ぽんこつかりちゅまレミリアお嬢様はお好きですか? 作:ブラジャー
僕の眼前には、横に倒れ無様に死んだ顔をしている女が居た。
まるで紙の様に薄い布団に体を預け、流れ落ちる涙で枕元を濡らしている。
しかし、僕にはこいつが何故泣いているのか、分かってあげる事が出来ない。
昨日からずっと流している涙。
脱水症状になってしまうのでは、と言われる程泣いている。
おんぼろアパートの一室に、ぶつぶつとうわ言を呟きながら、すすり泣く女性の声が響く。
僕はこの女に対して何をすればいいのか。
この女は僕に何を求めているのか。
分からない。
だから、僕は何も出来ない。
ただ、この光景を黙って見ている事しか出来ない。
でも、それで良いのかも。
この女が泣いていたって。
僕が死んだ目をしているからって。
この女と僕に、笑顔が無いからといって、困る人間など一人も存在しないから。
勝手に、泣かせておけば良い。
「夢海……」
女が僕の名前を呼ぶ。
父に付けられた大切な名前を、この女が軽々と口にする。
腸が煮えくり返るかと思ったが、独り言以外で久方ぶりに発した言葉に、僕は耳を傾けた。
「何」
「少し……聞いて……」
「用があるなら手短に」
ボソボソと、人を苛々させる様な声色で。僕へと語りかけてくる。
こいつと長々話す時間など、勿体無いにも程があるので簡潔に伝えると、少し辛辣に返した。
「母さんの事なんか……忘れて。貴方の好きな事をしてほしい」
「貴方がそれを言うんですね」
「………ごめんなさい」
僕はもう、こいつの事を母親と思った事など無いというのに。
僕の母親と名乗る女性は、一番言われたくない事を言ってきた。
好きな事をしろ、僕は好きな事をしたかったのに、こいつのせいで出来なかったと言うのに。
今更言ったって、あまりにも遅すぎる。
「僕は……もう17歳になる」
「…………」
「今からじゃ……もう遅い」
「………ごめんなさい」
「学校にも通えない」
「……ごめんなさい」
こいつは謝ってくるばかりであり、謝罪の言葉以外を発さない。
僕と目を合わせる事もしない。
結局、何も変わっていなかった。
昔と何ら変わらない、ただの臆病者だった。
だから父さんは僕等を捨てたのに。
「バイト、今日から初出勤だ。」
「…………」
「行ってきます」
むせび泣く、母親と名乗る人物に背中を向けながら、僕はバッグを持って外へと出ていくのであった。
◆◆◆
僕は、1週間前に面接を受けて、その場で受かる事の出来た、小さなこじんまりとしたカフェに来ている。
そのカフェの店名は"RED SCAR"。
中二病の権化の様に、何とも痛々しい名前であり、一瞬ジムか何かか勘違いしてしまう程だった。
ここを選んだ理由は、家から歩いて10分と近場にあり、個人店の為比較的楽そうだな、と感じたからである。
あと、店長さんが可愛かったのも理由の一つだ。
「失礼……しまーす……」
初めての出勤である為、緊張を抱えながら恐る恐る扉を開ける。
開けて開口一番に入って来たのは、ガラっとした店内であった。
店内には誰もおらず、客どころか従業員の一人すら存在していない。
カウンターへ近づき、僕は奥にいるはずの店長を呼んだ。
「すみません。」
一度声を掛けるが、出てこない。
「店長。居ますか」
二度目の声掛け、不在かどうか確かめる為に呼びかけるが、出てこない。
「店長!いるんですか!」
3度目の声掛け、僕にしては珍しく大声を張り上げて呼んだ。
久方ぶりに大声を出した為か、喉がジンジンと痛み始めてしまう。
何度読んでも、店長が一向に姿を現さないため、何か事件でも起こったのかと考え、僕はバックヤードへと足を運んだ。
奥に近づくに連れ、ガサガサと音が聞こえ始める。
まさか泥棒?と思いながら、僕は慎重に足を運んだ。
護身用にモップを手に持ちながら。
次第に、ガサガサと言う音は大きくなって行き、僕は警戒しながらゆっくりと進む。
そして、音の発信源の場所にたどり着き、僕はモップを構え、大きく振りかぶり───
「せいっ!!!」
「痛っっ!?!?!?」
僕はモップをを振りかぶって、箱を漁っている人物へと攻撃を嗾けた。
しかし、聞こえてきた声は予想に反して高く、どうやら不審者ではない事が分かった。
なにせ、僕が攻撃してしまった人物は………
「何すんの!!」
「すみません。店長」
僕の目の前で、モップで叩かれた為か痛む頭を抱えながら、こちらをジリジリと睨みつけてくる"少女"。
特徴的な真っ白の服装に、紫も青色にも見える髪色、その頭に被ったドアノブカバーの様な帽子。
彼女こそ、このカフェRED SCARの店長にして看板娘、レミリアスカーレットなのだった。
「何で殴ったのよ!」
「不審者かと思いました」
「1週間前に面接したばっかりでしょ!!!」
「すみません、帽子で分かりませんでした」
「……なら仕方ないわね」
チョロいなこの人。
うぅぅ、と頭を抱えながら、レミリアさんは再び箱の中身をガサゴソと漁っていた。
どうやら、何かを探している様だ。
「何探してるんです?」
「えっとね……」
何だか、言い渋っている様子のレミリアさん。
大事な物を無くしたのか、僕にはまだ右も左も分かっていない為、何を伝えられても手助け出来ないが、取り敢えず聞いておくのが大事だ。
それよりも、レミリアさんは口をモゴモゴとさせながら冷や汗を流している。
一体何をやらかしたのか、気になった僕は彼女を問いただす事に決めた。
「教えて下さいよ。力になるんで」
「ぃや〜……その…ね?」
「?…何です?」
「……発注してたコーヒー豆、全部溢しちゃって…」
成る程、どうやら探し物では無かったらしく、コーヒー豆を散乱させてしまったとの事だった。
確かにレミリアさんの周りには、コーヒー豆のカス等が溢れており、彼女の衣服も少し汚れている。
今何をすべきか、僕は持ち前の頭で瞬時に理解する事が出来た。
僕は一呼吸をおいて、レミリアさんに笑顔を向けて、彼女に告げた。
「今日は帰りますね」
「待って!?!?!?!?」
結局、僕はレミリアさんの手伝いをする事になってしまったのだった。
どうも、さむらいです。
兄貴にインスピ貰ったんで始めました。
レミフラが好きなので、メインはこの子らになるかなと。
そして、お知らせなのですが。
これから、東方のシリーズを作るに当って、主人公は統一しようと思います。
性格などは違いますが、容姿や名前等は同じに致します。
この小説は準備段階のような物だと思ってください。