クトゥルフ世界に飛ばされる一般PL君 作:冷たくて美味しい紅茶
今回からセッションのログを使いながら小説を書いているので登場人物がめっちゃ増えたり会話のテンポ間が変わったりしていますがあんまり気にしないで貰えると助かります。
「此処は……」
見たことのない公園に突然飛ばされたため一旦辺りを見渡して状況を確認する。時刻は明け方だろうか? 日の出よりも少し早い時間のようで深夜ほどではないがまだ薄暗い。公園内は特筆すべきものはなにもなくごく一般的な公園っぽさそうだ。
「どうしたのそんなにキョロキョロして……君ここら辺に住んでる人じゃないでしょ? 迷子?」
情報収集をしていたら突然声をかけられる。振り返るとそこには真っ白な髪を腰ほどまで伸ばした男とも女とも取れない中性的な人物がいた。この人物も優と同じかそれ以上に顔がいい。
「俺に」
何か答えようと思ったが他の人物にそれを阻止される。
「ここは今から僕が茶畑にするから出てって♡」
俺と相手の間に割って入るように青年が現れる。手にはシャベルが握られており指にはいくつものマメがあることから今の発言は本気で言っていることが伺える。でも、公園を茶畑に変えるってどういうこと?
「え? わ、わかった?」
とはいえあまりに突然のことすぎたため思わず疑問系な答え方になってしまった。でも、いきなりシャベル持った人にこんなこと言われたら誰でも同じ反応になるはず。断ってもよかったのだが別にここに止まっている必要性はないし断って逆上させても面倒なことになると思ったためそれはしない。
「これからどうするか……」
公園を背に適当に歩き始める。とりあえずさっきのシャベルの人はヤバイ人っぽさそうなので遠くに行くことに越したことはない。
「どうしてついてくるんだよ」
しかし、何故か先程の中性的な人物がついてくる。普通に怖いので走って振り切ろうと思ったが……
「だって突然現れた人がいたら気にならない?」
その人物が放った言葉に俺は思わず足を止める。突然現れた瞬間を見ているということはもしかしたらその前に起こったことも知っているかもしれない。情報が足りない今は少しでも話を聞いておいた方がいいかもな。
「突然現れた?」
「おっ、食い付いた。というか自覚なかったんだ」
その人物は意外と言ったように驚く。自覚ある場合って……テレポートができる人間とでも思われていたのだろうか。
「自覚もなにもどうしてここにいるのか、そもそもここが何処なのかすらわからないんだ。えーと君は俺が現れた瞬間を見たみたいだけどその直前に何か見なかった?」
「うーん……特に見てないかな、君の期待に応えられなくてごめんね。あっ全然関係ないけど、僕の名前は
やっぱりあの耳鳴りのようなものの正体はわからないか。それと立ち振る舞い的にも名前的にも柊夜は男っぽさそうだな。違ったら知らん。
「ここに来るまでで覚えていることは無い?」
覚えてることってあの白い空間での出来事のことだろうか。というか他に原因となるようなものは思い浮かばないしな。あそこでのことは別に隠すことではないので優たちの名前だけぼかしながら柊夜に伝える。
「うーん、寝て起きたら謎の空間……そしてそこを出たらここに現れたと」
柊夜は真剣に考えてくれているっぽいが答えが見つかる気配はない。
「だいたいそんな感じだな。話は変わるけど今日っていつ? それとここは何処?」
話を切り替えるがてら若干の想像はついていることを一応尋ねておく。
「今日は2022年の5月4日。場所は東京の久遠市だよ」
「なるほど」
やっぱりか……ごめん2人とも、それっぽく別れたけど思ったより早く再開できるかもしれない。
「君って行く当てとかあるの?」
言われてみれば俺は地名以外ここがどういうところかわからないし自分の持ち物を確認してみるが服装はあの時のもので持ち物もあそこで拾った指輪以外にはなさそうだ。元々家族と暮らしていた家も存在しているかどうか……
「君の事情は大体わかった。だったらさ、僕に付き合ってくれない?」
俺が無言で自分の持ち物等を確認し始めたことで察したのか柊夜は優しく提案してくる。
「付き合うって何に?」
何を言われるのかわからないが
「いやね、最近家を整理してたらこんなものが出てきてさ〜」
柊夜はそう言って持っていた鞄から一枚の紙を取り出す。
「権利書?」
その紙には土地の住所やその土地の持ち主等が事細かく書かれていた。
「うん、うちの両親の名前が書いてあるのを見つけたから行こうと思ってるんだよね」
土地の権利書が家を探してたら見つかるって……もしかして柊夜の家はお金持ちだったりするのだろうか?
「それに付き合えばいいのか?」
「そうだね」
仕事の内容としては柊夜とともにその紙に書かれている場所へと向かう。いたって単純だがそれだけとは思えない。
「これを引き受けてくれたらその家を好きに使ってくれていいよ。それに仕事だって紹介する。お金は大切でしょ?」
報酬として今の俺に一番必要な住とお金を稼ぐための職を用意してくれるのか……だとしたらありがたいことこの上ないな。
「提案としては物凄くありがたいんだけどな……」
だけど、急にそんなことを言われても話が良すぎて詐欺だったり裏があるんじゃないかって勘ぐってしまう。
「流石に怪しく見えるか〜とはいっても僕としては裏は無いとしか言えないからね……」
本当に残念といった様子で柊夜は項垂れる。その姿は到底嘘をついているようには見えなかった。
「……なら信じるか」
拒否してもどうせお金なくて野垂れ死ぬだけだし。それだったら柊夜を信じて付き合っても良いだろう。それに、わざわざここまで言ってくれているんだから信じないほうが失礼だしな。
「本当!?」
柊夜は俺の言葉に本当に嬉しそうに喜ぶ。この反応は嘘をついてなさそうだし信じて正解だっただろう。
「最後に僕が何でこんなこと頼んだかなんだけど……実はその家って噂があってね」
やっぱりただ土地の場所を確認しに行くだけではなかったようだ。わざわざ依頼をするほどなんだ。かなり危険な噂の可能性だってありえる。
「噂?」
「いや、なんかその家の近くを通ると誰も住んでいないにも関わらず声が聞こえたり、物音が聞こえるらしいんだ」
おっと想像とは違っていたが……もしかしたら意外とその土地はいわくつきなのかもしれない。まあただ野生動物が住み着いてるだけかもしれないけど。
「だから何かあるかもしれないから断るなら今だよ」
でも、たったそれだけなら今の報酬を諦める理由にはならない。ちょっと危険とこれから生きていくのも危うい状態だったら誰だってちょっと危険を選ぶだろう。
「いや、それよりも明日の生活の方が大事だからやらせてくれ」
俺は伝えられたことを考慮した上で柊夜の依頼を引き受けることにする。まあ、最初から選択肢はなかったわけだけど……
「君、名前は?」
そういえば柊夜は早々に名乗ってくれていたのにこっちは名乗るのを忘れていた。
「ごめん言うのが遅れた。俺は䋆井凪都。䋆井でも凪都でも好きに呼んでくれ」
「わかった。これからよろしくね、凪都」
「こちらこそよろしく、柊夜」
差し出された手をとり握手をする。……と、次の瞬間俺は柊夜の方へと引き寄せられ体勢を崩してしまう。何事かと思い振り返ろうとするがその前に後頭部付近で何かが通った音がする。
「危ないな~って君は……」
振り返るとそこには公園を茶畑に変えるから出て行けと言ってきた青年がいた。シャベルが振り下げられていることからおそらくさっき後ろを通ったものはシャベルだろう。
「クソッ!! なんで避けんの!?」
そういって悪態をつく青年。本当に危なかったので何か文句でも言ってやろうと思った瞬間、その青年の顔に飛び蹴りが入る。飛び蹴りを放った人物は青年を踏みつけながら着地しそのまま流れるようにこちらを向く。
「悪いな。ウチの連れこういうとこあんだよ」
振り返った人物は地毛なのかくすんだ赤い髪に黒い目をしており目付きが悪いのか謝罪されているのにこっちを睨んでいるようにさえ思える。そして何より……
(デカいな)
身長は180近くあるように見える。それに加えて筋肉があるのかガタイがしっかりとしているため高いというよりも大きいという印象を受ける。パッと見で不良なんじゃないかと思ってしまう……ちょっと、いやかなり怖い。
「いきなり何すんだよ鋼我!」
飛び蹴りを喰らってもピンピンしている青年は鋼我と呼んだ人物に文句を垂れる。そのまま何か喧嘩でも起こるのかと思ったが……
「本当、 アンタには常識とかないわけ?」
赤髪の青年が反応を示すよりも先にシャベルを持った青年に対して苦言を呈する人物が現れる。赤髪の人物と同じほどの身長を持った女性だ。今の言葉遣いからして恐らく何かしらの関係はあるだろう。
「常識は浜に置いてきた。この戦いには着いて来れないからな」
苦言に対してそう返しながらドヤ顔をする青年。それを聞いて思わず浜に常識を置いていったところで強くはならないだろと思ってしまう。一体こいつは何と戦っているんだろうか?
「さっきから黙ってるけどどうかした?」
3人を見てから黙りこくってしまった柊夜に話しかける。
「ん~いや、彼らは僕と同じ学校の同学年の子たちだなって」
同じ学校……中々キャラの濃い人がいる学校なんだな。たまたまあった彼がヤバい奴だっただけかもしれないが、もしかしたらヤバい奴が集まった学校かもしれない。飛び跳ねながらナンパをしてくる奴とかもいるかもしれない。
「アンタみたいな人いたかしら」
しかし、向こうは柊夜のことを知らないようで女性が首を傾げる。
「僕は神無月柊夜、一応入学式の時に新入生代表として喋ったんだけどね」
新入生代表が取れるってことは柊夜って頭いいのだろうか? 頭良くてお金持ち(仮定)で顔と性格もいいとか最強すぎない? ちょっとくらい分けて欲しいものだ。
「あーいたな、そんな奴」
柊夜の言葉で思い当たる節があったのか赤髪の青年が反応を示す。
「で、そんな優等生がこんなところで何してんだ?」
確かに今の時間は早朝だ。日付的に今日は休みなんだろうがそれでも外を出歩いていたのは不自然だ。何か目的でもあったのだろうか? いや、案外本当に家に行こうと思ったら俺を見かけただけかもしれない。
「僕たちはとある噂を調べようと思っててね。ここら辺の噂なんだけど……君たちは知ってる?」
というか彼らもどうして外にいるんだろうか。シャベルを持った青年は茶畑を作ろうとしていたんだろうが2人はその助っ人とかだろうか。いや、でも二人は結構常識人っぽい感じがするからな……
「深夜にラーメンを食いたくなる……って奴だろ?」
「あ〜、はいはい、あのなんか変な家の噂でしょ?」
頓珍漢なことを言った赤髪の青年の言葉をガン無視して女性が答える。一般人であろう彼女も知っているということは意外と有名だったりするんだろうか。
「知ってるなら話が早い。あそこの家ってうちが持ってる土地っていうことが最近発覚してね。それに行こうって話をしてたんだよね」
「面白そうだし、行きたい!」
柊夜の話を聞いて青年が勢い良く反応する。あれ? 公園を茶畑に変えるとか言ってなかったっけ。もう終わったんだろうか。
「別にそれはいいんだけど、危険も伴う可能性があるよ?」
火のない所に煙は立たない、噂があるってことは何かしらの原因がある可能性が高い。それでも俺は明日の生活のために断れないが彼がわざわざ危険を冒してまで来る意味は無いだろう。
「でも、そっちの子も一緒に行くんでしょ?」
「それは彼には報酬を出す約束をしたからね。でも君に渡せる報酬なんてそんなに無い、出来てもご飯奢るくらい?」
俺の報酬との差が激しくない? これで受けられたら俺との取り引きを切られてしまうのだろうか……これ以上は考えてるのはやめよう。
「本当!? ちょうどお腹すいてたから報酬はそれでいいや。じゃあ僕ご飯買ってくるね~」
しかし、その報酬で満足したのかシャベルを持った青年は嬉々として近くにあったコンビニに駆け込んで行ってしまった。
「アイツ……まあいいか。俺も暇だからついて行かせてもらうわ。報酬は気にしなくていいぞ、アイツがやらかしたし迷惑料ってやつだ」
赤髪の青年は来てくれるようだ。自分の友達がやらかしたから責任取ってついてきてくれるってめっちゃいいやつじゃん。最初不良っぽくて怖そうとか思ってごめん。
「ハァ……アンタが行くなら私も行くわ。アンタとアイツだけだと心配だしね」
女性はため息をつきながらついてきてくれることを決める。この2人はそんなに信用がないのだろうか。少なくとも赤髪の青年の方はまともに見えるんだが。
「そういえばお前、名前は?」
赤髪の青年に促されて自己紹介の流れができる。この数時間程度で一体何回の自己紹介をさせられたんだろうか? 今まで自己紹介を高頻度でやることがなかったから慣れない。
「ま、名前を聞くなら自分からっていうしな。俺は
鋼我はそう言ってこちらに手を差し伸べてくる。
「俺は䋆井凪都。よろしくな鋼我」
俺は鋼我の手を握り返し軽く握手を交わす。握手を交わして気づいたが鋼我の掌は普通の人よりも固いような気がする。何かスポーツでもやっているのだろうか?
「私は
従兄妹……確かに仲は良さそうだが微妙に遠慮がなかったりしてたしそう言われれば納得できる。
「あ、苗字呼びの方がよかった?」
そういえば優の時から下の名前でしか呼んでいなかったので思わず鋼我のことを下の名前で呼んでしまった。
「名前でいいよ。俺も名前で呼ばせてもらうからな」
鋼我が特に気にした様子がなさそうでよかった。他人との距離感 is 難しい。
「あ、私も下呼びで大丈夫よ」
晩月さんにも下の名前呼びを許可されたが今まで女性と話す機会などほとんどなかったので女の人を下の名前呼びは流石にハードルが高い。とりあえずは名前にさんをつけて呼ぶことにしよう。
「よろしく桃花さん」
「ええ、よろしく」
2人との自己紹介を終えると今さっきコンビニに飯を買いに行った青年が戻ってくる。俺たちの状況を見て自己紹介のことを理解したのか……
「僕の名前は
そういって手を差し出してきた。だが、公園を茶畑に変えようとしていたことや先程急に襲いかかってきたことから俺の中で彼にはヤバい奴というレッテルが貼られてしまったためその手を取れずにいた。
「そんなに緊張しなくていいのに〜」
しかし、真白はそんなことは全く意に返さず、俺の手を取るとブンブンと上下に振る。こいつ……メンタル最強か?
「自己紹介も済んだことだし、それじゃあ行こうか」
俺に対して助け舟を出してくれたのか、柊夜はパチンと手を叩くと先頭を歩き始める。そうして俺たちは柊夜について行くようにして紙に書いてある住所へと向かうのだった。
あとがきには特に書くことが思い浮かばない…とりあえずここまで読んでくれてありがとうございます。
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