転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた   作:大きいホクロ

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龍は再び空へ飛び立つ。

ファイティングライフ 双神創世 収録カード 『外神龍』フレーバーテキスト

対戦描写は相変わらず読み飛ばしていただいて大丈夫です


これがカードアニメなら

「俺のターン、『器の龍』を召喚。その能力で墓地を肥やして1枚を除外」

 

「『器の龍』……」

 

1ターン目、俺が呼び出すのは『器の龍』。

この世界で一時はデッキから抜ける事もあったが俺を支え続けてくれたモンスターだ。

 

「魔法『生贄村の埋葬』山札から3枚を墓地に落として2枚を除外。ターンエンド」

除外0→3

 

「僕のターン、『宿命の竜』を召喚、その能力で山札より『幼き竜』を呼び出す、更に手札から同じ種族のカードを捨てて2枚ドロー、そして『宿命の竜』は速撃持ちだ!」

 

ユウキの呼び出した『宿命の竜』は最初に対戦した時に彼が使い、その試合でフィニッシャーとなった『運命の子竜』の面影があった。

 

「通るぞ…………。変わり映えしないな、いやカード自体は変わってるな」

6→5(ゼン)

 

「ターンエンド、君こそテーマが最初に会った時と同じ生贄村じゃないか」

 

「性に合っててな、ドロー。まずは龍の効果で墓地から1枚除外、『生贄村の罠師』を召喚!山札から1枚を除外。そしてユウキ、お前はこいつがいる限り速撃持ちで出たターンに殴れない」

除外3→5

 

「しっかり対策してきてるね……」

 

「お前に勝つにはこれくらいやらないとな。『生贄の調理』で2枚引いて1枚除外。ターンエンドだ」

除外5→6

 

そう、今回俺はユウキとの対戦の為に彼の戦略に対するメタをデッキに搭載した。

基本行き当たりばったりな対戦が多いこともあり総合値を求める構築にしているのだが、戦う相手が分かっているのならメタを張ってしまえばいい。

卑怯だと思われるかもしれないがそれも立派な戦術だ。

 

「僕のターン、『狡猾な翼竜』を召喚。場に同じ種族が居る為能力で相手の手札を確認して対抗魔法を指定してハンデス、対象は『生贄村の研究結果』」

 

「そっちもしっかり対策してるじゃないか」

 

一気に除外を増やせるカードの為抜かれるのはかなり痛い。

これで除外のカウントの進みが遅くなり外神を呼び出すのに時間がかかる。

 

「何度も対抗魔法で粘られたしね……攻撃だ!『宿命の竜』、『幼き竜』」

 

「よく覚えてるじゃないか、全て受ける」

5→3(ゼン)

 

「忘れられないさ、何度も言うけど僕は負けず嫌いだからね。ターンエンドだ」

 

「俺のターン、まずは1枚を除外。召喚『郷愁の果ての英雄』、能力で『幼き竜』をバウンス、更に墓地より対抗魔法を一枚回収、更に魔法『生贄村の土葬』を発動、自分のモンスターを破壊して2枚ドローする、対象は英雄だ。その後カードを墓地から1枚除外」

除外6→8

 

都合よくトップから対抗魔法を回収できるカードを引けた。

これで次のターンも粘るプランを取れる。

 

「回収されちゃったか、それデッキトップから引いた?」

 

「さっきピーピングしてるから分かるだろ?これでターンを終える」

 

「僕のターン、召喚!『宿命の竜騎士』!その能力で手札を2枚捨てる事で手札と山札よりモンスターをcipを無効にして3体召喚!『老練の翼竜』と『羨望の竜騎士団員』を2体だ!彼らに速撃を付与」

 

「だが罠師の効果で殴れない」

 

しっかりとメタが効いている。積んでいなければここで負けていただろう。

 

「だから盤面のモンスターで殴って対抗魔法を使い切らせる」

 

「攻撃!『狡猾な翼竜』」

 

「お望み通り、対抗魔法『生贄村の研究結果』能力で墓地を肥やして2枚除外、合計打点3まで減らせるため対象は殴れるモンスター全てだ」

除外8→10

 

「ターンエンド。ゼン君、君は僕に言ってくれたね、背負える物じゃないと。じゃあなんで君は背負おうとしているんだ?」

 

「全ての原因は……俺の母が作った。彼らの転移は俺が始まりだ………だから俺が終わらせる」

 

「君の、お母さんが?」

 

「そうだ、俺のターン!カードを除外。更に魔法『生贄村の大喝采』手札を全て除外して3枚ドロー」

除外10→13

 

「『神への供物』は今捧げられる………『外神』降臨!」

 

そうして姿を現すのは俺たちの神、世界を繋ぐ希望だ。

神々しく顕現するそのヒトガタは、美しい光を放っている。

 

『俺の世界に土足で入り込んできた奴か……』

   

ユウキに憑いてる神が反応を示す。

 

「………神様、用意は全て整っています。後は手筈通りに」

 

わかりました、と俺の脳内に神の声が響く。

 

「これが……神、なんて恐ろしい存在なんだ」

 

『別世界の上位存在だからな、この世界の人間のお前には不快感を自然と与えるんだよ。異物としてな』

 

なるほど、だから雅も水瀬も恐ろしい物を見るような反応をしていたのか。

こっちの神のその説明はとても腑に落ちた。

 

「その能力で俺は除外されているモンスターを好きな数出す」

 

「くっ……」

 

「『攻め抜く地龍』、『術縛りの魔術師』、『混濁の魔術師』、『生贄村の罠師』、『生贄村の藪医』、そして『郷愁の果ての英雄』を呼び出す」

 

それらの力により速撃の付与、対抗魔法への縛り。そして相手全体を寝かせた。(攻撃後の状態になり防御ができない状態)

更に藪医の能力で1回復。

3→4(ゼン)

 

「そして更に魔法『村に立ちこむ霧』で俺は3点しか受けない!」

 

先の1点回復により俺の次のターンでの負けは無くなった。

 

「なんて展開力………これが、神なのか?」

 

「そうだ!行け、我が軍勢よ」

 

「くっ……」

6→1(ユウキ)(打点1のモンスター5体による攻撃)

 

農夫、罠師2体、そして魔術師2体の攻撃が通り残りが1点となる。

俺の残った盤面は神と地龍。この2枚を止める術がユウキには最早無い。

 

「終わりだぞ、ユウキ」

 

「………流石だね、これが君達の神の力か」

 

「そうだ、俺達にとっての……希望の力だ。とどめだ、『外神』」

 

この神の一撃を持って、俺の道は決まる。

さようなら、ユウキ。これからも強く生きろよ。

 

「僕は手札より『神竜王』を宣言する!」

 

『…………やっと俺の出番だな』

 

「なん、だと……なんだそのカードは」

 

手札誘発、それも攻撃感知の物。

鬼エ⚪︎ドがこのゲームに存在するのかよ……いやこの場合は革命⚪︎トリガーか?

 

「神竜王の効果発動、ライフが1点の時相手のモンスターの攻撃時に手札を2枚切って盤面に着地する」

 

それか手札から捨てられた時にも場に出る、とユウキは付け足した。

 

「その効果は?」

 

「モンスター全ての効果を無効にして破壊する」

 

「なっ………………」

 

一瞬にして盤面が全て崩壊した。

俺の背後に居た頼もしいモンスター達はその竜の前に全てが消し飛んだ。

破壊時効果すら使えないようだ。

神ですら、その竜の前に姿が消えてしまった。

 

「さあ、どうする?」

 

「ターン、エンドだ」

 

「僕のターン、ゼン…君の母さんが元凶だったとして、それを気に病んで自分が何とかしようと言うのも分かる。………けれど君は君の母さんじゃない!君に彼ら全員を背負う責任なんて無いんだ!」

 

分かっている。分かっているさ、分かっていても………

 

「だからと言って彼らを見ているだけでいられるのか!俺にはできない!お前も見ただろう!オトルを、DFCの連中を!」

 

「『参謀の翼竜』を召喚、能力で墓地より対抗魔法『竜の守り』を回収……神の攻撃だ、3点!更に能力で墓地よりモンスターを2体蘇生!竜二体を盤面へ!」

 

「くっ……」

 

「見捨てろとは言わないよ、ゼン。君の覚悟は分かっている、そして君の気持ちも……同じだったから…あの夏の一件で、僕も彼らを救いたいと思った。………だから君では無く僕がこの身を生贄に捧げる……もう誰も犠牲にしない………紬さんや君のようにはできないとしても、僕の全てを持って終わらせる!」

 

「何を言ってる!お前には無理だ、よせ!」

 

純粋なこの世界の人間であるユウキには俺や紬の様なエネルギーは無い筈だ。

彼がエネルギーの元になったとしてもそれは無駄死にだ。

 

『おい!どういうつもりだよユウキ!この前その話聞いてきたのはこの為かよ!』

 

しかしどうやらそうでは無い事を神の焦りと言葉が裏付けてきた。

 

「僕は友達を犠牲にしたく無い……けれども彼らの苦しみはたくさん見てきた。………目の前で今苦しんでいる君もいる」

 

「余計なお世話だ、これは俺の役割だ!俺のターン、ドロー!」

 

どうやら運はまだ繋がっている。

ここで終わらせない、俺の切り札もそう言っている。

 

「ゲーム中『外神』を場に出しているならば墓地のそれを重ねる事で召喚できる………こい!」

 

それは最初からの俺の切り札。

全ての元凶である母さんから渡された切り札の最後の姿だ。

 

「『外神龍』」

 

「その能力でお互いの墓地を全て除外し、同じ数までモンスターを山札の下に!その後俺は山札よりカードを一枚サーチだ」

 

「『参謀の翼竜』の効果で竜王は残る!」

 

「ターン終了だ」

 

攻めても対抗魔法で防がれて終わりだ。

 

「僕のターン……………攻撃だ!『神竜王』!墓地より竜達を蘇生!ゼン、君は生きろ!!!!」

 

何度となく相対してきた竜王が眼前に迫る。

ここで俺は負ける。

だって多分アイツはこの世界の主人公だ。

だから俺の野望は阻止される、ここまでだ。

 

 

 

 

 

これがカードアニメなら。

 

 

「防御だ!『外神龍』!」

 

カードアニメならここで俺は負けただろう。

だがこれは俺にとっての現実だ、アニメじゃない。

 

「攻撃の値はこちらが上だ!」

 

「そうだ!だが破壊される時に外神龍は手札を一枚捨てて盤面に残る!」

 

意識が今はハッキリしている、だからメタ的に考えて勝つ方法を俺は考えた。その為の仕込みの一つは序盤に使った罠師だ。しかし当然それだけで勝てるとは思っていなかった。

 

「今更残った所で!」

 

だからもう一つ、とっておきを用意した。

 

「そうだ、だが俺が捨てる手札はこれだ!」

 

ここで俺が切るのは銀の弾丸。

会長に用意して貰ったユウキ相手だからこそ使える一手。

 

「っそれは!会長のカード」

 

「『被験体D』、その捨てられた時の能力でユウキ、お前に1点だ!」

 

『被験体D』、手札から捨てられると同じ種族を持つカードが相手にいるなら1点を与えるカード。

以前会長がユウキにこれを用いて勝利していた。

 

「くっ…………」1→0(ユウキ)

 

その1点が炸裂し、ユウキに最後のダメージを与えた。

 

「俺の勝ちだ……ユウキ」

 

「………………負けたよ、やっぱ強いねゼンは」

 

ありがとうございました、良いバトルでした。

俺の世界でアニメの中のヒーローはそんな事を言っていた。

しかし俺のこの戦い方はそんなかっこいい事を言えるような物じゃ無かったと思う。だからただ勝利を俺は宣言した。

 

 

 

「…………神様お願いします」

 

ユウキは倒した。これで俺を阻む者は誰も居ない。

 

『分かりました。………その人を思う精神に心から愛を』

 

「待って、ゼン!まだ……」

 

『くそっ………賭けに縛られて止められねぇ……』

 

ユウキとこの世界の神が抵抗を試みるが神自身がこの世界に定めたルールにより縛られている。

神様の放つ光は美しく、やがてタワー周辺を飲み込んだ。

その空間に無数の穴が開いていく。

そんな光景を眺めながら俺の意識が遠のいていくのを感じた。

これで良い。母さん、ケジメは付けたよ。

薄れゆく視界の中で世界は白く広がっていった。

 

 

 

 

 

 

どれだけの時間が経ったのだろうか?

俺の意識はまだあの何もない空間に居る。

今までと違うのは俺自身の形を俺が認識できていない事だ。

帰還は完了したのだろうか?

 

『8割近く終わりましたよ、時間も体感時間が長いだけで殆ど経っていません』

 

その俺という意識に響く声と共に、あるイメージが浮かんだ。

 

「本当に……帰って来れたのか……………あの公園、それにあの犬とおばさん!………やった!帰って来れたんだ!」

 

それは公園で喜ぶ1人の男の姿。

 

「………………お母さん!お父さん!会いたかった!ずっと、ずっと!」

 

それは中学生くらいの少女が親に抱きつく姿。あの少女、多分オトルの所に居た子じゃないかな?

 

「……………ただいま、………」

 

それは落ち着いている顔立ちが整った男が女性に微笑み掛けている姿。

その男は副総帥だった。

その後も無数のそのイメージが俺の中に映し出されて行った。

皆元の時代に戻れてるんだな、それは良かった。それにしても体は違う筈なのに彼らの姿はこちらの世界の姿とかなり似通っている。

だからこそ帰還が成功しているとはっきり分かるのは嬉しい物だ。

 

『残りの2割が終わる頃には、あなたは消えてしまうでしょう』

 

そうか、けど帰還が完了しそうなら良かったよ。俺の行動に意味があったんだと安心できる。

 

『このまま最後まで続けます。本当に良いんですね?』

 

ああ、構わないよ。

 

『……本当に未練は無いですね?』

 

ああ。

 

『……分かりました。我が愛し子よ、せめて安らかに』

 

その言葉と共に俺の意識は遠のき出す。

そんな中思い浮かべるのはこの世界で出来た友人たちだった。

走馬灯の様にこの世界であった色々なことを思い出すが、どれも彼ら彼女らと出会ってからの物ばかりだ。

出会う以前から色々あった筈なのに、思い出すのはあいつらと過ごした日々だ。

つい最近まで何度となく前世のことを思い出してウジウジしてた筈なのに、今ではその時の事を思い出す事すら無くなっている。

ああ、なんだ……

 

 

 

「かなり未練あるんだな、俺」

 

 

意識は溶けて行った。

しかし恐怖は無かった、どこか温かい感覚が意識を失うまで俺の中で灯っていた。




もう少し続きます
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