クトゥルフ世界に飛ばされる一般PL君 作:冷たくて美味しい紅茶
追記:後の物語の都合上ラストを改変いたしました。7/2
打ち上げが終わった翌日、朝の朝礼で包帯でぐるぐる巻きにされた校長先生が出てきたり、先生に確認したらテストがあることを教えられて衝撃を受けたり、ケロッと登校してる鋼我達にドン引きしたりしていたら放課後になっていた。
「それじゃあ帰『1年3組の䋆井凪都さん、至急生徒会室に来てください』」
そして、そのまま家に帰ろうとしていたのだが、放送で呼び出されてしまったのでそうはいかない。嫌な予感がするので行きたくはないが、流石に呼び出しを拒否するメンタルは俺にはないし、何が目的かわからない以上行くしかないのだ。
「ごめん、先帰ってて」
「えー、今日はやることあったのに……まあ僕1人でも問題ないし大丈夫か。じゃあばいばい」
柊夜に別れを告げて生徒会室を目指す。名指しで呼び出される心当たりが全くないため何故呼び出されたのかわからず逆に恐怖心を煽ってくる。
コンコンコン
生徒会室の扉は木製の重厚そうな扉だった。鍵はかかっていないようで外からでも開けることができそうだ。扉の前に立ち軽く3回ノックする。ちなみにノックの回数は2回で空室確認、3回で入室確認の意味があるらしい。じゃあノック回数は2〜3回で良いのかと言われればそういうわけでも無く国際的な場面では4回が使われることもあるそうだ。
「あぁ、よく来てくれたね」
確認が取れたのち、扉を開けて一番目につく教室の中央にいたのはThe 真面目生徒といった風貌の人だ。おそらく彼がこの学校の生徒会長なのだろう……ただ、柊夜が頭の良さがゴリラと大差ないって言ってたしな。
「えーっと次は……そうそう、何で私が君をここに呼んだかはわかっているな?」
がっつりカンペを見ている生徒会長の姿は気にしないようにして原因を考える。と言っても先程と同じように全く思い浮かばないわけだが……
「会長、まだ何の説明もしてないのでわからないかと……彼は一年生ですし」
生徒会長の横に立っていた副会長と思われる女性がアドバイスをしてくれる。
「あぁ? そうだったか……いやなに、最近物覚えが悪くてな。私と彼の仲だというのにそんなことも忘れていたなんてすまないな」
「いえ、䋆井さんと会長は今日が初対面です」
なんか、何だろう? このすごい……うん。色々ツッコミどころがあるっていうかツッコミどころしかないっていうか……
「……ひとまずは自己紹介をしよう。私は
「私は
「䋆井さんにきてもらったのは先日行われた体育祭の件です」
先日の体育祭の件……まさかあの嫌がらせは甘んじて受け入れなければいけなかったのだろうか? いや、でもボコボコにされるの普通に嫌だしな、俺は悪くない。
「見事䋆井さん率いるオカルト研究同好会がポイント量で5位をとなりましたので相当する活動費を渡させてもらいます」
予想とは裏腹にポジティブな内容だった様だ。
「今年は白熱した良い戦いだったからな、この私も楽しませてもらった。モテモテ計画は失敗したけどな!」
「……」
月篠さんが馬場さんのことをじっと見てたような気がするけど一瞬だったから気のせいだろう。馬場さんは立ち上がると手に持った封筒を手渡してくる。
「おめでとう䋆井くん」
「ありがとうございます」
世の中の部活がどれくらい活動費を貰っているのかは知らないが手に持った感じそこそこの厚みを感じるので中身には期待できそうだ。
「質問なんですが、自分達の上にはどのような部活動が?」
俺らの同好会は謎のラストのポイントと優が合流前に多少稼いだポイントがある。それよりは稼いでるということだが一体どのようなものがいるのだろうか。
「そうだな、今回優勝したのは風紀を乱す奴ら全員粛清対象部、前年優勝の超将棋部は2位になってしまったな。ダークホースとして活躍した茶道部は3位、それに続いて剣道部は4位だったな」
「ちなみに私を捕まえた水泳部は見事十位を記録していたぞ。まあ、私の力があれば当然だな!」
捕まってるだけならそれは生徒会長としての力ではない様な……気にするだけ無駄か。
「あぁ、それと君にはこれを渡しておこう」
「これは?」
「学校から教室を割り振られていないのだろう? 君達の同好会はかなりあのイベントを盛り上げるために頑張ってくれたからな。それに」
「私の友人が君に迷惑をかけたからな……個人的な謝礼も含まれている。彼の暴挙を止めてくれてありがとう」
今までの言動が嘘のように落ち着いた様子で馬場さんは俺に何処かの教室の鍵を渡してくる。いや、でも柊夜のおかげで部屋とか困ってないんだよな……まあいいか、謝礼ならばしっかりと受け取っておこう。というか放送委員長と馬場さんって友達だったのか、あれかな? 組織のトップ同士通じ合うところがある的な……
「こちらからの用はこれだけですので、もう帰ってもらっても大丈夫です」
「わかりました、ありがとうございました」
鍵を受け取った後にお辞儀をして生徒会室を後にする。扉を閉めた直後部屋の中で何か喋っている声が聞こえてきた。
「よく頑張りましたね、偉い偉い」
「馬鹿にするなこれぐらい私なら余裕だ!」
「会長、バナナですよ」
「ワァ……リンゴだ!」
……何も聞かなかったことにしよう。なんかあの人決める時は決めるけどそれ以外は基本ポンコツがデフォルトタイプの人な気がするな。
「いくらくらい貰えたんだろうか?」
せっかくなので鍵に書かれていた2-Fの教室の方へと向かいつつ貰った封筒に入っているお金の数を数える。
「1……2……3…………30!?」
30万って何事だよ。世の中の部活ってそんなにお金使って貰ってるの? いやまあ確かに球技系の部活とかは新しいボールとか買うために予算が割り振られてるイメージはあるけれども……
「うわっ、すいません」
お金を数えてたせいか前は確認していたのだが人とぶつかりかけてしまう。咄嗟に避けたのだがすぐに回り込まれ正面を塞がれる。
「ヘッヘッヘ、痛い目見たくなかったらその封筒を置いていくんだな」
相手の顔を見ればThe チンピラといった様相の人物が俺の前に立っている。すでに囲まれている様で周りにも何人か仲間らしき人物が立っていた。
「うーん……」
痛い目は見たくないが3人で分けても10万円、柊夜に借りている訳でもないので何の気負いもなく使える唯一のお金なのだ。ここで失うわけにはいかない。
「断る」
数えれば相手は5人、しかも鋼我達のような化け物とは違いごく普通の素人に見える。目の前に立っているリーダーであろう人物以外は数を増やすためだけに呼ばれたのか手足は震えておりまともに戦えそうもない。さらには武器を持っているのはリーダーが鉄パイプを持っている程度で他は丸腰だ。だとしたら俺にも勝機がある。
「てめぇ! 調子に乗りやがって!」
たった一つ受け答えしただけで襲いかかってくるとは思っていなかったので驚きながら相手の武器を後ろに下がって回避する。とりあえず他の奴は襲ってこない様だ。まあ集まって密集した上で殴り合いに発展したら味方への誤爆が酷くなりそうだからある意味正しいのか?
「ビビったか? 今ならまだ許してや」
相手が油断したところを脚に力を込めて相手に突進する。相手からやってきたのだからやり返したって文句は言われないだろう。とりあえずは流石に鉄パイプで殴られたら痛いじゃ済まなそうなので相手から奪うことにしよう。
「くっ、くるな!」
反撃してくることを予想してなかったのか相手は怯えた様に武器を振り回す。当たらないギリギリのラインからしゃがんで足を払い相手を転ばせる。ついでに転ぶ直前に武器を持っていた手を蹴り上げることで鉄パイプが宙を舞わせる。
「意外と出来るもんだな」
転んだ相手を見下ろしながら落ちてくる鉄パイプをキャッチしながら装備する。心の中のそんな装備で大丈夫かお兄さんが『そんな装備で大丈夫か?』と尋ねてくるが現状で一番良い装備はこれだから大丈夫だ問題ないと答えて他の奴らが襲ってくるか様子を伺う。
「ひっ」
「り、リーダーがやられた!」
「そもそも活動費を勝ち取れるような同好会のリーダーが弱いはずなかったんだ!」
「こんなとこにいられるか! 俺は逃げさせてもらう!」
しかし、他の奴らは襲ってくる様子は見せず、むしろ蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。仕方ないのでリーダーに視線を戻す。リーダーは顔を真っ青にし怯えた様にこちらを見てきており少しでも脅かせば悲鳴をあげそうなほどだった。うーん、この光景見覚えがあるな……この世界に来た時に最初に戦った時か。だったらついでにこいつの腕とかでもへし折っとくか? いや、いくら自業自得とはいえ流石にそこまでするのは可哀想か。
「これに懲りたらこんな事やめろよ」
とはいえもう襲いかかってくる気配を感じなかったので鉄パイプを相手に返して逃してあげる。それにしても鉄パイプ握りやすかったな……この世界で使った最初の武器だし、なんかこの世界武器持ってるのか普通みたいな風潮ある気がするから俺も護身用に今度買っておこうかな。
「あれ? あの転校生普通に強くね?」
「あいつはあの血塗れトンファーの知り合いだからな……」
「嘘、ここで武本君を呼んで2人の中を縮めるつもりだったのに1人で解決しちゃうなんて……こんなの私のデータに無い!」
いつのまにか周りには人だかりができていた様で、周りの声を聞いて冷静になる。というか普通に躱して逃げれば良かったのに何で俺は戦う選択肢を取ったんだろうか? それだけこっちの世界に染まり始めてるってことか……はー怖。
「──っと? 一般生徒が襲われてるって話を聞いたから来たんだが……どういう状況だ?」
チンピラ共がいなくなってから少し遅れて鋼我が現れる。一緒に桃花さんがいないことからどうやら1人で来たようだ。
「活動費を狙って襲われたけど返り討ちにした」
「お前……いや何でもない。というか活動費って何だ?」
「この前の狩り者の時の結果によって割り振られるやつ」
鋼我には見せても問題ないと判断し封筒を見せる。鋼我は封筒の外側をまじまじと見るとこちらに向き直る。
「ほーん、ぶっちゃけいくらくらい入ってたん?」
「30」
「ファッ!? マジ!?」
鋼我は驚いた様に封筒を見る。見やすい様に封筒から中身を取り出し数を一緒に数える。数に違いはなくやはり、30枚の万札が入っていた。
「鋼我のところは一位らしいしもっと貰ってると思うぞ」
「ちょっと俺急用思い出したわ、じゃあな!」
鋼我はこちらに別れを告げるとおそらく部室であろうところに走って行ってしまった。知ったところで何をするんだろうか? 部長にお小遣いでもねだるんかな?
「俺には関係ないか」
再び2-Fの方向へと足を運ぶ。爆発の起こっている校庭を眺めつつ階段を降り、体育館の方から聞こえてくる奇声を聞き流していると目的の教室に辿り着く。
「失礼しま……うわっ物多っ」
扉の鍵を開けて部屋の中を確認するとあの家ほどではないがそこそこ埃が溜まっており、本棚や机などの雑多なものが積み上げられていた。
「適当に掃除するか」
とはいえ掃除道具が揃っていないので軽くしかできない。しかし、ここでは家を掃除した時とは違い、埃が舞うからやらなかった埃を風で飛ばして全部外に流してしまうという戦法が取れる。難点は繋がっている空間に埃が全部流れることだが……まあいっか、やっちゃえ。えい──!
「ふぅ」
作戦の甲斐あって2時間程で掃除を終わらせることができた。その際に本棚に一冊だけ残っていた本を手に入れた。前回この教室を使っていた人が残して行ったのだろうか? だが、それなら一冊だけしか残っていないというのも違和感がある。
「読みたい」
理由はわからないがこの本を読みたいという欲求に駆られる。本はそこまで分厚くなく表紙を見るにこの世界の童話の様なものみたいだ。どうせ長期間使われていたかった教室なのだ、その部屋の中にあったものならもう持ち主もいないだろうし貰ってしまっても構わないだろう。
「いや、でも止めておくか」
しかし、嫌な予感がしたので本を持って部室(会室?)を後にする。何か思考を制限してくるタイプの本は碌でもないタイプが多いし手放しておくに限る。俺は不良に合わないことを願いつつ職員室で忘れ物として本を届け学校を後にした。
気づいたら凪都が強くなっててびっくり。ちなみに活動費は一位が50万、二位と三位が40万といった感じで十位までお金が貰える感じです。ネットで高校の予算案調べたら合計300万くらいだったし大丈夫やろ(適当)。お気に入りやコメントなどして貰えるとモチベが上がるのでお願いします!(乞食)