【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
俺たちはボックス席を一つ取って、そこで食事をすることにした。先ほどの2人はいまだに言い合いを続けている。
さっさとイチャラブして家に帰れ、うるせえから。
「800万円……」
「あれのことは忘れなよ」
「…………」
そうは言っても、第一期で言えば車一台くらいの値段はする。それだけのお金があれば、だいぶ生活が楽になるとかそんなことを考えているんだろうな。
だけど、そういう問題じゃない。
「さっきも言ったけど、800万って大した金額じゃないぞ?」
仮にあの魔石を売っ払うとして、コモンドラゴンを倒すまでに至る道筋を考えたら、とても割に合うとは思えない。その強さに至る事なくほとんどの人間は寿命を迎えるだろう。
800万だけを考えるなら、真面目に働いた方が早い。
「でも……良いお家を借りられるし、良い服も買えます」
「良い服ねえ」
「僕、間違ってますか?」
「いんや、何も間違ってないさ」
間違ってはないけど、正解だと褒めてやることもできない。そんな事のためにあれを使うのは、金の使い方がわからないウマシカのやり方だ。
「だけど、あの2人みたいに武器を強化すれば今後、もっと効率よく金を稼げるかもしれないじゃん?」
「…………モンスターと、戦うんですよね」
「そりゃあ俺たちは探索者だし」
なんなら、今からモンスターとガチンコバトルしに行くわけだが。
「っ……」
ブルっと、一度身を震わせると水を飲む。
未だに怖いか。
「できそうか?」
「…………やります」
弱々しい声。本当にやれるのかは怪しいところだな。
まだ何も乗り越えてないんだから当たり前だ。
とはいえ、今回の標的は彼も知っての通り、そこまでの強さじゃない。
「ほら、食べちゃいな」
「はい」
セクター100は、彼みたいな戦うのが下手な人間にはうってつけの場所……らしい。俺は一度も行ったことがない。
アリサは何回か行ったことがあって、そこそこ良い経験を詰めたようだ。
たくさん話は聞くけど行ったことがない、そういう事だ。
『ヒロさん、行ったことないんですか!?』
アリサからは信じられない物を見るような目で見られた。
俺がダンジョンに初めて潜ったのは高校生の時だけど、その前にもモンスターとは何回か戦ったことあったからな。慣れるもクソも無かった。
これも全部、父さんとミツキのせいなんだ。
「三船くんもセクター100に行くのは初めてなんだよな?」
「も、ってことは……加賀美さんもですか!?」
「うん」
「でも、加賀美さんはソロって……あっ、そうかあ! 最初は人と一緒にやってたんですか!」
「1人だよ」
「へあ?」
「1人だよ」
「あ、あはは…………冗談ですよね?」
「1人だよ」
「……本当に?」
「1人だよ」
ずーっと1人。
アリサが調査依頼でパーティを組んでくれるようになるまで、僕ちんはずぅーっとソロでした。
はいはい、みんなすごいねー。
ちゅよいちゅよい。
「…………」
「生きてるんだから何も問題は無いだろ?」
「いや、でも……」
「いいよ、言ってみな」
「その……ミツキさんとか、お母さんとか、心配したんじゃないかなって」
「そりゃあしてるでしょ、家族だもんよ」
「やめようとか思わなかったんですか?」
「ぎぎっ」
思わず笑いが漏れそうになり、噛み殺す。真面目に聞いてるんだもんな、笑っちゃいかんいかん。
「な、なんで笑うんですかあ!」
「いやいや、ごめんごめん」
お詫びにデザートを一つ奢った。
赤い果実が乗ったクリームパフェだ。
お一つ6000円。
「もう……子供じゃ無いんだからこんなので……こんなので……」
「ふっふっふ」
釣られクマーめ。
人類の食への探究を甘くみたな?
甘味だけに。
「──へえ……へああ……はあ……」
「大丈夫?」
「だ、大丈夫じゃ……ない、かも、です……」
セクター100までは俺の家から8時間かかる。
近傍には鉄道が無いし、車も禁止になってるから仕方ない。
仕方ないけど、三船くんはヘロヘロだ。
「脚が……」
「今日はここまでにしよっか」
「お願いします……」
歩く事5時間、よく頑張った方だと思う。
別に歩く事そのものは修行でもなんでも無いので座らせ、そこら辺の石や木に縄を結びつけてテントを張った。
ダンジョンに行く都合上、縄の結び方は覚えなきゃ話にならなかった。元々キャンプ趣味は無かったけど、野宿なんて日常茶飯事だ。
ここ最近は日帰りの依頼が多かったから、復習の意味でもきちんとやろう。
「モンスターとか出てないかー?」
「大丈夫でーす」
小川もある。
ちゃちゃっと身体を流させた。
「疲れた?」
「うん」
「ご飯食べたら寝ようか」
「そうする……」
疲れすぎてちょっとだけ口調が崩れている。
いつもこれくらい軽く接してくれると良いんだけど、なんと眠そうな表情をしていることか。
流石に三船くんを疲労困憊にしたいとかそういう歪んだ欲望は無い。存分に寝て欲しい。
「んむ……はむ……」
夕飯はベーコンと野草と自生していた果実のスープ。
最後に野生のハーブで入れたお茶。
モソモソと食べ終えると、途端にうつらうつらし始めた。
立ち上がるのも億劫そうなので、肩を貸したらそのまま目を閉じてしまう。よほど疲れていたのだろう。
テントの中に連れ込み、寝袋に突っ込む。
「おやすみ」
「おやすみ……」
消え入りそうな声の返事が聞こえたので、外に出た。
夜は長いぞ〜^^
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない