転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた 作:大きいホクロ
ファイティングライフ 神徒討双
収録カード『<神託>の大将軍』フレーバーテキスト
「俺の勝ちだ、約束通りカードを渡してもらう
展開していたフィールドが消え、視界が元の世界に戻る。
「天罰が降るぞっ……いつか必ず」
「いいから早く渡せ。そういう賭けだっただろ」
「くそっ………」
たった今倒した男から賭けていたカードを受け取る。
「『<神託>の大将軍』、このカードはどこで手に入れた?」
「神様からのお告げと共にだ、いつかお前には神から天罰が降る!」
そう何度も天罰と言いながら男は走り去って行った。
お告げ、今までこうやってカードを賭けた奴らは一貫してそう言っている。
そのお告げを受ける条件は分からないが彼ら神託持ちはそれに従ってDFCを元の世界に還すよう行動しているようである。
今俺は神託カードを集めている。
そうなる様になった経緯は………
「ところで会長、俺は今学園的にはどういう扱いになってるんですか?」
手を組むと話した後、先ほどから気になっていた事を問いかける。
「行方不明として処理しました。以前からこちらで勤めていたオツという用務員も同様に」
オッサン………。
改めて彼の死を実感するとより一層会長の教えると言っている方法を実行するという意思が強くなる。
「という訳で、行方不明となった君には活動する時にはこれを付けて貰います」
「こ、これは………」
そう言って渡されたのは、ダサいマスクだった。
「…………これをですか?」
「ええ、これをです」
バケ⚪︎マン、暗闇のザ⚪︎、リボ⚪︎バー、明導ヒ⚪︎リ、オー⚪︎ィス…………確かに仮面もこう言った世界ではお約束である。
確かにお約束だが自分がそれをしたいか?と言われると答えはノーである。
というか顔隠してるキャラなら既にセンヤがいるだろ俺はあいつの素顔を見た事ないぞ。
ちなみに渡されたマスクは上の中だと暗闇の⚪︎ジが近い。
「一色君、というよりも神託持ち達に生きながらえてるとは知られたくないでしょう?」
「それはまあそうですけど……」
「よろしくお願いしますね。それとデッキも変えてもらえると助かります」
「この世界でデッキ変えるとあんまり良い顔されないんですけど」
思い出すのはあの顔隠してるキャラ1号だ。
「悪道君として活動する事は無いので関係ないですね」
確かにそれもそうか……。
「昔のデッキを軽く弄って使う」
「君がそれで勝てると言うのなら何も言いません」
「ユウキとかアンタレベルじゃなきゃ勝ちますよ」
「それは心強いですね。と、言うわけでデッキを組めたら行きましょうか」
「行く?」
どこにだよ…….
「この学園の地下、私達の組織のアジトです」
「地下になんてもん作ってるんですか」
この色々な所に金を掛けている学園自体が組織の為に作られた場所なのか?DFCも然り組織の規模がどいつもこいつもデカすぎる。
「まあ、組織は今日壊滅するでしょうけどね」
は?
会長に連れられ、怪しい抜け道を進んで行くとそこには怪しい研究施設のような空間が広がっていた。
しかし不自然なくらいに人がいない。
まるで先程まで実験をしていたかのように実験機材の周りには人がいた痕跡がある。
「誰もいないですね」
ダサいマスクを渋々付け、アニメの中でしか見た事ないようなボロボロの頭陀袋のような外套を身に付けて会長の後ろを歩く。
「そうですね……あ、それつけてる時はタメ口で良いですよ。むしろ敬語は不自然だと思うので」
「じゃ、ありがたく……というか声はどうするんだ」
「その仮面つけてたら少しだけ周りには違った声に聞こえるので大丈夫ですよ」
このマスクダサいのにハイテクだな………
「さて……あそこが代表の部屋ですね」
代表、おそらく会長の組織のボスだろう。
「ちなみに今の代表は過激派側ですよ」
「つまり転移者の研究を推進してるのか」
「そういう事です……さて、この部屋に入りますよ」
会長はそう言いながら代表の部屋に……ではなくその隣の一室のドアを開けた。
「代表の部屋に行くんじゃ無いのか?」
「まあ慌てないでください、ほら入って」
促されるままに入るとそこは書斎の様な空間だった。何やらびっしりと分厚い本が本棚に詰められている。
「ここは?」
「私に与えられた部屋です。そこの椅子にでも腰をかけてください」
そう言いながら会長は執務机に座りパソコンをいじり出した。
どうやら会長は組織内でも個室を与えられる程のポジションに居るらしい。
「なんのためにここに来たんですか?お喋りなら別に会長の部屋でも……」
「いえ、言ったでしょう、この組織は今日滅ぶと。もうそろそろです」
「だからそれはどういう……」
「全てネタは上がってんだよ………お前達がDFCをこの世界に呼び寄せたんだろ!」
急に隣の部屋から大きな声が聞こえて来た。
「この声は…一色か?」
聞き間違える事は無い。つい最近俺を殺した男の声だ。
そういえばこの学園の学園長を俺は知らないな……。
「ええ、一色君ですね。ちなみに勝導君も居ますよ、ほら」
そう言うと会長はいじっていたパソコンのモニターをコチラに向ける。
そこに居たのは会長の言葉通り一色とユウキと……
「………俺の…叔父?」
母の死後、俺を経済的に養っていた叔父の姿がそこにあった。
学園に進むよう言って来たのもこの人で、学園に通う費用も当然この人からだった。
「そう、君の叔父さんも私達の組織の一員です、そして同時に学園長です……そういえば君はなんで学園に来たんでしたっけ?」
「叔父に言われたからだ……」
「つまりそういう事です。彼らは目的の為に君を育ててここに入学させたんです。酷いですねぇ」
“ここ”、こんな怪しい組織のアジトがあるこの学園。
この世界の母も叔父も、何かの目的のための道具として俺を育てて来たようである。
「そうまでして、母さんも叔父も俺に何をさせようとしてたんだ?」
その問いへの答えは会長の口からでは無く、隣の部屋から聞こえる声によってもたらされた。
「ウツワであるゼンは俺が……殺した。お前達の計画は終わりだ」
それは、冷たい一色の声だった。
「ウツワ」、どうやらそれが俺の役割のようである。
「酷い生徒だ。私達がどれだけの手間暇を掛けてアレを作ったと思っている?アレを作るのには相当費用が掛かったのだよ?」
アレ…作る…費用……どうやら会長の言う通り俺は叔父に利用される為に今日まで育てられて来たようだ。
「……作るだと?人を物とでも思ってんのかよ!アイツだって1人の人間だぞ!アイツだけじゃ無い……この世界に連れて来られた奴らも全員だ!」
一色が声を荒げる、俺を殺した時といい最近のアイツはどうにも余裕が無さそうだ。
「その人間達を何人も殺した君は殺人鬼という訳だ。人殺しが私に説教かね?」
「……そうだよ、だから俺がお前を倒して終わらせる。殺してでもだ……」
殺す、つまり他の転移者達の様に元の世界に還すのだろうか?
つまり叔父も転移者なのか?
「殺す?私はこの世界の人間だから神罰は効かないぞ?」
「……神罰が無くても人は殺せる」
「血の気の多い事だ…………勝導君、君は私の甥と友達だったと思うんだがね?」
叔父の言葉の矛先がユウキへと移った。
ユウキは一色の言葉に驚いてないのを見ると、俺が一色に殺されたのを知っているようだ。
「僕は友達を殺したソメルを許していない、けれど……多くの人の人生を弄んだ貴方も許してない」
「ならばどうする?」
「貴方を倒す……けど貴方の相手は僕じゃ無い」
「俺だ………展開」
「我が校の生徒への教育はもっと厳しくすべきなようだ」
勝負するにあたりソメルの手により例のフィールドが展開されたらしい。
モニターから3人は姿を消してしまった。
「さて、私たちも行きましょうか」
「行く?どこへ」
「観戦に」
そう言うと会長は入口の様な空間を空中に作り出した。
あのフィールドそんな機能まであったんだな……。