その傍にはずっと女性が控えてるのは少し気になるが特に声を掛けてきたりする訳でもなくこちらを微笑を浮かべて見ているだけなのでまあ気にしない事にした。
そうしているうちに昼を少し回った時間になっていた。
海の家でも探してみるか、と立ち上がる。
「どちらへ?」
「ちょっと飯でもなと。ピークは過ぎただろうしな」
「ご一緒します」
砂浜を知らない女性と一緒に歩く。
女性の身長が高いのもあってか俺の身長が低いと錯覚しそうだ。
センヤといる時もそれは同様でアイツと一緒に誰かがいると大抵背が低く見える。
そう言えば今日センヤ見かけないな。前日までは「楽しみですね〜ゼン様!」なんて言ってウキウキしてたのに。
「流石FL学園、良い場所を抑えてますね」
「そうだな…一体いくら掛けてんだか」
生徒会に権力与えたり変な大会やったり変な学校としか思えなくなりつつある我らが母校だが、実はプロを量産してる名門校、金はあるのだ。
「海の家…………凄い人だな」
「そうですね………」
たどり着いた海の家はピークを過ぎているであろうにも関わらず大繁盛、うちの生徒で溢れていた。
海の家と言っても小綺麗な感じなのも人が多い要員だろうか?
外のパラソル席でおしゃれなかき氷を食べてる人が結構多い。
「戻るか……」
「いいんですか?あの、並んできましょうか?」
「いやいいさ、別にそこまで腹減ってる訳じゃねぇし…………」
そう言って踵を返し戻ろうすると、もう少し距離が離れた所にある建物が目に入った。
何やら看板が立っているがこの位置からじゃ文字は読めない。
「なあ、あれもなんかの店か?」
「あれ、ですか?うーん海の家と書いてありますが見た感じかなりボロボロですね」
どうやらこの女性は目が良いらしい。
俺ではさっぱり見えない看板を易々読み解き建物の状態まで把握している。
「行ってみるか」
「え!?本当にかなりボロボロですよ、それに距離もあるし並んだ方がマシだと思いますよ」
「別にいいさ、運動になる。面倒だったら来なくて良いさ」
そう言って俺は歩き出す。どうせ暇なんだから多少歩くのは気にもならない。
「待ってくださいよゼン様〜!」
「ここが、か」
目の前に佇む建物はまさにボロ屋と言うに相応しい感じだ。
やってるかも疑わしいがボロボロな開店中の札が扉にかかっている。
「すごいボロボロですね、あの、やっぱり戻り……」
「まあ開店中になってるしやってるだろ。行くぞ」
「ちょ、なんで今日はそんなに行動力あるんですか〜」
アンタとは今日初対面だろ、そう思いながらガラガラと音を立てながら扉を開く、薄暗いが一応明かりが灯っている。
「いらっしゃいませ〜、お二人ですか?」
入ると即座に店員から声がかかるが、その声の主は小学生くらいの女の子だった。
夏休みで家の手伝いでもしているのだろうか?
「ああ、二人だ」
「本当にやってる……」
「お好きな席にどうぞ〜、どうせ全部空席なので」
「どうも」
そう言って俺は座敷に座る。向かい合う形で女性も腰掛ける。
「やってて良かったですね〜」
「そうだな、人も少ないしこの方が落ち着く」
「そう言ってくれると助かりますよ〜、お父さんがいつまで経ってもここ直すつもりなくって人が少ないのが逆にセールスポイントになってます!」
店員が客が他にいないのもあって暇なのか声を掛けて来た。
今日会う人はどうも全員フレンドリーだ。
「ええ…それでやってけてるんですか?」
「やってけないんだけどお父さんの昔の稼ぎで特に困らないって感じ。そんなにお金あるから直せば良いのにっていつも言ってるのにさ〜」
「道楽、なんですね…」
「ところで注文良いか?焼きそばと烏龍茶頼む」
「はーい、お姉さんは?」
「え、あ、同じので」
「はーい!お父さーん、注文入ったよー」
そう言うと店員は店の奥の方に入って行った。
飯が来るのを待つ間、特に話す事もないので沈黙が空間を支配していた。聞こえるのはボロボロな時計の針が時を刻む音と、店の奥から聞こえる焼きそばを炒める音だけだ。
その沈黙を対面に座る女性が破る。
「あ、そういえばゼン様、夏なので怖い話でもどうです?」
「怖い話?まあ良いが…」
にしてもこの女性随分話題選び独特だな、初対面の状態でいきなり怖い話って…。
「では行きます。………知ってますか?自分が乗っ取られる話」
「……乗っ取られる?」
「ええ、この世界に別世界の人間がやって来てその人の中に入り込み、その人の人生を奪っちゃうって話です!自分を奪われちゃうんですよ」
「その話………」
俺の境遇的に思い当たる節があり過ぎる。しかし流石に偶然だろ、そう自分に言い聞かせつつも言葉に詰まる。
「その話、本当だって言ったら驚くか?兄ちゃん、嬢ちゃん」
突然渋い声がした。
「ほら、焼きそばお待ちどう」
その声の主の大男はそう言って焼きそばの皿を俺と女性の前に置いた。
どうやらこの店の店主のようだ。
「どうも………」
「あの、本当って………」
「俺は大学生の頃この体を乗っ取ったのさ、別の世界から魂だけやってきてな」
つまりそれは転生者……いや、転移者と言うべきだろうか?
「もう!父さんったらまたそうやってお客さん揶揄って!ごめん、お父さんその冗談好きなんだ」
「良いじゃねえか、面白いだろ?」
「ははは、びっくりしましたよ」
「……あの、店主さんは強いんですか?ファイト」
冗談と店員は言った。しかし俺はそれが冗談には思えなかった。
「ん?ああそうだな。昔の話さ、その時稼いだ金で道楽でこんな店やってるのさ」
「そうですか……一戦、どうですか?」
「…………良いぜ、ただ………」
「ただ?」
「焼きそば食ってからにしろ、冷めるだろ?」
焼きそばの味はそこそこ美味しかった。
店主の転移タイミング修正しました