元銀眼の魔女の死神代行の話 作:ラキアー
なお、死神代行篇までは書き上げてしまいました。たぶん、細かな矛盾点とかてんこ盛りです。よろしくお願いします。
幸せな人生であったか、と問われるとけして頷けはしないだろう、とクレアは思う。けれど、満ち足りていたと胸を張って彼女はうなずく。
妖魔によって、家族も自身もめちゃくちゃにされた。
ようやく救われ、第2の家族のごとく愛したテレサも奪われた。
敵討ちのために、自ら組織の門をたたき、テレサの血肉を埋め込まれた戦士になった。
最弱の戦士、と嘲られ、雑魚妖魔を狩るのも一苦労の日々。
かつての自身と似通った境遇のラキを拾ったのを機に、クレアは様々なことを経験した。
妖気の制御を誤り、覚醒しかけたのをラキの献身によってどうにか持ち直したこと。
初めての覚醒者討伐。のちにかけがえない仲間となるミリア、デネブ、ヘレンとの出会い。
狂乱の戦士、漣のオフィーリアによる追跡と、かつてのテレサの追跡部隊の一員、隠棲中のイレーネによる救命。右腕を与えられて高速剣を会得して、覚醒者となっていたオフィーリアを倒したこと。
ザコルの覚醒者討伐に助成し、ジーンを助け、ガラテアと協力して、深淵のものをどうにか退けたこと。
北のピエタの街。大規模討伐作戦で集った仲間たち。新たな出会いと、過酷な別れ。惨憺たる負け戦。
沈黙の7年。妖気を封印されての修行の日々。
南下して、覚醒者たちとの戦いの連続。組織の終焉。そして、決戦。
ようやく再会したラキ。
探し求めたプリシラ。その圧倒的なまでの力に、絶望して心折れかけるも、仲間たちとともに立ち向かう。
そして・・・最後の決着は、テレサが付けてくれた。クレアの中にいるテレサが、クレアの体を通じて、力を貸してくれた。
そうして、仇討ちを終え、クレアはラキとともに旅立った。
涙と鼻水でぐちゃぐちゃの癖に、笑うラキ。テレサが見れば、きっとばっちい笑顔だというのだろう。でも、クレアには最高に素敵な笑顔に思えた。
ありがとう。
クレアは最後の言葉を吐息に混じって吐き出す。
銀眼の魔女、銀眼の斬殺者、半人半妖の戦士――クレイモア。
その末路は最初から決まっていた。覚醒者に堕ちるか、でなければ殺されるか。その二択しかない。
クレアにもその時が来た。そして、酷と知りつつも、ラキに頼んだ。かつてエレナが、クレア相手にそうしたように。
最後を任せるなら、ラキがいいと思ってしまったから。
どうか、ラキのこの先に光明がありますように。
そう願いながら、クレアはその銀眼を閉ざした。
黒崎一護がそんなことを思い出したのは、9歳の梅雨の時期だった。
大雨の日、血まみれの母の亡骸に抱き伏せられた状態で、そんなことを思い出した彼は――そのまま数日寝込んだ。
これは、銀眼の魔女であった少年の話。
安寧に沈もうとしたけれど失敗してしまった、銀眼の魔女から死神代行になった少年の話。