転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた   作:大きいホクロ

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帰りましょう。

ファイティングライフ 神龍祭誕 収録カード『外神』フレーバーテキスト



あなたと共に

 そこは静かな空間だった。

しかしこの空間に似た物を俺は知っている。

以前この世界と俺の世界が繋がった時に見たあの空間だ。

 

「久しぶりですね、我が愛し子」

 

頭の中へと透き通るような声が響いた。

 

「………神様、ですか」

 

そこに実体は無いのだが、確かに“在わす”という事を本能で感じた。

そしてその威厳に感じるのは畏怖ではなく安心感であった。

 

「はい。あなたが呼んだ、あなたの神です」

 

その脳内に響く声にあるのは懐かしいような感覚と温かい抱擁かのような温もりだった。

 

「俺達……私達は神様の世界へと帰りたいんです」

 

神の御前である為謹んだ言葉遣いを意識する。

 

「勿論可能ですよ、さあ行きましょうか」

 

その言葉と共にゲートが開いた。

その先に見える景色は俺の最後の記憶、事故が起きたあの場所だった。

 

「いいえ。帰るのは私ではなく、この世界に来てしまった全ての魂です。それらを元の失われた時間へと帰らせたいのです!どうか、お願いします」

 

「………我が子達が何人もこの世界へと連れ去られていたのはこちらに来た時にはすぐに感じました。勿論私は我が子達に在るべき世界を歩んでいただきたいです」

 

「ならっ!」

 

「しかし、全員は無理でしょう。失われた魂は既に次の輪廻を回っています」

 

「………そう、ですよね」

 

思い返すのは阿久野先生、オッサンそしてオトルだ。

彼らを元の世界に生き返らせるのは不可能なようで覚悟はしていたがやはりショックである。

 

「そして今この世界に居る我が子達も、時間を遡行し元の世界に送り返すにはこの体ではあまりにも力が足りません」

 

「………帰せるのはどれだけでしょうか?」

 

「………この世界で感じた魂の半分ほど」

 

「半分、ですか……神様、ゲートを開く際の力を別に用意した場合はどうなるでしょうか?」

 

「別の力ですか?」

 

「はい。例えば…………」

 

 

 

 

 

 

「…………っここは」

 

「また会えて嬉し………」

「また会えて嬉しいですよ!アク君!」

 

「おい被せるな」

 

目を覚ますとそこにはここ最近では見慣れた顔となったユウと会長の顔があった

嬉しそうなユウの顔と私はこうなると思ってましたよと言いたげな会長の表情を見ると何処か安堵を覚える。

 

「………時間はどれだけ?」

 

「あれから1日も経っていない。最も日は沈み始めてるがな」

 

「そうか………そうだ、計画なんだが……」

 

「既に神様から話は聞きましたよ」

 

「そういうことだ。……やる事は変わらないだろ?」

 

その目は覚悟している目だった。

俺はその目をしっかりと見て返事をする。

 

「そうだな。勿論だ」

 

覚悟は決まった。手段も手に入れた。

ならば後はやる事は一つだけ、俺は全てを叶えてみせる。

 

 

 

 

 

 

 

「懐かしいな。何も変わっていない………まあ一年しか経ってもないし当然か」

 

柄でも無い呟きを零しながら、俺は1人で道を歩いていた。

その道は俺の今世の小学校の通学路、そしてユウキ達と共に?DFCと戦った、学園の寮に入るまで過ごした街だ。

なんとなく俺の今世で過ごした場所を巡りたくなったのだ。

そんな折電柱に貼ってある張り紙を一つ見掛ける。

 

『探しています!!!この男の人を探しています!見掛けた方はこちらの連絡先まで!』

 

その紙に大きく貼られているのは何枚かの阿久野先生の写真だった。

その写真の顔は笑っており、見切れてはいるが妻と子と思しき姿も映っていた。

彼はこの世界でも幸せだったのであろうという事を感じさせるが、そんな彼でさえDFCの思想に賛同していた事を考えると気分が重くなる。

この騒動の原因は結局俺の母なのだから。

 

「………アンタ、会長の知り合いでしょ?変なマスク付けてるし」

 

「聞きたいことがあります。あなた達の目的はなんですか?」

 

突然聞き慣れた声が耳に入った。

そこに居たのは雅マコトと宵闇センヤ、かつての同級生達だった。

 

「………何が聞きたいんだ?」

 

「神託カードを集めて、何をしているの?ただ強いから欲しいですなんて事はないでしょ?」

 

「その話か。神託カードはもう必要ない」

 

「それはつまり、もう次の段階へ目的は移っているという事ですね?……その目的はなんですか?」

 

相変わらず彼の顔は隠れているが、鋭い視線がこちらを見据えているのを感じる。

 

「時間旅行さ」

 

以前センヤには悩みを話すといったのを覚えている。

相談するつもりだったけど既に解決策は見つかっちゃったなぁと思いながら目的を伝える。

 

「時間を旅行して何をする気?過去を変えるの?それとも未来の世界を見たいだなんて言うロマンチストかしら?その仮面にはお似合いね」

 

「この仮面のセンスなら皇道に言ってくれ。アイツの趣味だ。……目的はそうだな、家に帰るだけさ」

 

「会長って意外とセンス無いのね。完璧だと思ってたから親近感持てるわ…………家に帰る?」

 

「そうだ、家に帰る。それだけだ」

 

「それだけになんで神託カードが必要だったんですか?」

 

「色々あるのさ」

 

「…………これ以上話す気は無さそうね……勝負しなさい。私が勝ったらアンタの目的について細かく正確に話しなさい」

 

正直俺の目的を話したらコイツらはきっと同情し解決する方法を模索してくれると確信している。

しかしその話を雅とセンヤは間違いなくユウキにする。

その話を聞いたユウキは間違いなく別の道を探そうと提案するだろう。

だがそれでは遅い。神託持ちにいつ消されるかもわからない人がいる以上事態は一刻を争っている。

 

「良いだろう。俺が勝ったらこの場は引いて俺が使ったカードの話はするな」

 

正直この勝負を受けるメリットは何も無い。

強いて言うなら対戦でフィールドでのエネルギーを貯めれるくらいだろう。

しかし彼女との勝負を俺はしたい。

 

「それだけで良いの?これ以上関わるなだとか言わないの?」

 

「必要ないさ。………展開」

 

世界が切り替わる。

 

 

 

 

「『外神』降臨」

 

俺の背後に現れたのは無機質的な姿をした人型だった。

その姿はこれ以上なく神聖で、頼もしい存在に思えた。

 

「なんなのこのカード……気味が悪い……」

 

「『外神』の能力発動、ゲームより除外されているモンスター達を呼び出す。神は隔絶されし世界を繋ぐ」

 

そうして俺が呼び出すのは相手に対して制限を課すモンスターと自身のモンスターに効果を与えるモンスターだ。

対抗魔法を封じるモンスター、速撃を付与するモンスター。

それらを呼び出し物量と高い攻撃の質でワンショットで仕留める、それが神の力を手に入れた俺の戦法だ。

 

 

「とどめだ、『外神』で攻撃」

 

雅は強かった。最初に戦った時とは比べ物にならない程、学園で戦い成長を感じた時よりもはるかに強かった。

しかし神の前には無力だ。

 

「なんて圧倒的な効果なの………くっ」

 

 

 

 

 

「…………アンタ、悪道でしょ?」

 

フィールドから出ると、ボロボロになった雅にそう看破された。

最後の雅への攻撃は力の出力を抑えたし酷い怪我にはならないだろう。

 

「なんでどいつもコイツも気づくんだか」

 

「バレバレよ。そのダサい仮面で最初気づかなかったけどね」

 

「気にしてるんだがな……」

 

「ひとつ聞いていい?」

 

「なんだ?」

 

「私のプレイング、指摘するべきミスはあったかしら?」

 

もっと俺の状況だとかを聞かれると思ったために驚いた。

そして先程の棋譜を思い出しながら考え、答えを出す。

 

「無かったんじゃないか?神の力が無ければ負けていたと思う」

 

「そう、なら良いわ」

 

雅はそれだけ聞くと満足そうだった。

 

「約束は守って貰うぞ。このカードの話はするな、あとは好きにしろ」

 

「……ユウキに正体を言っても良いの?私は言うわよ」

 

「好きにしろ、ユウキが止めに来ようが俺のやる事は変わらない。じゃあな」

 

そう言って踵を返そうとすると、俺は雅ではないもう一つの声に呼び止められた。

 

「待ってください!ゼン様!」

 

「センヤ!?」

 

「……なんだセンヤ?後俺はゼンじゃない、アクだ」

 

「私も一緒に行きます!」

 

センヤの突然の発言に俺は驚いたものの答えは決まっていた。

 

「来るな。これは俺の問題だ」

 

「関係無いです!私も行きます!」

 

「ちょっとセンヤ何言って……………まあそうなるか」

 

引き留めると思った雅はあっさりとそれを許した。

 

「何言ってるんだ雅お前も説得しろ」

 

「嫌よ。自分でなんとかしなさい。じゃ、次は負けないからね」

 

そう言うと雅は踵を先に返していってしまった。

俺とセンヤはその場に取り残された。

 

「来るな。お前には関係ない」

 

「嫌です!今回は最後までお供します!絶対に離れません!」

 

センヤは引こうとしなかった。

俺自身も以前喧嘩した時の引け目があって彼を拒絶するのに対抗もあった。

 

「……好きにしろ」

 

「はい!」

 

そう返事する彼に、俺はこれから巻き込む事への申し訳無さを覚えながら帰路についた。

アジトだけ話したら一応今日は帰ってくれた。




この後番外編を投稿します
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