元銀眼の魔女の死神代行の話 作:ラキアー
投稿日に気が付いた人、ありがとうございます。そういうことなので、投稿しようと思い立った次第です。
【#1】元銀眼の魔女の少年、死神と出会う
夕刻の街だった。
灰色の学生服をまとう少年は、先日スケボーを乗り回した挙句、道端に供えられていた花の入った瓶を壊したチンピラどもを蹴倒し、蹴散らして追い払ってため息をついた。
そのすぐそばの電柱から顔をのぞかせるのは、胸元からちぎれた鎖をぶら下げるツインテールの少女の幽霊である。
少年は仏頂面をかすかに緩め、少女の幽霊に向かって、もう大丈夫、近いうちに新しい花を持ってくる、と約束して、家路についた。
彼の名前は黒崎一護。
年齢:15歳。
髪の色:オレンジ。
瞳の色:ブラウン。
職業:高校生(1年生)。
特技:幽霊が見える。
備考:銀眼の魔女、クレイモアと呼ばれた女戦士、クレアという人物が前世であり、その記憶を持っている。
自宅に足を向けかけた一護は、仏頂面の中のオレンジ色の眉をかすかに動かした。
前世の記憶で言う、妖気の感知に近い感覚――どうも、霊的存在の持つエネルギーを感知しているそれが、なにがしかの存在を一護に知らせてくる。
残念ながら、家路への近道ど真ん中によろしくないものが陣取っているらしい。
今生の一護は、前世のクレアとは違い、戦う力は持たない。確かに、空手教室に通っていたので、ある程度は体は動かせるが、所詮は素人の域を出ない。
加えて、一護が感知しているのは霊的存在――いわゆる幽霊である。そういったものに対して、一護は見える・喋れる・触れる、超A級霊媒体質の四重苦であるが、正面切って戦うすべはない。
一護はひそかに決めているのだ。
前世のテレサが願ってくれたように、戦士にはならない、と。
まあ、長々と話したが、要するに一護はおとなしく遠回りして家に帰ることにしたのだ。
一護は実家であるクロサキ医院の扉を開いた。
ただいまとあいさつすれば、遅い!と父親である一心からの回し蹴りが飛んでくる。が、一護はそれを軽く半歩ずらしてかわす。
黒崎家の門限は7時であると父は定めているが、今どきの高校生が7時が門限とかありえなさすぎる。
バランスを崩して轟音とともに玄関に頭から突っ込んで、たんこぶを作った父が門限について喚きながら殴り掛かってくるのを、一護は仏頂面できれいに無視した。拳はカバンできれいに防ぐのも忘れない。
「お兄ちゃん、おかえりなさい!」
「ただいま。除霊してたら遅くなった。悪いな」
エプロンを付けて夕食をよそう双子の妹の片割れ、明るい髪色で明るい遊子に、一護は仏頂面を緩めた。
が、すぐにその表情は平時の無表情に近い仏頂面に戻り、自身の背後を振り返った。
「・・・一兄、言いにくいんだけど」
「・・・わかっている。また憑かれたんだな」
双子の片割れである、黒髪でしっかり者の花梨が箸をくわえて指摘するまでもない。
振り返った一護の後ろには、胸から鎖を垂らした、バーコードハゲの中年オヤジが、へらりっと笑って見せる。
なお、一護自身は前述したが、その妹たちももちろんそういう感覚がある。遊子は影が見える程度だが、花梨は一護と同じくらい見えるらしい。もっとも、当の花梨が見えても存在を認めない扱いをしているので、見えないのといっしょであるらしいのだが。
「隙ありぃ!」
そんな一護に、復活した一心が殴り掛かった。拳は一護の脳天にクリーンヒットした。
「うら!不良息子め!自慢か?!自慢なのか?!幽霊が一切見えない父ちゃんに対する自慢なのか?!」
すかさずヘッドロックしてギャアギャア喚く一心に、一護はだんまりを決め込んだままだ。
「あのー・・・一護さん?」
無反応の一護に、動きを止めた一心が恐る恐る話しかけると、ややあって一護は父親を振り払うと、ちっと行儀悪く舌打ちして「夕食はいらねえ。寝る」とだけ言って、そのまま2階の自室に上がっていった。
「あーあ。お父さんのせいだよ。お兄ちゃん、前より見えるようになって大変だって、言ってたんだから」
「ぬぁにぃ?!あいつ、お前たちにはそんなことを言うのか?!と、父ちゃんとはろくに口も利いてくれなくなったのに・・・!」
「高校生の息子に40過ぎてこんな幼稚なコミュニケーションする父親なんて、いやだわ」
ムウッと眉をつり上げる遊子と、冷徹に言い放った花梨に、一心はガガーンッとショックを受けた顔をする。
「母さん・・・この頃思春期なのか、娘たちがやけに冷たいよ・・・!一体どうしたら・・・!」
「まずそのアホみたいな遺影を剥がすところから始めろ」
冷たく吐き捨てる花梨をよそに、一心が寄り掛かったのは、壁に貼られたA3判のポスター風遺影である。亡き母の満面の笑みはいいが、下にMasaki Foreverと黄色のフォントが付けられている。
おかげで遺影というのに、しんみりできずにどうにも気が抜けてしまう。
鞄をおいて、一護は一息ついた。くたくたの体でベッドに横になりたくなるが、外をうろついた制服で横になっているのがばれたら、遊子に怒られそうなので勉強机の椅子に腰かけて、頬杖をついた。
幽霊というものは物心ついた時には見えていた。というか、生きている人間と区別がつかなかった。
くわえて、母の死をきっかけに前世の記憶――銀眼の魔女とも呼ばれた女戦士、クレアの記憶がよみがえってからは、幽霊の気配を妖気のようにバリバリに感じてしまうようになったのだ。
幽霊の持つ霊的エネルギー―仮称:霊力を一護は感じられる。その性質に関しても、千差万別でよろしくなさそう、明らかに悪霊っぽい感じと思ったら、できるだけそちらに近寄らないようにもしていた。
前世のクレアは、最強のナンバー1の戦士テレサの血肉を受け継いでいたため、妖気の感知にもたけていた。さすがに随一の能力を誇るガラテアやタバサには一歩及ばないが、その力で敵の行動の先読みもできた。
霊力の感知は、前世の記憶が戻ってからできるようになったので、多分クレアの未練か、あるいは頑張った彼女の褒章を一護にくれたというところだろうか。
いずれにせよ、その能力を一護は重宝していた。まあ、これを持っていてもついてくるものはついてくるのだが。
『あの~、お願いが』
へらりと笑うバーコードハゲに、一護は黙ってデスクの上に出していたヘッドフォンをかけて、音楽をかけることで聴覚からシャットアウトする。
妹と同じ年頃の女の子の願いなら訊いてもいいが、図々しい薄らハゲのおっさんの言うことを聞く義理も義務もありはしない。少なくとも今は嫌だ。
ついでに課題と勉強をやろうと、カバンの中から教材を引っ張り出す。
そのまま一護は、勉強を始めた。
平和な世界だ。
幽霊はいるけれど、妖魔が人を食い荒らすことはない。覚醒者が虐殺することもない。
組織が銀眼の戦士たちを量産して、おぞましい実験をすることもない。
文明だって進んでいて、飽食であり、娯楽は満ち満ちて、あの貧相な辺境からしてみれば夢の世界のようだった。
母はなくなってしまったけれど、父と妹たちだっている。
一護がクレアの記憶を取り戻したのは9歳の梅雨時だ。それから6年。一護は武器を握ることも、血の臭いも忘れたように平穏に耽溺していた。
どこかで、それが終わるとうすうす感づきながらも。
どのくらいそうしていたか。不意に一護は顔を上げて振り返った。スルリッとその両耳からヘッドフォンを机の上に外しておくと、ゆるりと椅子ごと振り向いた。(話を聞いてもらえると目を輝かせたバーコードハゲのおっさんはきれいに無視された)
一護の霊力の感知に、何かが引っかかった。何か、来る。
できるだけ、一護は自分を抑え込んだ。妖気を読むという戦闘スタイルの関係で、妖気を抑えることはクレアにとっては容易なことであり、その要領で現在も自分を抑えることが癖づいていた。できるだけ抑えていれば、寄ってこられにくいからだ。
もっとも、完全に抑え込めているかは謎である。前世のクレアだったころは、完全に抑え込むには組織から支給される妖力を抑える薬任せなところがあったからだ。妖力開放を年単位で行わなければそうそう感知されることはなくなるのだが。
妖力同調の得意なガラテアやシンシアであれば、もっと確実に抑え込めていただろうか。
そのときだった。
ふわりッと一護の鼻先をクロアゲハにも似た蝶がかすめる。かすかな霊気を感じれど、一護は仏頂面をぴくとも動かさなかった。
直後のことだ。壁を透過して、一護の机の上に誰かが現れた。小柄な人物だ。肩でそろえた黒髪に、青みがかった黒い瞳の怜悧な印象を与える女性だ。
特徴的なのは格好だ。時代劇でも見かけない、真っ黒な着物と袴を身につけ、腰には刀、白い足袋と草鞋を身につけている。
一護は軽く目を見開いた。といっても、普段の仏頂面から、かすかに目を大きくした程度なものだ。すぐに無表情に近い仏頂面に戻る。
霊力感知にもろに反応している。感触は、さほど悪いものではなさそうなのだが。加えて、この女は壁を透過して現れた。間違いなく、幽霊の類だ。変に一護が反応して見えてることがばれたら、どう絡まれるかわかったものではない。最悪、腰の刀で切りかかられるかもしれない。
被害が一護一人で済むならまだいい。下の妹たちに向かっていったらどうなるか。(一応父親であるヒゲは見えてないので、危害がくわえられることはないだろうと除外している)
今更遅いかもしれないが、見えないふりをすべきだったか。
一護がそう逡巡するのをよそに、女は机から飛び降りると、「近い・・・!」と深刻そうにつぶやいた。
近いって何が。
とっさに一護はそう尋ねそうになるのをかみ殺した。
否、一護だけだった。
『ち、近いって何が・・・?』
一護に取りついて、今はフローリングの床で我が家のように胡坐をかいてくつろぐバーコードハゲのおっさんがそうつぶやいてしまった。
「む?こんな所にもいたのか・・・」
女はそちらに目を向けてつぶやく。『戦士』の中でもいそうな、凛とした声音だ。
すらりと女が刀を抜いた。ほんの一瞬身を固くする一護は、それでも何も言わずにただ黙って事の成り行きを見ていた。
『ひぃぃっ!いやだ!やめてくれ!し、死にたくない!
私にはまだ、やり残したことが!』
じたばたとバーコードハゲの男が尻もちをついたまま後ずさった。
もう死んでるだろう、と一護が内心でツッコミを入れた直後、女は男の前に素早く立つと、その額に刀の柄頭を押し当てた。
すると、そこに死生の字によく似た光る刻印が押されていた。
「案ずることはない。
女が幾分か声音を和らげて言うと同時に、バーコードハゲの男の体が光に包まれ、消え去ってしまった。
成仏させた・・・?
黙って事の成り行きを見ていた一護は、直後女がこちらを見ていることに気が付いた。
「貴様、もしかして見えているのか?」
この場合、答えると面倒なことになる。無視しておけば大体問題は起きないが、こちらが受けごたえしてしまえば最後、からまれることになる。
一護は見えてません、自分が見ているのは壁の染みですを装うとしたが、女が「見えてないなら何をされても構わないな?」と懐から太文字用マジックを取り出したのを見るや、観念した。
「見えている。それがどうかしたか」
半ばうんざりとした響きが声に混じった。
ブラ霊だかドン観音だかの胡散臭い心霊番組で、散々霊能力者が取り上げられている昨今、別に自分のような人間は珍しくないだろう。
まあ、見えるだけならともかく、前世付きなのはかなりのレアケースかもしれないが。前世付きにしたって、チベット辺りにそういう人間がいるともいうから、皆無というわけでもないだろうし。
「いや、死神が見えているなど、変わっていると思ってな・・・。初めて見る」
「死神?」
「いかにも」
しげしげと見やる一護に、女はドヤッとつつましやかな胸を張ってみせる。
思ってたのと違う、と一護は思ったが口にはしなかった。
前世から、そういうものは黒いローブに骸骨の仮面と大鎌を持っている、いわゆる西洋的なイメージがあったのだ。
目の前の女は、黒ではあれど和服に刀、仮面はない。とっても和装である。だが、幽霊を消し去って見せた。死神なのは確かなのだろう。
感じる霊力の感覚は、ごくまれにあちこちで感じていたのと同じだ。さほど大きくも禍々しい感触も受けない。
「その死神が、人の部屋で何を?」
「うむ。指令を受けて
一護の問いかけに、死神の女は話をするのがうれしいのか、話し出した。
たいていの人間に見えないなら、相手にされることもない。それは見えてる人間とおしゃべりの一つや二つ、したくもなるだろう。一護は女の態度をそう解釈した。
「
「我々死神の倒すべき敵だ」
一護の問いかけに、死神の女はうなずいて解説しだした。着物の懐から取り出したスケッチブックに描かれた挿絵を交えて説明してくれたが、下手くそとファンシーを混ぜてぶちまけた感じの絵柄のせいで、微妙に頭に入ってきにくい。
曰く、幽霊にはおおよそ二種類おり、基本的に無害な
そして、
死神とは世界の
つまり、今現在、この死神の女の倒すべき悪霊がこの付近にいるわけだ。
ならばさっさと倒しに行け、と一護が言うより早く、彼はピクッと顔を下にむけた。
死神の女とのあれこれでおろそかになっていたが、彼の霊力の感知に何かが引っかかった。それもすぐ近く。
死神の女は悠長に、取り出した携帯電話らしくものをいじくっているが、一護は相手にせずに、椅子を蹴倒して急ぎ自室の扉を開けた。
ブワリッと、階段下から濃密な妖気ならぬ霊力による圧力――霊圧が吹き付けてくる。
ついでに、空間を震わせるような不気味な咆哮まで聞こえてきた。『戦士』時代現役であれば、覚醒者かと勘違いしていそうだ。
「なっ?!これは!お、おい!」
背後の死神の女が何やら慌てているが、一護は相手にせずに一気に階段を駆け下りた。
駆けこんだリビングはひどいありさまだった。壁がぶち抜かれ、瓦礫が散乱している。頭から血を流して転がる父と、弱弱しく突っ伏す遊子に、見たこともない白い仮面の巨大な・・・魚面の化け物に掴まれて、悲鳴を上げる花梨。
「遊子!花梨!」
日頃の物静かを置き忘れたように、一護は叫んだ。折りたたみいすをつかんで、外に飛び出しながら化け物に殴りかかる。
だが、花梨をつかんでいるのとは反対の手で軽くはたかれ、一護は悲鳴とともに椅子を手放してアスファルトに転がった。
今の一護はただの人間の男だ。幽霊が見えようが、前世の記憶があろうが、そのベースはあくまで人間。現役の『戦士』であったころのように、半人半妖(正確にはクレアは四半妖なのだが)の身ではないのだ。
いくら幽霊に触れても、まともに戦えるわけではない。
錆ついたわが身を、これほど恨めしく思ったことはなかった。
魚面が大口を開けて噛みついて来ようとした。
「くっ!」
とっさに、一護はさらに地面を転がるように、大口の一撃を避ける。錆ついたとはいえ、何もかもを忘れ去ったわけではない。このくらいならまだ避けられる。
背後でガチンっという牙の鳴らされる音に、一護は必死に立ち上がる。
花梨を助けなければ。
「逃げろっ!」
ここで怒声とともに死神の女が飛び込んできた。大きく跳躍しながら抜刀した彼女は、花梨をつかむ
「花梨っ!」
急ぎ、一護は放り出された花梨のところに向かい、どうにか彼女を抱きとめた。
ほっと息をつく間もなく、その前に死神の女がこちらをかばうように刀を構えながら立つ。
「何をしている!さっさと貴様の家族とともに逃げろ!」
「っ、すまない!」
死神の女の声に、一護は花梨を抱きかかえてとっさに避難しようとした。
だが。
「っ?! 死神!右だっ!」
「なにっ?!うああっ?!」
一護の警告は遅く、魚面の
弾き飛ばされた女は、足がおかしな方向に曲がり、頭からは血が出ている。どう見ても戦闘続行不能だ。
一護は花梨を瓦礫の影に隠し、すぐさま死神の女のところに取って返した。
途中、吹き飛んだ椅子を拾い、「ああああっ!」と怒声とともにぶん投げる。椅子はカマキリのような
途端に、仲間割れが始まった。
仲間意識はないらしく、獲物の奪い合いが始まったのだ。こんなところまで妖魔らしくて、実にありがたい。
「逃げるぞ。援軍か助けは呼べそうか?」
いくら死神といえど、この女一人で全世界の膨大な人間の魂を管理はしていないだろう、仲間くらいはいるはずと一護が女に肩を貸して担ぎ上げながら問いかければ、女は弱弱しく首を振った。
「無理だ・・・今からでは到底間に合わぬ。全員、殺される・・・!」
女の言葉に、一護は息をつめた。案の定か。
考えうる次善の策は。
一護が考えるより早く、その体が突き飛ばされた。
「っ?! 何を」
「一つだけ、全員助かる手がある」
痛めた足のせいで立ってられない女が、座り込んで刀の先をこちらに向けながら、言った。
「貴様が死神となって、奴らを倒すのだ」
「何?」
「貴様がこの斬魄刀を胸の中心に突き立て、そこに私が死神の力の半分を注ぎ込む。そうすれば、貴様は一時的に死神の力を得て、奴とも互角に戦えるはず!」
ルキアの真剣なまなざしに、一護は沈黙する。
力を与えるために、刀で刺す。失敗すれば死ぬだろう。否、そうしても結局
何をいまさら。一護の中の、クレアが白けた様子でささやいた。
死ぬかもしれないなど今更だ。何より、ずいぶん生ぬるいピンチだな、と。
そうだ。この程度、ピンチのうちにも入らない。平穏すぎて、錆つきすぎるにもほどがある。
「刀を貸せ、死神」
逡巡は1秒にも満たなかっただろう。一護の言葉に、死神は苦痛をこらえた様子で笑みを浮かべた。
「死神ではない。朽木ルキアだ」
「俺は、黒崎一護だ」
名乗り合って、刀の刃をつかんだ一護と、柄を持つルキアは、一拍見つめ合った。
仲間割れをしていた
そして、一護の胸を、ルキアの刀が貫いた。
痛みはなかった。ただ、衝撃だけはあった。
放たれた衝撃波のような霊圧に、
「馬鹿な・・・!」
うずくまるルキアがつぶやいた。その体は、黒い着物ではなく、白い襦袢一枚になっている。
「半分だけのはずが、丸ごと全部奪われるなど・・・!」
恐る恐る、ルキアは傍らの人物を見上げた。
黒崎一護の肉体は、その足元に人形のように放り出されている。
そしてもう一人。死神の纏う黒い着物――死覇装をその細身で筋肉質の背の高い体躯にまとい、足元を白い足袋と草鞋に固め、彼は立っていた。
ベルトでその背に固定された鞘に納まる、身の丈ほどの大刀の柄に手をかけ、彼はそのブラウンの瞳で、のろのろと立ち上がる
「あまり時間はかけられねえからな。即行で決めさせてもらう」
淡々と、死神姿となった一護がいったと同時に、その体躯からすさまじいまでの霊圧――霊体が放つ霊的圧力が衝撃波のように放たれる。見えている首筋や手元の血管が力んでいるように浮き出る。
思わずルキアは息をのんだ。
「馬鹿な・・・!」
一護は、まるで霊圧を手足のごとく操っている。意図的に爆発させているのだ。そんなことを死神になりたての子供がやってのけるなど。
ここに至って、ルキアは様々なことを思い返す。
一護の部屋に侵入するや、突然感じなくなった
生身で死神の存在を認識する、人間。
死神個人の霊力に比例して、その刀身を自在に変える斬魄刀が、あそこまで巨大になっているのを、ルキアは見たことがない。
次の瞬間、一護は猛スピードで魚面の
返す刀で、切りかかってきたカマキリタイプの
そうして、苛立ったように大きく鎌を振り下ろしてきた
二体の
雲間を割って月が顔を出す。降り立った死神の少年の始まりを、祝福するように。
彼の名前は黒崎一護。
年齢:15歳。
髪の色:オレンジ。
瞳の色:ブラウン。
職業:元妖魔狩りの戦士、通称:クレイモア。現高校生(1年生)兼、死神
つまりこれは、そういう話である。
Q.具体的には?
A.高速剣や風切りを斬月でぶっぱしたり、霊圧を読んで「何で当たらねえ?!」と敵に言われる一護君が書きたい。
そんな作者の欲望を実現するために書き始めました。
だから、他の細かな設定とかは置き去りにする。だって他の二次創作の方々がどちゃくそ素敵な設定を考えてくださっているんですもの!