こんな世界でも美味いコーヒーが飲みたい 作:yamaneko3
主人公と名前が似てるキャラ普通にゲーム内にいたわ。
これに関しては名前考える時に調べてなかった自分が悪いですね。
まあコラボのキャラはノーカンとしてもあれなので、そのうちスカルシュレッダーみたいなコードネームっぽいの作ります。
それはそれとして日常回です。シリアスをここで調和します。
ガスマスクボーイとミーシャと俺の三人でコーヒーを飲んでからも、次の出撃まで暇な時間があった。
またコーヒーを飲むわけにもいかず、面倒臭いが仕方なくけが人を運んだり応急処置を手伝うことにした。ガスマスクボーイとミーシャも手伝っていたが、まあなんとも姉弟らしく協力して行っていた。長い間離れていても、やはり家族ということだろうか。これからも上手くやっていってほしいところだ。
こうして珍しくも真面目に働いていると、前世で勤めていた会社を思い出す。絵に描いたようなブラック企業で、同僚も創作に出てくるようなクズばっかだった。いい奴も徐々に目が死んでいって、とても見てられなかったよ……。押し付けられた仕事を毎日徹夜して終わらせて、なんで過労で死ななかったのか不思議なくらいだ。愛したコーヒーのせいで死んだのは、皮肉と言うべきか過労死じゃなかっただけマシと言うべきか。
前世のデスクワークと比べると、けが人を運んだり応急処置ってのは、知識がなくてもできるし何より単純作業だから楽だ。そう考えるとレユニオンにいるのも悪くないと思えてくる。まあ、テロリストには変わりないし抜けたいけど。こういう単純作業ばっかならいいんだけどなあ。
「単純作業サイコー……」
「お、おい。どうしたんだよ……大丈夫か?」
「大丈夫だ。安心したまえワトソン君」
「ロバートだって何回言ったら分かるんだお前は」
俺の呟きに反応して話しかけてきたレユニオン兵、ロバートと言うのだが、俺はその名で呼んだことは一度もない。だって普通に呼んだらつまんないだろ?
「シャーロック・ホームズの友人はワトソンだろ?ならコーヒー好きで俺の友人である君の名前もワトソンが相応しい。そうに決まっている」
「シャーロック・ホームズって誰だよ……」
ワトソンことロバートは、俺の言葉に呆れてため息を吐いている。
そしてこいつ、今も言ったが俺と同じくコーヒー好きなのだ。コーヒーのマズさを嘆いているところを話しかけられて、それからレユニオンのコーヒーのマズさについて語り合っているうちに友人になったのだ。コーヒのマズさは人と人を繋ぐのだ。
「あ、そうそう。これ、やるよ」
「これは……ッ!砂糖とミルクか⁉︎」
「ああ、市販の粗悪品だが、結構高かったんだぞ?俺はもう十分楽しんだし、せっかくだからお前にやるよ。これも友人のよしみだ。せいぜい感謝してくれ」
「くぅ〜!ありがとう、ワトソン君!」
「ロバートだっつってんだろ」
ワトソン君から砂糖とミルクを受け取り、ウッキウキになった俺は、コーヒーを作りにテントに走り出そうとした。そして、今は仕事中だったことを思い出した。
「し、仕事が……」
「ったく。他の奴には言っておくから、行ってこいよ」
「ありがとうロバート君!」
「だからロバートだって……言ってるわ」
「おーい!スカルシュレッダー!一緒にコーヒー飲もうぜ!ミーシャも一緒に!」
「お前なに勝手にあの二人まで巻き込んでるんだ!俺はお前にだな……」
「行ってきまーす!」
ワトソン君の声を無視して、二人の方へと走り出す。呼ばれた二人は作業を中断してこちらに振り向いていた。
せっかくなら、俺一人じゃなくてあいつらとも楽しみたい。前に一緒に飲んだ時は、慣れないブラックで嫌そうだったし。それも砂糖とミルクがあればマシになるというわけだ。
「二人とも、一緒にコーヒを飲もう!今度のは前よりはマシだぜ?なんたって砂糖とミルクがあるからな」
「……さっき飲んだばかりだろ。それに、仕事もある」
「いやお前この場所で一番偉いだろ。幹部だろ。休憩くらい簡単に取れるだろ。それに、ちょっとコーヒー飲む間だけだって。少しくらいいいだろ?」
「…………私、飲んでみたい。砂糖とミルク、入ったの」
「……ミーシャがそういうなら」
ミーシャの発言でガスマスクボーイは折れ、要望を了承してくれた。
あの時コーヒーを飲んだテントに向かい、二人をまたあの時と同じ所に座らせた。一方俺はお湯を沸かし、インスタントコーヒーの粉をマグカップに入れていた。
だが、そこで俺は深刻な問題に気がついた。そう、この砂糖とミルク、
ーー量が少なかった。
おそらく俺一人ならこれくらいで足りるだろう、と考えたであろうワトソン君のせいである。
だが、これでは三杯分のミルクコーヒーが作れないじゃないか!
「……楽しみ、だな」
後ろから聞こえたミーシャのその呟き。自然に溢れたであろうその声が聞こえた。
そうだよ!何で悩む必要がある!俺の作るミルクコーヒーを待っていてくれる子供がいるんだ!大人として、子供のために行動しなければいけないんじゃないのか!
そう考えた俺は、二人分のミルクコーヒーを作り、俺の分はいつものコーヒーを作った。少し砂糖とミルクが少ないかもしれないが、三人で分けるよりは良いだろう。
三つのマグカップを持って、二人がいる所へと戻る。
「ほら、できたぞ」
「……前よりは美味そうだな」
「いい匂い……」
結構反応がいいな。確かにほのかに感じる匂いも、これまでのコーヒーの面影を全く感じない。こんなマズいコーヒーでも、砂糖とミルクがあればここまで変わるもんなんだな。
二人とも喜んでくれそうでよかった。せっかくの砂糖とミルクを二人のために使ったかいがあるというものだ。
「……お前のは普通のやつだな」
「生憎一人分しかなくてな。三人で分けるより二人の方がマシだろ?俺はいいから、お前ら二人で楽しめよ」
「ありがとうございます……」
良いことをすると気分がいい。心なしか、俺のコーヒーも美味く感じる。二人もミルクコーヒーを美味そうに飲んでいた。やはり子供だから甘い方がいいのだろう。
がっつくように飲む様はただの子供の姿同然で、大人の俺からはとても微笑ましく見える。俺ガスマスクボーイにはいつも怯えてたはずなんだけどな。なんでかいまではとても可愛く見える。
「甘くておいしい……」
「そりゃよかった。で、スカルシュレッダー。お前の感想は?」
「……前のよりはマシだな」
「素直じゃないねえ……」
意地っ張りで見栄っ張りなところも、ますます子供らしくて可愛いく見えてくる。顔はガスマスクだから怖いけど。
いつものおっかなさが嘘みたいだ。やはり美味いものは人を気楽にさせるのだろうか。こいつは特に背負っているものが重いからな。雰囲気にも現れやすい。
「……ありがとな。俺たちのために砂糖とミルク使ってくれて……。いつもコーヒーがマズイって嘆いてたのに……」
聞き間違いかな?あのスカルシュレッダーが、素直に感謝を述べているぞ。すげえなミルクコーヒー。あのいつも子供らしからぬ威厳たっぷりのスカルシュレッダーを、こんな素直な子供にするなんて。
……これくらい雰囲気が柔らかいなら、多少からかっても許されるのでは?いつもの鬱憤を少しは晴らせるのでは?大人としてはすごくみっともないけど。
「なんだって?ごめんアレックス君。上手く聞こえなかったー。もう一回言って?」
「……お前、あまり調子に乗るなよ。あと、その名前どこで聞いた。事と次第によっては……」
「ち、ちょっとした冗談じゃないですか!そんな怒んなくても……短気だなあ!もう!あと名前はイワンから聞きました!もう二度と言いません!……なあ、ミーシャ。これ俺が悪いの?」
「今のはアッシュが悪いと思う……」
ひどい!ちょっとからかってやろう思っただけなのに。
というか、いつの間にかミーシャが俺の名前を呼び捨てにしている。ガスマスクボーイに影響されたのか?だとしたら悪い影響じゃないか……。はあ、もっと大人を敬ってほしいところだ。
それからも、マグカップをテーブルに置きスカルシュレッダーは俺に対して怒りをぶつけてくる。
「だいたい、お前はいつも色々と適当なんだ。仕事も雑だし、さっきの応急処置だって……」
「おいおい、これって俺説教されてんの?自分の年齢考えて発言しろよガスマスクボーイ」
「ガキだからって舐めてると殺すぞ」
「おい!それはライン越えだろ!つか怖っ!ガキの威圧感じゃねえよ……」
「……お前覚えてろよ?お前がここにいるのはアーツの有用性のおかげなんだからな。用済みになったら……」
「……ふっ、ふふ……」
「っ!ミーシャ!?」
俺らのやり取りが面白かったのか、ミーシャが笑い出した。それにガスマスクボーイは酷く驚いた様子で、ガスマスクを被っていてもその感じは伝わってくる。
ミーシャに笑われたのに納得が行かなかったのか、ガスマスクボーイは今度はミーシャと話しだす。
「……いいかミーシャ?あいつはいつも怠惰で、隙あらばコーヒーを飲んでいるようなロクデナシなんだ。あいつの態度は他の奴にも悪影響になる。そもそも、スラム街で有名だからって取り込んだのが間違いだったんだ……」
「でもスカルシュレッダー、アッシュと仲良いでしょ?」
「誰がこいつとなんか!」
「ふふっ」
ふむ……なるほど。こうして見ているとミーシャが姉というのも納得が行く。確かにこの余裕のある感じ、まさに姉といった感じだろう。
だが、俺からすれば子供二人の微笑ましいじゃれあいである。この光景をつまみに飲むコーヒーは……やっぱりマズイな。でも自然と笑顔になるくらいには微笑ましい。
あーもう、ほんとに微笑ましいな。つか可愛いな。つい撫でたくなってしまう。これでも前世では、近所の子供の相手を積極的にするくらい子供好きだったんだ。貴重な社畜の自由時間を使って相手するくらいには。
本当に仲の良さそうな二人の様子に、思わず父性?母性?が芽生えてしまう。
だからだろうか。思わず二人の頭に手が伸びてしまったのは。
伸びた手を動かし二人の頭を撫でる。
撫でられるとミーシャは照れたように顔を伏せ、ガスマスクボーイは一瞬の硬直の後にわなわなと震え出した。
「……調子に乗るなと、言っただろうが!!」
「アガッ!」
「大丈夫!?アッシュ!」
耐えきれなくなったのかガスマスクボーイに殴られてしまった。本気とはいえ子供のパンチがとてつもなく痛い。ほんと、この世界の住人素の身体能力がちょっとおかしいよ……。
あまりの威力の高さに意識が遠のいていく。
結局美味いコーヒーにはありつけなかったけど、まあ、子供二人の喜ぶ姿が見られたわけだし良しとするか。
次に機会があれば、三人分の砂糖とミルクがあることを祈ろう。
割と序盤に日常回なんて出しているのにはちゃんと意味があります。安心してください。まあ察している方もいるでしょうが。
それはさておき次回が楽しみですね!
それではまた次回!次の投稿を全裸待機していてください!