転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた 作:大きいホクロ
ファイティングライフ 神龍祭誕 収録カード 『神光のポイズニスト・ベルフラワー』フレーバーテキスト
私にはわからない
「へえ、アンタが噂のカード狩り?」
学校の敷地内に例の不審な格好をして目的の人物の前に姿を現す。
どうやらその相手、捻咲シラユリはこの仮面の怪しい男がカード集めをしている事を知っているようである。
「神託カードを賭けて勝負しろ」
「そんなにこれが欲しいの?」
そう言う捻咲の手には明らかに何やら神々しい力を纏っているであろうカードがあった。
「そうだ」
「まったく…アンティルールなんて小学生で卒業しなさい。…‥早死にするわよ」
そんな言葉と共につまらない物を見るような目でコチラを見てくる。
「長生きし過ぎてもやる事がないさ。良いから勝負しろ」
「まあ良いわよ、やってあげる。とその前に、アンタは何を賭けるの?」
「これでどうだ?」
そう言いながら多量の今までに集めた神託カードを捻咲に見せる。
「へぇ、それ全部アンティルール吹っ掛けて集めてきたの?よくやるわね。それでいいわよ」
「展開」
会長により俺もフィールドを展開する事が可能になった。
世界が書き換わる。
「噂には聞いてたけど、本当にこんな事ができるのね」
そういえば捻咲はこういった事には今までは巻き込まれていなかった。
そう思うと巻き込んでしまって申し訳ないという気持ちもある。
「「レディー、ファイト」」
「私のターン、『祝福受けし子種』を発動、山札から『ポイズニスト・ベル』を場に出してターンエンド」
「俺のターン、『生贄村訪れし研究者』を召喚、能力で山札から2枚を墓地に落とし、その後墓地のカードを1枚を除外」
「生贄村……懐かしいテーマね」
「古いカード群だからな、ほらお前のターンだ」
「そうね、古い癖に使う奴が上手けりゃやたらと強いテーマね……私のターン」
ターンが経過し現在捻咲の4ターン目だ。
お互いの点は3点だ。
俺の盤面にはモンスター二体、捻咲の場には何もいない。
「私のターン、『ポイズニスト・ベル』の能力発動!破壊して山札より降臨!『神光のポイズニスト・ベルフラワー』!」
神々しい光を放つ紫色の花が芽吹いた。
ベルフラワー、確か桔梗の花だったか?
「その能力で私のライフを2点回復して相手の盤面を2体行動不能に!更に魔法『永遠の花園』!能力でポイズニストは次の私のターンまで場を離れない!山札から『ポイズニストチューリップ』を墓地へ!更に魔法『毒芽吹く花園』!墓地よりチューリップを蘇生!!」
3→5(捻咲)
「べルフラワーの効果!能力で私のターン開始時と終了時に一点を与える!これで次のターン開始の瞬間、2体のバーンで私の勝ちが確定する」
3→2(ゼン)
ターンの開始と終わりでの最大2点のバーン、かなり厄介だ。手札も潤沢、対応魔法があると見て間違い無いだろう。
「……次のターンが来れば、な」
「言うじゃない、やれるならやってみれば?」
「俺のターン、まずは『郷愁の突撃兵』を召喚」
「『郷愁の突撃兵』!?生贄村に突撃兵ってアンタまさか………」
「そのまま魔法、『生贄村の真実』を発動。その能力で俺の盤面を3体破壊して俺に1点、お前に2点だ、更に突撃兵の効果で追加の1点」
2→1(ゼン)
5→3→2(捻咲)
「一気に3点も……」
「更に魔法『生贄村の収穫祭』その能力で山札から4枚を墓地に落とし、『扇動する狂信者』を場に出す。能力で自身を破壊して相手のモンスター一体のコントロールをこのターンのみ得る」
「その戦略アンタやっぱり………」
「対象はベルフラワーだ」
「けどまだそれでも削り切れないわよ」
「それはどうかな?魔法『迫り来る一撃』能力で1点だ」
2→1(捻咲)
ノーコストでの1:1交換での1点、それはゲームが加速する程厄介になる。2点なんて許されるはずも無い。
「くそっ……確殺のタイミングまで温存してたわねっ!」
「ターンエンドだ。奪った『神光のポイズニスト・ベルフラワー』の効果発動、お前に1点だ」
1→0(捻咲)
「…………何やってんのよ、アンタは」
「さあ、カードを渡してもらおうか」
「………ほら、持ってきなさい」
そう言いながら素直に捻咲はカードを差し出す。
「ああ、ありがたく貰っていこう」
そう言ってカードを受け取った瞬間だった。
「捕まえたわよ」
フィールドで倒したためダメージが入っているはずなのに、ガシっと強い力で腕を掴まれた。
しかし顔は俯いたままである。
「離せ」
「なんでこんな事してるのか話してくれたら離してあげる」
「つまらない駄洒落だな、なんだって良いだろ」
「………いつもそうね、アンタはいつも私には何も言わない」
「初対面の筈だが?」
まさかバレたか、と内心冷や汗をかく。
「あっそ………で、とっとと話しなさいよ」
困った事に捻咲は俺の正体を確信しているらしい。
「断る、その手を離せ」
「無理矢理にでも振り払ったら?」
そう言われる通りに振り払ってやろうとする、しかし俺は何故か振り払う事ができなかった。
友人としての情に絆されただろう?
「俺の目的はここじゃない別の世界に行く事だ」
嘘は言わない。
それが小学生の頃からの友人に対する誠意だ。
「……何それ」
「それが俺の目的だ」
「そんな格好して元の生活や友達を捨ててもその世界に行きたいの?」
捻咲の混乱を声色が伝える。
「そうだ。それだけが唯一の俺の望みだ」
「私にはわからないわ……そんだけ強くて、これから富も名声もなんだって手に入れられるだろうに……」
声は震えていた。俺を掴んでいた手の力は弱まっていた。
「俺には必要ない。話したぞ、離せ」
「……あっ」
スルッ、と俺の手は簡単に彼女の手を離れた。
「さようなら、捻咲」
「…………私には、わかんないわよ」
後ろを振り向く事は決してしなかった。
ここで振り返ったら俺はこれからも躊躇する、そんな確信があったからだ。
「で、何の用でここに来たんだ?噂のカード狩り君が」
目の前に立つのは肩に棘を付けている男、DFCの元副総裁であり、現総帥だ。
ここはFCタワー、DFCの拠点である。
「DFCを貰いに来た」
俺の目的には転移者を纏める事が必要である。
それに最も都合がいいのが転移者の受け皿になっているDFCを傘下に置くことだ。
「君には感謝している。神託カードを回収してもらえてるお陰で団員の安全が守られている。しかし……子供の冗談でも、言っていい事と悪い事があるぞ?」
「冗談でここまで乗り込む馬鹿はいないさ」
「私の前に居るようだが?」
「本気で貰いに来た、俺がDFCを…いや転移者を全員救う。俺がそれを可能にする力を手に入れる」
そう言いながら俺は仮面を外す。
最近、というか思考への枷が外れて思い出した。副総帥は俺がウツワである事を知っている。
ウツワの力を知っているのであればそれは強力なカードになる。
このウツワというカードともう一つのあるカードの存在で、俺は彼等を従えられると確信している。
「悪道ゼン………君の言ってる事は冗談では済まないぞ。私達の悲願がどれだけ重いか、同じ境遇の君なら分かるだろう?」
そうだ、彼らの苦しみは嫌と言うほどわかる。
だからこそそう簡単に納得して貰えるわけもない事もわかっている。
「……オトルが起こした騒動で、俺は元の世界を見た」
「………オトル」
副総帥もオトルには思うところがあるらしい。
副総帥以外の周りに控えていた幹部らしき団員達もざわついている。
「この世界とあちらの世界はあの時繋がった」
「なんだと!?オトルは成功したのか!?」
「じゃあなんでこのあの騒動の後に無事だった奴らはこの世界に残ってるんだよ!」
俺のその言葉は、その場にいるDFC達を大きく驚かせるには充分だった。
「だが、繋がった世界とこちらの世界では時の流れが違い過ぎた。少なくともオトルのかつての友人達が全員老いるくらいには」
「………前総帥が言っていた仮説は本当だったようだな」
「総帥、信じるんですか?」
「ああ、前総帥の説と彼の話していた内容が限りなく近い……で、その話をしたことについて、続きがあるのだろう?」
「ああ。俺が過去の時間のあの世界とこの世界を繋ぐ」
「………それを信じられると思うか?」
副総帥は当然慎重だ。
組織をただ目の前で大口を叩いているだけのガキに渡す筈もない。
「思わない、だから後見人を連れて来た」
ここで俺はもう一つのカードを切る。
「後見人?」
その疑問に答えるように俺の横の空間が捻れる。
そこから1人の男が姿を現した。
「ただいま。皆、久しぶりだね」
「そ、総帥…………」「総帥!?」「ご無事でしたか!!」
勝導ユウ、かつてのDFCの総帥であり、今の俺の協力者だ。