転生したらなんかカードゲーム世界のライバルポジになってた   作:大きいホクロ

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花言葉は『貴方を殺す為に待っています』

ファイティングライフ 竜闘新星 収録カード
『ビューティポイズニスト・アネモネ』フレーバーテキスト


EX その後の彼ら彼女ら
白百合は凛と咲き続ける


『勝者、捻咲シラユリ!!』

 

「対戦ありがとうございました」

 

「ありがとうございました。完敗だったよ」

 

 長い黒髪の少女とガタイの良い男、シラユリと二ノ宮先輩が対戦ののち握手を交わすのを選手用の観戦席から眺める。

高校生になった僕らは18歳以下限定のプロリーグで競い合っている。

ゼンによって行われた帰還から3年の月日が流れ、僕らを取り巻く環境は大きく変わっていた。

 

 

 

「ユウキ、次の授業って担任誰だったすかね」

 

相変わらず語尾にすを付けているケンと2人で移動教室へと向かっていた。

 

「茂部先生だよ……あ!シラユリ、久しぶり」

 

「こんにちわ、ユウキ君。ケン君も」

 

向かい側を歩いて来たのは捻咲シラユリさん、僕達の同級生であり現高等部一年の生徒会だ。メガネを外してコンタクトに変え、お下げにしていた黒髪は今は解いて綺麗な長い髪を揺らしている。

 

「見たよ、この前の試合。調子いいみたいだね」

 

「ありがとうございます。ユウキ君との試合も楽しみにしてますよ、それでは」

 

そう淡白な反応をして彼女はそのまま通り過ぎて行ってしまった。

 

「変わったっすねぇ、シラユリ」

 

「そうだね、変わった‥と言うより戻ったのかな?」

 

思い出すのは初対面、小学生の頃に対戦した時だ。かなりツンケンとしていてあまり人を寄り付けない子だった。

いつの間にかゼンと仲良くなっていて中学生に上がると僕達とも仲良くなっていた。

しかしゼンが居なくなってから彼女は少しずつ変わって行き、少し考え込むことは増えていた気はする。

そして新任の学園長が決まった後に開かれた生徒会選抜が大きな境だったと思う。

そこで優勝したのはマコトで、シラユリは2位だった。

そこから僕らの輪に入るのが自然と彼女は減っていき、いつの間にか彼女は今の彼女へと変わっていた。

誰にでも人当たりがよく、まさに優等生のような落ち着いた白百合の様な淑女。

それが今の彼女である。

昔とは似ても似つかない様に見えるが、その何処か人を寄せ付けない姿は間違いなく彼と出会う前の彼女だ。

 

 

 

「………何が楽しみにしてますよ、だか」

 

ユウキ達の前を通り過ぎた後、思わず言葉が漏れる。

本当は楽しみなんかじゃない。こっちは喰らいつくので精一杯なのだ。

ギリギリ細い線を通して運に味方されて辛勝するを繰り返す日々に私は限界を感じていた。

 

「あ、あの!捻咲さん!リーグこの調子で頑張ってください!応援してます!」

 

廊下で知らない女の子にそう声を掛けられる。最近はこんな感じに声を掛けられる事が多くなっていた。

大抵はU18リーグでの活躍を見ての応援の言葉だ。

 

「ありがとうございます、期待に添えるように頑張りますね」

 

そう言いながら軽く微笑み掛けて通り過ぎる。

私は今期待されている。だからその期待に答える形で結果を出してみせる。

 

「…………そう、絶対優勝してやる……」

 

目標にしていた、勝つまで待っていると約束した男は勝手に消えていった。

その事実を私はすんなり受け入れた。受け入れたと言うよりも理解が追い付いてないままだっただけかもしれない。

それでも私はプロになると言う目標は持ち続け自己研鑽は続けていたつもりだった。だから一年で最強になったと勝手に思っているまであった。

 

しかし私は負けた、雅マコトに。

 

その時に私は感じた、置いて行かれていると。

私の研鑽はきっと甘かったのだろう。

目標であった彼が居なくなってからの私に足りないのは届かない物を掴もうとする執念だ。

そう考えてからは早かった。

雅マコト、いやアイツ1人だけじゃない。

ユウキ、二ノ宮ザンセツ、三月ノゾム………アイツら全員に勝つ。

それを目標に据えた私はデッキとプレイングの研究に打ち込む様になった。

気持ちを切り替えるために髪型を変え、眼鏡もコンタクトにした。もう以前の私じゃないと自分に言い聞かせる為に。

 

「いつまで腐ってるんだ?」

 

いつか言われたアイツの声が聞こえた気がした。

うるさいわね腐ってないわよ。

途中で脱落したアンタは黙って見てなさいよ、私がテッペン取る時を。

 

「お前ならいつか取れるさ」

 

取れるに決まってるっての。

次会う時には最強の相手として立ちはだかってやるわよ。

 

「……だから帰ってきなさいよ」

 

3年前に居なくなったやつの事をいまだに引き摺っている自分に呆れながら廊下を歩いて真っ直ぐ教室へ戻る。

見かけたら声を掛けたいアイツの姿は、当然どこにも無い。

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