転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた 作:大きいホクロ
研究者は教主を騙りソレを信仰の対象とした。
ファイティングライフ 神龍祭誕 収録カード『生贄村の教主』フレーバーテキスト
「俺のターン、『器の龍』を召喚。その能力で墓地を2枚肥やし、1枚を除外する。更に魔法『生贄村の埋葬』山札から3枚を墓地に落として2枚を除外。ターンエンドだ」
『器の龍』、召喚したその龍は四肢を拘束され、微動もしない。
その姿を反映するかのようにこの龍は攻撃も防御もできない。
こいつは『<神討ち>の龍』の新たな姿なのだがその姿はひどく弱々しかった。
「ワテクシのターン、君の龍もだいぶ可哀想な姿になっていますねぇ……。『蝋人形館の歓待』を発動して手札より『利忌作の蝋人形』を召喚。その能力でサーチをしてそのまま召喚『死作の蝋人形』。これでターンを終了です」
「俺のターン……」
「悪道君、いやぁアク君、ってお呼びするのが優しさですかねぇ?考え直してはどうですか?」
二階堂は俺に問いかける。
あとどいつもこいつも俺の正体を当然のように分かってるのは釈然としない。
「……何をだ?」
「そこの女狐と協力するの、やめた方が良いですよぉ〜。ワテクシのようにお役御免になって捨てられて終わりですからねぇ〜」
「失礼ですね。アク君はあなたと利用価値が違い過ぎますよ」
「お前、言い方を考えろよ」
ユウと会長が言い争いをしている。
これから先2人でやっていけるのかと心配になる。
「そうだな。……ターン開始時の龍の能力、山札から1枚を墓地に落として1枚を墓地から除外」
会長に使い捨てられる、それは確かにそうかもしれない。事実最初はそれを覚悟して居た。
しかしそこで現れたのがユウだ。
ユウならば俺の計画実行後に会長を咎められると踏んでいる。
「さっきから除外を増やしてますねぇ〜、下準備ですか?」
「『生贄村調査員』を召喚。手札1枚と山札から1枚を除外することで俺は次のターン最初の攻撃でダメージを受けない。更に魔法『生贄の調理』除外されているカードが5枚以上の時に2枚ドローして1枚を除外する」
「ワテクシのターン、動きが少ないですよ?大丈夫ですかぁ?召喚!『蝋人形館の老技師』その能力で山札から蝋人形を呼び出す!『標本の蝋人形』を召喚!能力でコピートークンを生成し速撃を付与!」
「龍はすべての効果を受けない」
「ならば調査員をコピー!そのまま攻撃!」
「調査員の効果でダメージは受けない」
「続いてください!『死作の蝋人形』!能力でターン終了時に行動可能に戻せまよぉ!」
「対応魔法『生贄村の研究結果』山札から4枚を墓地に落としてモンスターを2枚除外。その打点数の合計と同じ打点のモンスターを行動不能に。対象は『利忌作の蝋人形』だ」
「ですがこの攻撃は通る!」
6→5(ゼン)
「ターンを終了です」
「俺のターン開始時、龍の効果を解決して1枚除外。魔法『村に立ち込む霧』を発動して召喚権の代わりに次のターンのダメージを3点に抑制。更に魔法『生贄の血』手札を2枚捨てて2点回復だ」
5→7(ゼン)
順調に墓地と除外を増やしつつ次のターンの負けをほぼ確実に無くす。
「おやおや、次のターンにワテクシは殺しきれないですねぇ」
「ターン終了だ」
「ワテクシのターン、『蝋人形館の大主』を召喚、能力で場の蝋人形の『死作の蝋人形』を破壊!そして山札よりぃ〜『自壊の蝋人形』を召喚!その能力で2体とも破壊してそれぞれの効果で4枚ドロー………そして〜手札を4枚捨てて召喚!『機械仕掛けの神』!」
そこに姿を現したのは叔父が以前顕現させた神だった。
その神々しさは健在だ。
しかしそのカードは会長が持っている筈だ。
「何故…‥という顔をしていますねぇ〜……このカードを作る際に必要な物は何か知っていますか?」
「フィールドで集められるエネルギーだろ………」
「そうです、そしてこのフィールドを組織で使えるようにしたのは?」
「そう言えば二階堂君でしたね」
会長は思い出したかのような声でそう言った。
「模倣とは言えフィールドを実用化し、更に機械仕掛けの神までも用意するか…………実際に奴はなかなかの頭脳をしているな」
作った側のユウとしてもその優秀さには目を見張っているようだ。
「そう!このワテクシ!な・の・で〜当然!ワテクシは顕現させられるのですよ!能力発動!全フリーズ!そして全ハンデス!」
「くっ……」
「さて、速撃!神よ、やれ」
「……受けるしかない」
「ちょうど3点ですねぇ、ターンエンド」
7→4(ゼン)
「俺のターン、ドロー。龍の効果で除外……そして、魔法『生贄の調理』で2枚ドローして1枚を除外…」
「悪あがきですねぇ〜、増えるハンドアドは1枚分だけですよ」
「余裕そうですね、二階堂君」
「ええ、それはもちろん。そろそろあなたの大切なアク君、もらっちゃいますよぉ〜」
「まあ頑張ってくださいね」
「つまらない反応ですねぇ〜」
「だって、アク君は少なくとも負ける事は無いので」
会長は事もなげにそう言った。
割とギリギリだったが引いた札のおかげで期待に添えそうだ。
「召喚『生贄村の教主』。その能力で自身を除外して山札より『神への供物』を手札に加える」
カードをサーチしながら考える、この時が来たと。
俺のウツワとしての役割を果たすこの時が。
「除外されているカードが13枚以上で場に『器の龍』がいる時に発動可能………」
「まさか、辞めな……辞めろ!早まるな!その女狐の思う壺だぞ!」
二階堂は慌てて口調を忘れている。
しかし俺の手は止まらない、その為にわざわざ俺はこの場に立っているのだ。
「『神への供物』」
「また会えたら会いましょう、アク君」
「………すまない」
2人の声はどこか申し訳なさを孕んでいる気がした。
そう思いつつも俺がデッキとは別に用意していた神託カードの束を取り出すと出現した杯の中に取り込まれた。
ウツワ、その役割はその名の通り神の器。
前世の魂を生まれた時より馴染ませ、あちらの世界の神を降ろせる体。
思い出すのは『彷徨いの龍』関係のフレーバーテキストだ。
龍は流れ着いた村で「とがみさま」となり村を守ったという。
とがみ、漢字にするとそれは………
「山札、墓地或いは除外されているカードより『
俺は山札から探した名前だけが書かれた、会長より対戦前に受け取ったカードを『器の龍』に重ねた。
杯が龍の上で覆された。
「………」
目の前にはカードがある法則を持って並べられていた。俗世で我が子達が作った娯楽の一つ、カードゲームであると即座に理解した。
私自身はこのカードゲームがどんなカードゲームなのかを知らない、しかしてこの体がどう戦えばいいか知っていた。
「………悪道君…ですか?」
目の前に立っていた男が私に問いかける。
「そうでもありますね。間違いなくこの体は悪道ゼンです」
「っ………成功、してしまったんですねぇ……」
「ついに顕現されましたねぇ、神が」
「ついにここまで来たか。アク、お前の犠牲は無駄にしないぞ」
対面に立つ男からは強い敵意と絶望を、こちらの後方に控える者達の内1人からは怪しい見定めるような気配とこちらに対して畏敬の念を抱き、そして私が庇護すべきであると感じさせる気配があった。
「さて、ゲーム中みたいですね。再開しましょうか」
「このゲームを、知っているのですか?」
「おかしな事を聞きますね、この体は当然知っています。『外神』の能力発動」
『外神』、そう名が付けられているカードに映っている姿は本来の私とはかけ離れていた。
人型の、しかしどこか無機質さを感じさせる姿だった。
しかしそれは紛れもなく私なんだろう、その姿はこの世界の私に与えられた姿だ。
「除外されているモンスターを好きな枚数場に出す」
除外されているゾーンから出すべきカードを選別する。当然それを私の体は素早く終えた。
「さあ……いきますよ」
私の背後には私のようなモノと様々な生物。
それらが出現するこの空間は我が子達がまだ辿り着いていない境地にある技術だ。
「これが……神の力、だと言うの……か」
目の前の男は絶望したかのようにそう言った。
私は体に従いそのままカード達を動かしていく。
カード達は各々の効果を発揮していく。
「馬鹿な……ワテクシが……俺が、ここで」
「終わりです」
私のカードを横向きにする。
その動きに呼応してこの世界の私を模ったモノが男に攻撃を仕掛けた。
「あっ……」
その私の出した一筋の光は、男を貫いた。
「さて、まずはお話を聞きましょうか。愛しい我が子よ」
私は背後に控える何処か本来の私の世界の気配を感じる男に声を掛けた。