転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた   作:大きいホクロ

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管理者により管理された管理社会では全ての国民に管理された力が与えられる。

ファイティングライフ 黒龍執激 収録カード
『管理社会の管理者』フレーバーテキスト


本筋の方で尺使うタイプの出番

『雑魚!』『イキリ野郎』『陰キャ』

『根暗野郎』『カード泥棒』

机に掘られた文字の羅列。

勝導に負けた日から、俺に対するいじめが始まった。

デブとガリが俺に声をかけて来る事もなくなり、ついに本当に孤立してしまった。

 

「よお、悪道、面貸せよ?」

 

「お?なんだ勝負でもしたいのか?」

 

「そうだよ、そのお高く止まった態度矯正してやるよ」

 

最近は負けた俺を弱いと思ってアンティルールを仕掛けてくる奴が増えた。

 

「ほら、攻撃だ」

 

「ちくしょおおおおおおおおお」

 

まあ、そんな奴らに負けるはずも無くあっさり撃退する訳なんだが。

それに正直退屈凌ぎになるし助かってる。

対戦すら無くなったら人との関わりがなくなって狂いそうだ。

 

 

下駄箱から靴を取り出し、ザー、ザー、と雨が降っている校庭へそのまま繰り出す。

俺の傘は誰かにへし折られてスクラップになっていた。

そう言えばカードゲーム世界の治安ってかなり悪いよな。そんな中バト⚪︎ピ覇王の世界の治安ってすごく良いなー、だとか考えて気持ちをなんとか紛らわせて取り繕う。

 

雨に打たれながら家路に向かう。

走って帰る気力もあまり無かった。

この世界に転生してカード主体の世界になった結果、カードゲームをやっている時に感じた少しの苦しみが生活を侵食するレベルで大きくなった。

そして今世の母が俺に残した影響も大きく、そんな色々を考えるのに雨の冷たさが心地良いまであった。

 

「あれ…悪道、君?」

 

そこには少女が立っていた。

確か以前俺に挑んだマコト、だっけかと一緒にいたオドオドした少女だ。

通学路が一緒だったのだろうか?

特に知り合いというわけでもないしスルーしよう。そう思い無視して足を進める。

 

「ま、待ってよ……風邪ひいちゃうよ?」

 

「…こんくらいじゃ引かないさ」

 

「良いから、ほら」

 

そう言いながら少女は自分の傘を俺に差し出した。

 

「自分が濡れるだろ…」

 

「良いから…」

 

「良くないよ、お人好し」

 

そう言いながら傘を突き返しその場を去ろうとする。

 

「ユウキ君から聞いたよ!」

 

「……何を」

 

「カード狩り、あの2人がやらせてたんでしょ、悪道君は知らなかっただけでカードを奪われたのを取り返してるつもりだったって…私のカードや何人かのカードも、あの2人が悪道君の名前出して悪道君のせいにしただけって…」

 

「…気付かなかった俺が悪いさ」

 

「そんなこと……」

 

「おやおやおや、そこのお嬢さんは勝導ユウキ君や雅マコトさんのお友達、水瀬リンさんじゃあありませんか」

突然聞こえた少女以外の声。

シルクハットをしたカイゼル髭の立派な老紳士が、傘を持って立っていた。

 

「……まさかDFC、なんでここに!?」

 

少女、水瀬リンが反応する。DFCってなんだよ…。

 

「なんとなく散歩していればいい事がある、そんな気がする日はありませんか?」

 

「うぅ…最悪なタイミングだ…」

 

水瀬はかなりこの老紳士に怯えた様子だ。

 

「ふふふ、貴方を連れて行けば人質として彼らを誘き寄せられますね。付いてきていただきましょうか」

 

傘の下で男がデッキケースを取り出す。

 

「展開」

 

瞬間、世界が塗り変わった。

周りの空間はまるで宇宙空間だ。

バト⚪︎ピのゲートオープンのような物だろうか?

 

「…やるしかない、下がってて悪道君」

 

震えながら水瀬がデッキケースを握りしめている。

 

「退いてろ」

 

「ちょっ、悪道君!?」

 

それを退かして男の対面に立つ。

無から生えてきた台にデッキを置く。

怯えてる様子じゃ多分実力も充分に出せない。それにガリデブのどっちかに負けてカードを奪われるくらいの強さだ。だったら代わりに俺がやってやる。

 

「おや?貴方が戦うんですか?」

 

「ファイトするんだろ?俺の方が強いしその方が()()()()楽しいだろ?」

 

「自信家ですね」

 

「実力に裏打ちされた自信って奴だ」

 

「その鼻、へし折って差し上げましょう」

 

「「レディー、ファイト!」」

 

「私のターン、『管理社会の警備兵』を召喚しターン終了」

 

瞬間、場にモンスターが実際に現れた。

カードゲーム世界あるあるとは思っていたが、本当にあるのかよ…と正直理解が追いついていない。

 

「俺のターン、『生贄村の飼い犬』を召喚、更に魔法カード『生贄村の生誕祭』を発動、能力で飼い犬を破壊。飼い犬の効果で俺は一枚ドローする、ターンエンドだ」

 

俺のモンスター、実物見るとかなり気味悪いな……。自壊させた時も苦しそうな悲鳴あげて可哀想だし…辛いぞこれ…。

 

「私のターン、『管理社会の国民』を召喚!能力で1枚ドローして1枚破棄。警備兵の能力発動!『管理社会の国民』が盤面に出た時に打点を1増やす!更に次のターン防御可能になる!」

 

「行け!警備兵!」6→4(ゼン)

 

「ぐあぁぁぁっ…………痛い、なんだこれ」

 

「ここでのダメージは本当に体に来るの…ごめん、こんな事に巻き込んで」

 

「謝んなよ、俺が勝手に横入りしただけだ…」

 

「痛いでしょう?今ならサレンダーを許してあげますよ?ターン終了です」

 

「誰がするかよ…。俺のターン、前のターン発動した生誕祭の効果で『彷徨いの龍』を早出しだ。そして魔法カード『生贄村の案山子』で手札を一枚捨て、墓地の今捨てた『生贄村の農夫』を防御のみ可能な状態で召喚してターン終了だ」

 

俺の傍に姿を現す彷徨いの龍。

人より一回りほど大きいその龍は優しい瞳でこちらを見ている気がした。

 

「私のターン、まずはサーチだ!『管理社会管理者選挙』!盤面に管理社会モンスターがいる時に発動が可能!手札を一枚捨てて山札より管理社会モンスターをサーチ!そのまま召喚だ!『管理社会の管理者』!」

 

試験管の中に脳が入ってる気味が悪いモンスターが現れた。

実物で見るとかなりグロいタイプのモンスターだな。

 

「能力で管理社会と名に持つカード全ては攻撃後も防御可能となる!そして、効果で破壊されない能力を付与する!」

 

つまり疲労状態やタップ状態でブロック可能ってことかよ、かなり強いな。

そして破壊への耐性、これは…

 

「そんな、それじゃあ彷徨いの龍の能力は…」

水瀬も気付いたようだ。

 

「そうです、実質無効ですねぇ…それでは!行け!国民よ!警備兵よ!」

 

「警備兵は農夫で防御!国民は受ける」

4→3 (ゼン)

 

「ぐぁぁぁぁぁあっ……」

 

「悪道君!」

 

「ターンを終了です、さあ私はまだ6点残ってます、彷徨いの龍もただの木偶の坊、何ができますか?」

 

「だ、大丈夫?悪道君?」

 

「こんくらい大丈夫だ、まあ見てろ」

 

「俺のターン、『彷徨いの龍』の効果を解決。

ま、何も破壊できないがな。

魔法『生贄村の収穫祭』を発動。3枚を山札に戻し3枚を墓地へ、墓地に落ちた『扇動する狂信者』を場に出す。破壊して能力で管理者のコントロールをこのターン得る」

 

「なっ……!?」

 

「そっか!コントロール奪取は破壊じゃない!」

 

「管理者が居ないから防御は不能になったな」

 

「だが、管理者と龍の打点はどちらも2!このターンでは終わらんしターンの終了時には管理者は帰って来る!」

 

「甘いぜ?魔法『逃れられぬ双撃』を発動、2点だ」

 

「なっ!?しまった」6→4(老紳士)

 

本当にダメージレースにおいてこのカードは強すぎるぜ。

これで打点はしっかり揃った。

 

「さて、防御札はあるか?髭の紳士さん」

 

「くそっ!覚えてろクソガキィィィィィ」

4→0(彷徨いの龍2打点 管理社会の管理者2打点)(老紳士)

 

「忘れられるかよ、あんたみたいな色物」

 

 

気が付いたら元の路地に立っていた。

雨は降ったままだ。

老紳士の姿は見当たらない。

体に受けたダメージはまだ残ってるが歩けない訳じゃない。

俺は家路に着く。疲れたからとりあえず何も考えず風呂入って寝たいや。

 

「あ、悪道君!待って」

 

水瀬が何か言ってる気がするが無視する。

多分必要以上に礼を言わせるし気を遣わせてしまうだろう。

足を早めその場を早く立ち去ろうとする。

 

「悪道君!ごめんなさい!あの時!知りもしないで酷いなんて言って!そしてありがとう!私を助けてくれて!」

 

雨音が響く中でもその声は聞こえて来た。

けどさ、感謝されるような奴じゃないよ俺は。

今日の戦いだって、俺はただ楽しめそうだったからやった。

それにカード狩りだって結局カードを取り返すためじゃなく、俺は対戦したかったからやっていたんだ。善意は一欠片もありはしない。

水瀬に言葉を返す事もなく俺はその場を去った。

雨はその日降り続けた。




逃れられぬ双撃はTCGで初期に刷られるシンプル故強すぎる制限カードみたいなイメージです。
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