【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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探索の章
1_第100セクター


昼下がりの酒場。

怒声が飛び交う荒くれの場所。

そこに新たな風が入ってきた。

怒りを撒き散らす張本人たちは、そちらに視線を一瞬やるがすぐに向き直る。ワーワーとやり直し始めた。

なにをそんなに言い争っているのか。

 

「だーかーら!アフターショックが一番だって!」

 

「ビルトブレードの方が使い勝手いいだろ!?なんで無駄な見栄に金を使うのさ!」

 

「そ、それならウォーターサーバーでも……」

 

「バカか!」

 

アフターショック。

一撃の後に雷撃を発生させる追加効果。

ビルトブレード。

刃が破壊されても大気中や魔石からの魔素の補充により、刃の再生成が可能。

 

この2人が白昼堂々酒場でなにを喧嘩しているかと言えば、そのどちらの効果を武器に付与するかで喧嘩していた。

 

2人の間には、短径がボウリングのボールほどもある巨大な魔石がテーブルの天板に乗っかっている。

 

魔石とは、純粋な魔素の塊である。メタエレメンツとは違い、化学的に極めて安定している。

持ち運びも容易で、燃料にもなるし、加工も可能、励起させれば魔素を放出させることも出来る。

 

これほどの大きさがあれば、その莫大な魔素によって、生き物でも無機物でも人為的に進化を引き起こすことが可能となる。

勿論、何も無しに魔素をぶつけても方向性が定まらない。ただ、無茶苦茶に変質して使い物にならなくなるだけだ。

 

だから注文する。

鍛治へ。

 

彼らは魔素を用いて武器を特定の方向に変異させる術を持っている。

しかし、秘奥は明かさない。

その代わりに金と時間と魔石さえあれば、誰だって彼らに頼む事はできるのだ。

 

ここで、一つの疑問が生じる。

魔石は魔素の塊である。

つまり単純に考えれば――より多くの魔素を取り込んだモンスターの体内にこそ、より大きな魔石は成る。

より多くの魔素を取り込んだ物体はどうなるか。

勿論、どんどんとレベルが上がっていく。

ボウリングボール大の魔石を体内に生成するモンスターのレベルはいかほどか。

 

レベル50、つまりはコモンドラゴンの体内に生成されるのがこれくらいだ。

研修生や三級探索者ではお話にならないだろう。

 

そして2人の見た目は15、6歳といったところか。レベルもそこまであるようには見えない。

そもそも、高レベルになると金は湧いてくるものになる。つまり2人が高レベルの場合、先ほどの金を気遣う発言と矛盾する。

 

どうやって手に入れたのか。

 

2人は商工会に対して、この魔石は自分たちが手に入れたものだから自分たちのものだと主張した。

 

商工会はそれに対して何も言わない。

そう主張するならすれば良い。但し、トラブルも全てお前らのものだ。

それが商工会のスタンスなのだ。

 

「アフターショック!」

 

「ビルトブレード!」

 

柵越しの犬のように、ガルルルと睨み合う。

そんな様子を、薄笑いで見ている男がいた。

 

「――見ろ三船くん、あれが痴情のもつれだ」

 

「そ、そうなんでしょうか……」

 

じろっと睨む2人の視線もなんのその。焼肉が好きで好きでしょうがないことで有名な青年は、小動物系イケメンを同伴して出勤した。

少し前までは金髪の少女を伴うことが多かったが、最近は7:3くらいでこの少年と共にいることが多い。

 

しかし、イケメンの前では他の男などただのモブである。女の子からイケメンに乗り換えたんだ……などと言われている事も露知らず、イケメンとモブは受付に近付いていく。

 

「方目さん、先日はどうも」

 

「その節は、ど!う!も!」

 

「あの2人はどうしたんですかね」

 

「……あれね〜、なんか拾ったんだってさ」

 

「へぇ、運が良いですね」

 

「もう〜、トラブルはやめて欲しいよねー」

 

軽い雑談から入った2人。しかし、モブの腕をイケメンが叩く。

耳を寄せると、コソコソと話し出した。

 

「あんなの拾える事あるんですか……!?」

 

「分かんねえ、でも俺は無いな」

 

「あ、無いんだ……じゃあ、あれって何円くらいなんですか?」

 

「うーん、2000万くらい?」

 

「んなわけないでしょ」

 

思わず突っ込む受付嬢。

 

「あれなら800万くらいだよ」

 

「意外といくじゃないですか」

 

「倍は大きいでしょ」

 

イケメンは目を白黒させていた。

 

「800万……!」

 

「取っちゃダメだぞー」

 

「と、取りません!」

 

受付嬢のあんまりな言葉にプンスカするイケメンにほっこりしたモブは、話を変えた。

 

「今日は三船くんの武器を慣らすのも兼ねて第100セクターに行きます」

 

「はいよー………最初からそこ行きなよ」

 

「うちの教育方針はスパルタなんです」

 

「はいはい、嘘乙」

 

「はっはっはっ!」

 

端末で情報を受け取ると、少年の肩を叩いて酒場のテーブルに近付いた。

少年も受付嬢にお辞儀をすると彼についていく。

 

「800万……」

 

それだけあればどんなことができるか。

あの石ころ一つを手に入れるだけで、なんでも買えてしまう。

 

「800万ぽっちじゃ何もできやしねえよ」

 

「そ、そんな事ないですよ!」

 

「でもお前……800万だぞ?」

 

「いろいろできるじゃないですか!ほら、武器を買うとか!」

 

「大した武器じゃねえだろそんなもん」

 

「うー……」

 

納得できないような少年を呆れた目で見ると、席に座る。

 

「とりあえず、食おうぜ」

 

「わ、かりました……」

 

腹が減っては戦はできぬという事だ。

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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