【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
椅子に座った状態で目が覚めた。
目の前には平原の一本道。
『…………あぁ』
これは、なんて懐かしい夢を見るんだ。
久しぶりにここに来た。
昔のことを思い出したからだろうか。
それとも、お伽話の話をしたからだろうか。
何にせよ……やることは分かっている。
素足のままに。
歩く。
歩き続ける。
どこまでも歩いていく。
太陽は隠れた。
銀河が渦巻き、クラゲが遊泳する夜空からはいくつもの流星が堕ちてくる。
これは知らないな。
視界に入る火の球。
草原に降り注ぎ、衝突するたびに巨大な地響きと音を撒き散らす。
火球と呼称されることもある流星そのものではないか。
いいや、よく見れば宇宙より来る隕石では無い。
一つ一つが第二期の世界で見た物だ。
新たな秩序の中に生み出された、人類の新たな歴史。
ミツキ達が何も思わずに享受する奇跡の世界。
素晴らしいと、第一期の人類を代表して拍手を送りたい。
彼らは地殻変動という、B級映画でしか見たことのない絶滅の危機を乗り越えたのだ。
きっと、俺の想像では再現できないような苦難があっただろう。永井先生の調査だけでも、魔素が人間と世界にもたらした試練は凄まじいものだった。
そして現実とは常に、俺たち人類の想像を超えてくる。
俺がこの世界にやってきたように、調べきれない暗がりの事実は地面の下に眠っているに違いない。
平原──そんな下地に乗っかっている世界を無視して歩く。
火球が、現実が、大地に衝突してどうなったかを見る必要は無い。
大事なのは道。
目指すのは彼方。
遥かな過去。
俺が持っていた物。
培った経験。
築いた財。
愛した人。
この手の中にあった筈の俺の人生は、余さず加賀美明宏に受け継がれた。
人生とは記憶でしか無い。
証拠はどこにもなく、個人の記憶の中でのみ生き続ける。そして記憶とは、脳に刻まれる物理的な現象だ。
多くの者はそう考えている。
だけど、俺は違う。
魂に刻まれた記憶。世界を超えて尚、俺の中にある愛しいモノ。
確かに俺が経験した人生。
或いはあれは、胡蝶の夢だったのかもしれない。
数十年間、俺は子供のままに夢を見ていたのかもしれない。想像力豊かな子供の妄想が生み出しただけなのかもしれない。
本当は俺なんか存在しなくて、加賀美明宏の夢の中の登場人物なのかも。
それでもいいんだ。
たとえ夢の中であろうとも、俺は確かに生きていた。
記憶にあるものが俺の人生ならば……
アイツと出会って、あの子と共に生きた。
それが真実だ。
ここに来ると、何でこんなに感傷的になるのか。
どうしてこんな夢を見るのか。
いつまで俺は歩き続けるのか。
どうやったらこの夢を見なくなるのか。
どこまで歩き続けるのか。
それは分からない。
だけど、一つだけ分かっていることがある。
俺の夢だ。
目指すものを思うだけで全身に力が漲る。
たとえそれが他者には理解されずとも。
幼馴染にすら微妙な顔をされようとも。
関係無い。
夢への道は長く、果てが無い。
水面に映った月に触れることができず、空に浮かぶ月に歩いて辿り着くことができないように。
成し遂げるにはどれだけの時間がかかるのか、全く見えない。
だからこそ価値がある。
だからこそ、やる気が出る。
だからこそ──人生を賭けるんだ。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない