転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた 作:大きいホクロ
ファイティングライフ 映画入場特典ファイライベイゴマースペシャルパック収録カード『紬のペンダント』フレーバーテキスト
「離島ってどうやって行くんだよ、この雨で」
「俺たちが乗ってきたボートがある!それに乗るんだよ!」
「危なくねぇか…転覆するかもしれんぞ」
「なんとかなるさ!ここで二の足踏んでるよりマシだ!」
「着いたぜ………」
「雨が、やんでる…のか?」
その離島は不自然に雨がやんでいた。やんでいると言うよりも雨側が避けているかのようだ。
そして更に島の中心には何やら大きな影が見えた。
それは間違いなく、『<神討ち>の竜王』だった。
「あれは……ユウキのモンスターか…なんで実体化しているんだ」
「ゲートは無事だ!急ごうぜ!」
男たちに続いて俺たちは島の中心へと向かった。
「ぐあっ………」
「なんとか勝てたっす……」
「くそっ……」
「キリが無いわね……」
島の中心に近づくと、遠目に決着が付いたのか例のフィールドから出てきたであろう雅とすが語尾の奴が現れたのが見えた。対戦相手と思しきネオDFCの構成員と一緒だ。
「次は私が相手だぞ!」
「この計画は絶対に成功させる!勝負!」
「くそっ……」
「次は私が!」
「私も行くぞ!」
また対戦が始まろうとしている。
展開されて居なくなったら話も聞けない。
「よお、お前らいつも何かの渦中に居るな」
だから乱入するに限る。
「悪道!?アンタいつの間に」
「ゼン君!……と後ろの人たちは?」
「ネオDFCの構成員だ」
「どういうつもりっすか!」
「落ち着けよ、なんでお前らそもそも戦ってんだよ」
「……そいつらの変な計画に友達が使われそうになってんのよ…」
雅がそう言い放つ。こいつらに加担するつもりか?と鋭い眼光は暗に言っている。
「その子を私達は死なせたくない!」
「なるほどな………」
「おい、どういう事だお前ら……死なせたくないって…死なせるほどのことをやってるのか?」
店主が二人にそれを問い詰める。
「知らないぞ、俺たちは……多分あの少女の事だが協力が必要としかオトルさんは言ってなかった」
「そ、そうだ。別に殺そうなんざ思ってねえって、だから邪魔しないでくれ!」
「ふざけんな!あの子は凄く怯えてた!大の大人が何をやってんのよ!」
「……………」
その剣幕にその場にいた団員達は押し黙った。
雅はとても怒っている。ユウキのカードが破られた時と同じか、それ以上にだ。
そんな中大きな爆発音が響いた、その出所は先程から島に出現している竜王だ。
上空でのユウキの対戦は白熱しているようだ。相手はおそらくそのオトルさんとやらだろう。
「直接問い正した方が早いだろ、そのオトルって奴に。ユウキの所へ行こうぜ」
「けど上空にどうやって行くのよ」
「それもそうだな……」
「なあ、なんか無い…ですか」
隣の店主に何か無いか尋ねる。
「別に敬語じゃなくて良いぞ…そっちが自然体なんだろ?おい、この島にセスナかなんか用意してたよな?」
「それがよ、古くてもう使えないんだよ……」
方法が浮かばず上空に浮いているユウキを見上げる。後ろにはユウキのモンスター達が実体化して控えている。
「俺たちもカードが実体化出来たらな………」
「出来るぞ………」
そんな言葉と共に俺たちの前に姿を現したのは一色だった。
「一色………出来るってどういう…というかいつから」
「いつからでもいいだろ?話を戻すがここは今DFCが展開するフィールドに近い状態になっている。プレイヤーではないからゲームには干渉できないが呼び出すことはできる。こんな風にな」
そう言うと一色は鳥のようなモンスターを実体化させた。
「空を飛べそうなモンスターを出せば上で観戦はできるはずだ」
「……来い」
それを真似て俺もカードに出てこいと念じてみる。カードは大きく光を放ち、その光は一つの形を象った。
それは無論『失いの龍』である。
「何人か乗れそうだな」
「悪いが乗せてくれ、俺は飛べそうな奴をデッキに入れてない」
「ゼン君、私もお願いしていいかな?」
店主と水瀬が同乗を希望してきた。
水瀬のデッキには以前なんか飛べそうなモンスターが居たはずだが抜いてしまったのだろうか?
「好きにしろ」
俺の龍、一色の鳥の他、すの奴のロボだったりネオDFCの連中の奴らの思い思いのモンスターが空を飛び、ユウキとオトルだったか?と呼ばれる男の対戦を見届ける形になった。
ユウキの対面、オトルの後ろには次元の裂け目の様なものが広がっている。しかし通れて1人くらいと言ったサイズだ。
そしてそれを囲う様にどこか禍々しいモンスターがいる。
そしてオトル自身はどこか疲れ切った男な印象を受ける。悪く言えば勝導ユウよりリーダーとしてのカリスマを感じさせない。
一方のユウキの方は後ろに1人の少女が肩に手を乗せて一緒にいる。
「水瀬、ユウキの後ろに居るのは?」
「あの子、紬ちゃんって言ってね…砂浜で倒れてるのを私たちが見つけたんだ。自分で言ってたよ、私は多分この世界の人じゃないって」
話を聞く限りは紬も俺たちの世界の人間なのだろう。
「で、それをDFC、いやネオDFCが追ってきたって訳か」
「うん…なんでも紬ちゃんに眠る特殊な力であの裂け目は安定するらしいんだ……命と引き換えに」
「なるほどな、1人を犠牲にしたら他のネオDFCの帰りたい奴らは救われる、か」
「貴様らには分からないだろう!我々の苦しみを!郷愁の思いを!」
「そうだね。分からない、僕はその辛い経験をしていないから」
「そうだろう!家族と、友達と引き離された我々の苦しみを……そしてその苦しみに耐えて我々は遂に帰れるのだぞ!」
ユウキと相対するオトルの叫びは悲痛だった。
対してユウキの対応はどこか冷めている。いや、恐らくは同情しているがそれを悟らせない様にしている。
「そうだそうだ!」
「私達は帰りたいだけなのよ!」
「ガキは引っ込んでろ!」
「こんな生きづらい世界嫌なんだ!帰してくれよ!」
「俺はカードゲームなんてさっぱりなんだよ!」
思い思いに周りでモンスターに乗って観戦しているネオDFCの連中がブーイングをする。
その叫びは怒り以上に悲しみを感じさせ、オトルとネオDFCの連中の根本にある帰還への強い執着が見て取れる。
「ユウキ君……私の事は良いから」
「大丈夫、紬さんは必ず僕が守るから。……確かに皆さんは帰りたいだけでしょう」
「ああ、そうだよ。我々は元いたところに戻りたいそれだけなんだよ!カードゲームが何処にでも介在してくるのが怖くて嫌なんだ!」
「それでも……何人もの人が辛い思いをしたとしても、僕は友達を死なせたくない!…………召喚だ!『世界繋ぐ竜王』!!」
そこに現れたのはユウキの切札、竜王だった。
しかし姿は所々違う。
しかしその姿に俺はどこか既視感を感じた。
あれはそう……俺がやっていたカードゲームに居たモンスターに似ている気がするんだ…なんだっけ…。
「なんだ……そのカードは!」
「これは紬さんの世界のカードが僕に与えてくれた力だ!」
その理由はユウキがすぐに語ってくれた。
なるほど、つまりユウキは俺の世界にあったカードがこの世界に来たのを拾っただろう。
そしてそれが竜王と融合した、だな。
「本当に辛かったんでしょう、自分とは本来違う世界、知らない体、知らない常識の中で生きて……」
「何を…分からないと言った癖に、分かった気になるな!」
「それでも!僕は友達の命を優先する!行け!竜王!」
竜王の一撃がオトルを貫いた。
その時、世界は虹色の光に包まれた。
忙しくなるので投稿頻度が隔日になるかもです。
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