転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた 作:大きいホクロ
ファイティングライフ 神龍祭誕 収録カード『生贄村訪れし研究者』フレーバーテキスト
「私の………負け、なのか…‥これが……本当の神の力……」
フィールドが解除され、俺と会長含めた全員が元の世界に引き戻される。
俺と会長は叔父の部屋の物陰のようなところに現在居て彼等からは死角になっている。
「…‥これで終わらせましょう、神なんて僕たちの身には余りすぎる……これ以上誰も犠牲にしないために」
「断る!!この力は……私の物だ!次は、次こそは!」
往生際悪く叔父はユウキ達に吠え、ユウキも警戒したような表情をしている。
パチパチパチパチ、とそんな風に手を叩く音がその場に突然響いた。
「いやー、流石ですね勝導君。『機械仕掛けの神』すら倒すなんて」
「会長!?」
「なんでお前がここにっ……」
拍手をしながら会長は姿を彼らの前に現した。
俺もそれに追従する形で共に彼らの眼前に立つ。
「……なぜ君がここに居る?君の部屋は隣だぞ?」
「いえ、今日からここが私の部屋です」
「どういうつもりだ!ふざけるのも大概にしろ!」
叔父は負けて気が立っているのか声を張り上げ会長の言葉に異論を唱える。
「敗者に降る神罰が落ちていませんね………なので、私が代わりに下してあげましょう」
そう言うと会長は『<神討ち>の叡王』を掲げた。
「何をっ………」
それは光を放ち、叔父の体に直撃した。
しかしてその光は神罰とはまた違った色をしている。
その光が晴れると叔父は動かなくなっていた。
「さてと、これは貰っていきますよ」
そう言うと手早く会長は『機械仕掛けの神』を叔父から回収した。
「さて、このままにするのも困りますし処分しますか」
そう言うと会長は叔父に対して再びカードを掲げようとした。
「その辺にしておけよ」
曲がりなりにも自分を養ってくれた叔父が殺されるのは目覚めが悪い。
だから口を挟んだ。
「なんですかアク君、情でも……まあいいでしょう。それ、代わりに抱えて持って行くのお願いしますよ」
成人男性を抱えさせられると言う無茶振りを振られたが流石に命を取るのと比べたら遥かにマシだ。
腕を背に通し持ち上げるがなかなかに重い。
それを動かして一旦ソファの上に置いておく。
「会長、これはどういう事ですか?」
一部始終を見ていたユウキが問い掛ける。
「勝導君、私は別に君と争う気は無いので安心してください。これも悪い事には使いませんよ」
ヒラヒラ、と会長は『機械仕掛けの神』をユウキに見せびらかす。
「じゃあ、何に使うんだよ……」
先ほど受けたダメージが大きいのか未だにほとんど動けていない一色も問いかけてくる。
「うーん、そうですね……神託持ちもDFCも争わない平和な世界を作るため、ですかね」
「そんな世界が作れるんですか?それで」
「ええ、作ってみせます。……今日はお引き取り願っていいですか?彼もそのままという訳にはいかないでしょう」
「…………またゆっくり話は聞かせて貰います」
ソメルを抱えてユウキは戻る事を選択したようだ。
「アク君、彼らを送ってあげなさい。道は一本道ですけどね」
その言葉は遠回しに真っ直ぐ案内するだけで良い、と俺に言っているようだ。
「わかった」
全員無言で通路を歩く。
一色はユウキの肩を借りている状態だ。
「アク君だったかな……君は会長の仲間だよね、どうして彼女に手を貸してるんだい?」
ユウキが沈黙を破る。
「その方が都合が良いからだ」
「都合が良いって……お前らは何をするつもりなんだよ、あのカードを使って」
一色も話に乗っかってくる。
しかしあまり深く話しても俺が悪道ゼンであるとバレかねない。
「さあな、時間旅行とか面白いかもな……ほら出口だ。気を付けて帰りな」
時間を動かし世界を旅行する程の力、それは嘘偽りない今の俺の目的だ。
「……時間旅行か、確かにそんな事できたら最高だな。できたら、だが」
「……会長に伝えておいてくれるかな?また後日生徒会室に話を伺いに行きますって」
「伝えておくよ」
「それじゃあ、さようなら」
ユウキと一色はそう言って寮の方へと歩いて行った。
「ああ、さようなら。ユウキ」
彼らが見えなくなった後に1人呟く。
次会う時は倒すべき敵だ。
「で、これからどうするんだ?」
会長の元へ戻り叔父を縛りながら問い掛ける。
「拠点が割れたので場所を移します」
「それもそうか」
こちらの準備が整う前に、叔父すら倒したユウキ達が攻め込んで来るのは流石に厄介だ。
「ああ、それと例の方法ですけど」
「今言うのかよ」
正直もう少し何かこき使われてから伝えられると思っていた。
「早めに知っておいた方がいいでしょう?」
「そうだな」
こちらとしてもその方が動きやすい為ありがたい。
そして会長が口を開いた。
その方法は____
「怖気付きましたか?」
「いや、覚悟は出来てたさ」
その方法は正直予想できていた。
俺のウツワとしての性質があるからこそ出来る荒技だろう。
「そう言ってくれて嬉しいですよ。その為にはまずエネルギーを集める必要があります、エネルギーが詰まったカードを集めましょう」
「エネルギーが詰まったカード?」
「ええ、ありがたいことに沢山産み落とされてますね。神の力が宿ったカードが」
「これで20枚か………」
あの日から俺は学園内に居た神託持ちに勝負を吹っ掛けて神託カードを刈り尽くし、学園外でも神託カードを掛けて勝負する日々を繰り返していた。
プルルルル、とポケットに突っ込んである電話が震えて鳴る。
あった方が都合が良いだろうと、会長と手を組んでから渡された物だ。
「なんだ?」
「調子はどうですか?アク君」
当然唯一の連絡先である会長からの電話だ。
「いつも通りだ。本題を早く言ってくれ」
「神託カードの新しい持ち主、見つけましたよ。それも学校に」
「一色はまだ回復してない筈だろ?あいつ以外のは既に回収した筈だ」
一色は叔父との戦いで受けた傷がまだ治らないため入院中である。
「ええ、新しい持ち主が出てきたんですよ」
「………誰だ?」
「捻咲シラユリさん、アク君の昔の友達ですね」
これで神託編は終わりです
次章で終章になりますのでもう暫くだけお付き合いいただけると幸いです