元銀眼の魔女の死神代行の話   作:ラキアー

14 / 43
 だいぶストックに余裕があるので、日曜じゃないですけど、投稿します。お付き合いくださりありがとうございます。

 ちなみに、今はVSグリムジョー(1戦目)辺りを書いてたりします。

 バウント編も書こうかなと思ったんですが、公式で久保先生がハブられてらっしゃるので、そっちはカットになります。私は嫌いじゃないんですけどねえ。


【#13】元銀眼の魔女の死神代行、滅却師と共闘する

 

 石田雨竜には師匠がいた。滅却師(クインシー)の師匠だ。

 

 優しい人だった。200年前の滅却師(クインシー)の滅亡についても、悪かったのは滅却師(クインシー)の方だった、どちらが悪いのか考えるより、どうしたら同じことが二度と起こらないか考える方が大事だ、人でも死神でも悲しい顔を見る方がつらい、と語るような人だった。

 

 その師匠は、最後の滅却師(クインシー)の生き残りの一人として、死神たちから厳しい監視を受けていた。

 

 けれど、師匠はその死神たちに滅却師(クインシー)の必要性を訴え続けた。力を合わせて戦う術を模索し続けていた。

 

 平時、尸魂界(ソウル・ソサエティ)にいる死神たちはどうしても現世での(ホロウ)への対処が遅れる。常時現世で(ホロウ)に目を光らせ、俊敏に対処する我々のような存在が必要なのだ、と。

 

 しかし、死神たちは聞く耳を持たなかった。“我々の仕事に手を出すな”と言い続けた。

 

 そして、師匠は死んだのだ。

 

 その日の敵は巨大な(ホロウ)が5体。老いた師では、死神の援護なくして戦える相手ではないことは明白で。

 

 当然、死神たちの対処は遅く、彼らが到着したのは師匠が死んでから1時間も後だった。

 

 最後まで、師匠の考えは死神たちに届くことはなかった。

 

 もし、死神たちが師匠の考えを認めていたら。滅却師(クインシー)の力を認めていたら。

 

 もっと早く助けに来てくれていただろう。師匠は死なずに済んだだろう。

 

 ゆえに。

 

 石田雨竜(最後の滅却師)は、黒崎一護(死神)の目の前で、絶対に滅却師(クインシー)の力を証明しなければならないのだ。

 

 

 

 「この戦い、君の手助けなどほしくはない」

 

 石田雨竜は踵を返し、(ホロウ)たちに向き直った。

 

 「僕と君は滅却師(クインシー)と死神、考えが正反対であることは分かっている。

 僕の考えが間違っていると思うなら、どうぞそこで見物しているといい。

 僕は、僕の力をただ証明するだけだ」

 

 霊子兵装『弧雀』を起動して言った石田に、一護は黙って肩に担いだままの斬魄刀を構えなおした。

 

 「・・・お前は一体、その師匠(せんせい)とやらから何を聞いてたんだ」

 

 呆れた調子も入った声でつぶやくと、一護は石田の背後に襲い掛かろうとする(ホロウ)を切り捨てる。

 

 「どういう意味だい?」

 

 「その師匠(せんせい)は、滅却師(クインシー)の力を証明したいといったのか?

 死神と滅却師(クインシー)が力を合わせることの必要を言ったんじゃねえのか?」

 

 思わず手を止めて振り向く石田に、一護は吐き捨てると、その背後の(ホロウ)・・・石田が少し仮面にひびを入れて仕留め損ねたそれに、切りかかってとどめを刺す。

 

 「まあ、師匠の言うことを聞けない弟子というのは珍しいことじゃねえ。好きにすりゃいい。

 俺も勝手にさせてもらう。勝手にお前に協力する」

 

 前世のクレアも、決して聞き分けのいい存在じゃなかった。戦いなんてせず、幸せになってほしいというテレサの願いも、高速剣は向いてないといったイレーネの言葉も、クレアは結果として聞き入れなかった。

 

 プリシラを討ちたいという、エゴを貫いた。クレアは何もかも忘れて生きられるほど強くなかった。仇を討つことを目標にせざるを得なかった。だから、例え自分を思いやっての言葉であろうと、受け入れられなかったのだ。

 

 ゆえに、石田のことを強くは非難できない。

 

 けれど、それと現状はまた別の話だ。

 

 「死神と滅却師(クインシー)は正反対か。なら、お互いのフォローができてちょうどいいな」

 

 「ちょうどいい?」

 

 「ロングレンジと近接。弓と刀。死角もフォローし合うなら、背中合わせでちょうどいいだろう。対多数なら、なおのことだ」

 

 「君は自分が何を言ってるのかわかってるのかい?

 死神と滅却師(クインシー)が力を合わせるっていうことだぞ?」

 

 「なら、お前は勝手に戦え。俺は勝手にお前に協力する。それでいいだろう」

 

 思わず言い募る石田の腕を引っ張って引き倒し、その肩に飛び乗るような格好で、背後に迫っていた(ホロウ)を切り倒しながら、一護は言った。

 

 そんな二人――ちょうど一護の背後に、新たな(ホロウ)が迫る。それを石田は『弧雀』で撃ち抜いた。

 

 「やればできるじゃねえか」

 

 淡々調子に言う一護は、普段通りの無表情であったが、声は柔らかかった。

 

 「勘違いするな!今のは撃たなければ僕がやられていたからだ!

 君に協力したわけじゃ・・・!」

 

 「それでいい」

 

 「何?」

 

 「仕方ないから協力する。そんなものでちょうどいいだろう。ともに戦う理由など」

 

 石田と背中合わせになり、一護は語りながら思い出す。

 

 あの最後の決戦。すべてを思い出して復活したプリシラに、死力を尽くした。銀眼の戦士たちは、世代もナンバーも超えてその生き残りすべてが。覚醒者たちですら、こちらに協力するものもいた。

 

 でなければ、勝てなかった。きっと、たくさんの人間が死ぬ・・・否、あの辺境の地で済まず、その外の世界までプリシラの脅威が拡大していたことだろう。

 

 『深淵を超えし者』プリシラを倒す。そのために。それだけの理由で、すべてが力を合わせて一つになったのだ。

 

 「俺は(ホロウ)を倒す。俺には死神の誇りも、重要性もわからねえ。元々普通の人間だったからな。

 握る刃と、その力のあり方がたまたま死神だった、それだけだ」

 

 淡々と語りながら、一護は周囲の(ホロウ)の様子を伺う。こちらに向かってくる者はいない。様子見してきているらしい。

 

 「なぜ?」

 

 「・・・俺のおふくろが(ホロウ)に殺された」

 

 ポツリと言った一護に、思わず石田は振り向いていた。

 

 「仇は討った。だが、それで終わりというわけじゃねえ。

 何といえばいいか・・・」

 

 言いあぐね、言葉を選びながら一護は続ける。

 

 「俺は、俺の同類を作りたくねえ。

 (ホロウ)におふくろが殺されて、親父も妹たちもきつい目に遭ってな。そんな思いする奴は少しでも少ない方がいいだろう。

 いや・・・欲を言えば・・・」

 

 ぐっと斬魄刀を握りなおし、飛び掛かってきた(ホロウ)の一体を切り捨てて、一護は言った。

 

 「この剣の届く範囲なら、誰だろうが何だろうが助け守る。相手がたとえ、なんであれ、誰であれ。

 その届くところを、伸ばしてえ。それだけだ」

 

 言いながら、一護は傲慢だな、と吐き捨てる。

 

 前世よりも余裕ができて、プリシラ一人、あるいはグランドフィッシャーに向けていた熱量が分散できるようになったというのもあるかもしれないが。

 

 それでも、一護は握りしめた刃を、一人でも多くの人を助け守るために振るいたい。その届く範囲を広げたいと願っているのだ。

 

 「石田。後でお前を殴らせろ。

 俺の同類を量産するようなやり方のこの勝負は、心底気に入らねえ。許せねえんだよ」

 

 石田に振り向いて吐き捨てながら、一護はにらみつける。

 

 「だが、何しろ敵の数が多い。一人じゃ骨が折れる。

 一時休戦で手を組む。で、落ち着いたら殴らせろ」

 

 半人半魔の膂力ではなく、生身の制限をかけるのだ。絶対殴る、と内心で一護は決めていた。

 

 「で?どうするんだ?クソガキ」

 

 一護の問いかけに、石田は『弧雀』での射撃をもって返答とした。放たれた霊力の矢が、一護の後ろにいた(ホロウ)の仮面を穿つ。

 

 「誰がクソガキなんだ。同い年だろう。

 でも、よくわかったよ。

 要するに、お互いここで生き残らなけりゃ、殴る相手がいなくなるってことだ」

 

 むっとしたような、しょうがないというような調子で、苦笑しながら石田は『弧雀』を構えなおした。

 

 「・・・上等だ」

 

 一言言って、一護は霊子の矢がかすめた頬をそのままに斬魄刀を構えなおした。

 

 「あとで泣かす。覚悟しておけ」

 

 「どうぞ。君が生き残れたらね!」

 

 お互いの背中をフォローするように武器を構える一護と石田は、そのまま飛び掛かってくる(ホロウ)たちを蹴散らしだした。

 

 一護の背中の(ホロウ)を石田が撃ち抜き、石田の背中の(ホロウ)を一護が切り捨てる。

 

 即席とは思えないコンビネーションを発揮する二人は、ややあって手を止める。

 

 「「?!」」

 

 (ホロウ)たちの様子がおかしい。

 

 「何だ?何かに、祈ってるような・・・?」

 

 まるで拝むように、蒼天を振り仰ぐ(ホロウ)たちに、つられて一護と石田もまた空を見上げた。

 

 空にあったひび割れが、巨大な裂け目と化す。

 

 長い爪が、ガラスのように割れたその縁をつかんで、その白く巨大な面を突き出した。

 

 ひたすら巨大だった。

 

 一護たちが相手をしている(ホロウ)も大きいが、せいぜい巨大な車両レベルだ。

 

 今出てこようとしているそれは、桁違いだった。まさしく、巨人と言っていい――一護たちの方がミニチュアにたとえられそうなほどの巨大な存在だった。

 

 「何だあれは?あれも(ホロウ)か?

 でかいなんてものじゃねえぞ・・・!」

 

 「ぼ、僕が知るわけないだろう!」

 

 かすれた声でうめく二人は、ややあって顔を見合わせる。

 

 「どうするんだ?!周りの(ホロウ)を相手にしながらあんなのと戦えるのか?!」

 

 「いや・・・」

 

 石田の言葉に、一護は視線を工事現場の向こうに向けた。

 

 「援軍が来たらしい」

 

 一護の言葉につられて石田がそちらに視線を向けた。

 

 「相変わらず御察しがいいっスねえ、黒崎サン♪」

 

 カラコロと下駄を鳴らしながら、浦原喜助は帽子の下でうさん臭い笑みを浮かべた。

 

 その周りには、いつぞやに見た男女の子供と、大柄な眼鏡の男がいる。

 

 なんだかよくわからない装備を持った少年少女も大柄な男も、即座に動き出した。少年の持った黒い金棒が(ホロウ)を抉るように殴り飛ばし、少女の持った包帯まみれの筒が、ガトリング砲のように(ホロウ)を撃ち抜き、大柄な男に至っては素手で(ホロウ)を殴り飛ばしている。

 

 「強い・・・!」

 

 「・・・ずいぶんとタイミングのいいことだ」

 

 「あらら。怪しまれてます?黒崎さんってば、辛辣っスねえ」

 

 目を丸くする石田と、スッと目を細めて言った一護に、浦原はパッと広げた扇で口元を隠しながら笑っていった。

 

 「知り合いかい?黒崎」

 

 「ルキアのな。こうまでタイミングがいいと、ストーカーの線を疑った方がよさそうだ」

 

 「ひどい?!せっかく助けに来たのに、あんまりじゃありません?!」

 

 石田の問いかけに一護が返すと、浦原はわざとらしくヨヨヨッと泣き崩れてみせる。が、すぐに姿勢を正し、扇で煽ぎながら彼は言った。

 

 「周りの(ザコ)はアタシらが引き受けますよ。黒崎サン、貴方があいつとの戦いに専念できるようにね。

 ほら、無駄口を聞いてる暇なんてない」

 

 空を指さして言った浦原の口調は、一転して真面目な――底の知れない色を帯びていた。

 

 二人は、視線を空に戻した。

 

 割れた空から頭を突き出していたその巨大な(ホロウ)は、空の縁にかけていた長い爪に力を込めるように、その裂け目を広げ、その巨体を現世に滑り込ませていた。

 

 漆黒のローブを頭からすっぽりとかぶったようなのっぺりとした体躯、鼻が長い白い仮面をかぶった、異様な風体だ。

 

 感じる霊圧も、それまでの(ホロウ)とは桁違いだ。

 

 久々に、覚醒者レベルの相手と戦うことになる、と一護は気を引き締めた。

 

 

 

 一護も、石田も知らない。

 

 それは、大虚(メノス・グランデ)と呼ばれる存在だ。通称:メノス。

 

 幾百の(ホロウ)が折り重なって混ざり合って生まれたとされる巨大な(ホロウ)。ルキアですら、教本の挿絵でしか見たことのない存在。

 

 王族特務の管轄であり、とても一死神の戦える相手ではない、と空を見上げるルキアは青ざめたまま呆然と呻いた。

 

 

 

 「でかい・・・なんてでたらめな大きさだ・・・!」

 

 「怖気づいたか?」

 

 こわばった声でうめく石田に、一護は少しこわばった声で言った。

 

 覚醒者でここまでの大きさのは・・・せいぜいルシエラとラファエラの融合体くらいだろう。あそこまで厄介でないことを祈るしかない。

 

 「誰が!そういう君こそ」

 

 石田は言いかけた言葉を途切れさせた。

 

 まるでヒーローの登場のように歓声のような咆哮を上げる(ホロウ)たちを、その巨大な(ホロウ)――メノスは、口から伸ばした舌で一緒くたに突き刺し、からめとり、吸い込んだ。

 

 ガリガリグジュグジュと、メノスは口の中のものを咀嚼する。同胞であるはずの(ホロウ)を。

 

 「な、仲間の(ホロウ)を食ってる・・・なんて奴だ・・・!」

 

 「仲間じゃねえよ」

 

 「え?」

 

 「ああいう奴はな、同類だって見てねえんだよ。うっとうしいコバエか、小腹を満たす食糧程度にしか見てねえんだよ」

 

 石田に、一護は吐き捨てた。

 

 よく知っている。覚醒者も、そういう奴がいたのだ。もちろん、覚醒者同士で共食いするより、人間の肉の方が好みだったらしいが。

 

 ゆっくりと、メノスが歩き出した。それに、一護は気が付いて舌打ちする。

 

 「石田、とにかくやつの足を止めるぞ」

 

 「と、止めるって、どうやって?!」

 

 「何でもいい!注意をこちらに向けさせる!奴の進行方向を見ろ!」

 

 目を白黒させる石田は、一護の叱責に気が付いて息をのんだ。

 

 メノスが向かっているのは、空座第一高校・・・一護たちの学校だ。まだ部活で、生徒や教職員が詰めているだろう、そこへ。

 

 「行くぞっ!」

 

 「黒崎っ!ああっ、クソ!待て!」

 

 やむなく続いた石田を連れて、一護は駆けだした。

 

 駆け付けたルキアが、一護を止めようとして、浦原の縛道によってそれを阻止されたことに気が付かずに。

 

 

 

 

 

 とりあえず、一護はメノスの巨大な足首に切りかかった。だが、長大な斬魄刀でも切り落とすまではできず、切り傷を作るので精いっぱいだった。

 

 さらにそのまま蹴飛ばされそうになり、一護は大きく飛び下がって距離を取る。

 

 「黒崎!無事か!」

 

 「問題ねえ。が、決め手に欠けるな。持久戦はこっちが不利だ」

 

 石田の隣に降り立った一護が答えると、石田は『弧雀』を展開して、霊子の矢をメノス目がけて撃ち込むが、やはり針が刺さる程度の微々たるダメージしか与えられないらしい。

 

 ともあれ、注意を引くことには成功したらしい。メノスの注意は明らかにこちらに向いている。

 

 「お望み通り、こっちを向いたぞ。これからどうする?」

 

 メノスの注意がこちらを向いていることに気が付いた石田がこわばった声で問いかけてくるが、一護は答えられない。

 

 とりあえず注意を引こうとしただけで、その先は考えてなかったとは言えない。

 

 「まさか何も考えてなかったのか?!」

 

 「悪かったな!」

 

 呆れたというような石田に、一護は苦々しく言い返した。

 

 ダルマ落とし、とまではいかないが、損傷を少しずつ与えて動きを鈍らせて叩くというのが定石なのだろうが、そんな悠長なことが通用する相手ではない。

 

 残念ながら、石田も一護も決め手に欠けているのだ。

 

 高速剣ならばダメージを与えられるかもしれないが、それを使えば右手のダメージで継戦困難になる。確実にとどめを刺せる状況でないならば、あれは使うべきではない。

 

 「その弓で、斬魄刀を撃ち出す・・・というのはできるか?」

 

 「できるわけないだろう!君は馬鹿か?!あと、死神の癖に自分の武器に対してぞんざいが過ぎる!」

 

 「武器は敵を倒すものだ。敵を倒せねえ武器は意味がねえ。倒せるなら武器の一つ投げつけもする。

 バリスタのようにいけるかもしれねえと思ったんだが・・・別の手は・・・」

 

 メノスをにらみつつ考えこむ一護に、石田が何か思いついたように息をのんだ。

 

 「いけるかもしれない」

 

 「?」

 

 「黒崎!手を貸してくれ!」

 

 はっとした調子で言ってきた石田に、一護が返事をするより早く。

 

 突然、空気が震えた。空間そのものがきしむようなそれは、霊圧の急上昇を意味していた。

 

 「「っ?!」」

 

 二人はぎょっとした。

 

 ガパッとメノスの仮面の大口が開かれ、そこに赤い光が収束していく。

 

 収束した霊子による、光線撃。虚閃(セロ)、と呼ばれる攻撃を放つ予兆だ。その狙いは間違いなく、足元の二人だった。

 

 「駄目だ、間に合わな」

 

 石田が言うより早く、その首根っこを一護がつかんだ。

 

 そして。

 

 放たれた赤い光が、二人のいたところ薙ぎ払う。

 

 二人は無事だった。かなり離れた場所に姿を現し、一護は膝をついて息を切らしている。

 

 「黒崎っ!」

 

 「っ・・・慣れねえことはするもんじゃねえな」

 

 斬魄刀を杖代わりにのろのろと立ち上がって、息を切らしながら一護がうめく。

 

 「何をしたんだ・・・?」

 

 「両足の筋肉に霊力をまとわせて、一時的に脚力をブーストして移動した。おかげで、少しな」

 

 呆然と見てくる石田に、一護はどうにか息を整えながら言った。立つ程度ならばできるが、走るのはかなりきつい。

 

 

 

 かつての戦士、ナンバー6『幻影のミリア』の二つ名を持った戦士の代名詞。その脚力を妖気で強化して残像を残すように移動する、荒々しくも流麗な移動法。『幻影』だ。

 

 一護は、自分の中にある力――霊力をもって、その技を再現しているのだ。脚部に霊力を集中させ、一時的に脚力をブーストさせる移動法だ。

 

 もっとも、ぶっつけ本番の仕様は、足にかなりの負担をかけた。高速剣の例があったので、込める霊力は加減したのだが、これでもまだだめらしい。

 

 

 

 「どうなっている・・・?確かに当たったと思ったのに、一護のやつ、避けたのか・・・?」

 

 それを遠目で見ていたルキアは、縛道のせいで座り込んだまま呻いた。

 

 扇で口元を隠す浦原は、視線を鋭くする。

 

 奇妙な歩法だ。死神の使う歩法、瞬歩とは別の移動法だ。だが、反動が大きいらしい。これではもはや走ることもままならないだろう、と浦原は見抜いていた。

 

 

 

 「それで?どうやって奴を倒す?名案があるんだろう?」

 

 「っ! ああ。黒崎、力を貸してくれ!」

 

 一護の問いかけに、石田は答えた。




 さらに、この話は続くことになる。




 連休を皆様いかがお過ごしでしょうか。

 私は夏風邪で咳き込みながら小説を書いています。咳だけですので、ご心配なさらずに。お身体を大事になさってください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。