【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「あ」
「あ」
また出会ってしまった。
「じゃっ」
「待って」
「なんだい」
「2人はレベルいくつなの?」
急すぎる。
あまりにも距離のつめ方が雑すぎる。
コミュニケーション能力の低さに、腰が引けるのを感じた。ここまで会話が下手くそだと、苦笑いするしかない。
「人にものを尋ねるときは、まず自分からだぞ。そもそも初対面の相手にレベルを聞くのは失礼だ」
「……わ、私は10」
「おお! そうか!」
「貴方たちは?」
「俺は9」
「ぼ、僕は8…………え?」
なにか?
「ふーん……」
「それで、レベルがどうしたんだ?」
「2人でやってるんだ?」
「…………」
ʅ(◞‿◟)ʃヤレヤレ
「君の名前は?」
「人にものを尋ねるときは自分からじゃないの?」
「君が知りたいんだろう?」
三船くんになんとかして戦闘経験を積ませたいので、子供にかかずらわっている場合じゃ無いんだ。子供は好きだけど、優先順位を履き違えちゃいけない。
こうしている間にも貴重な時間が削れていく。
本当は早々におさらばして別のモンスターを探しに行きたいところだ。でも、それをやってもまた突っかかってきそうで面倒臭い。
三船くんがモンスターを何とか倒したところで、褒め称えまくって自信をつけさせるという計画だったのに。三船くんの弱腰も想定以上だし、よく分からない子供も乱入してくるし、どうしたら良いんだこれは。
いきなり裸踊りとかしたら逃げてってくれないかな。宴会では結構評判良かったんだけど。
「むぅ……」
「ぼ、僕は三船黎人だよ」
「……辺見シエル」
「そっか! シエルちゃん、僕たちに何か用があるの?」
「別に……なんであなたみたいな人がここにいるのかなって」
「あ、あはは……」
辛辣だ。
だけど、棘があるわけでは無い。純粋に疑問な思っているような感じも見受けられる。
だからこそ、あんまりキツく言えないところはある。
つまり……厄介だ。
「そんな感じならやめれば?」
「……それは、できないんだ」
「死んじゃうよ?」
「そうかもね……でも、やめない」
「ふーん」
「シエルちゃんは1人なの?」
「うん、私は大丈夫だから」
「そっか…………っ!」
「どいてて」
現れたのは鳥型のモンスター。
どんな原理か、口内に溜めた球を飛ばしてくる。燃えていたり、水だったり、電気を放つヤツもいる。
総称としてボールバードと呼ばれているモンスターだ。
体長は1mほど。
遠距離攻撃を持ってないとめんどくさいぞアレは。
どう対処するのか。
お手並み拝見といこう。
──────
「まっすぐ飛んでくるだけ」
球体をひょいひょいと避ける。
確かに言葉通り、攻撃は真っ直ぐに飛んでくるだけだ。だけど、野球ボール大の物体が実際にどこに飛んでくるかを予測するのは難しい。しかも人間の大人が出せる最高速度は精々が時速160km程度。
ボールバードは少なくとも時速300km超の球体を飛ばしてくる。
「これくらいっ、あたりまえっ」
地面に当たって弾けると、水が広がる。危険度が一番低い種類だったな。
とはいえ、避けてばかりじゃ何も始まらない。ボールバードも打ち出すものがなくなったらサッサと飛んでくだろうし、早いとこ蹴りを付けないと成果0だ。
「ふふん、舐めてるね」
何故か俺のことを見て小馬鹿にしたような表情を浮かべると、弓を持ち出した。背負っていたやつだ。
最初から見えていたし、それを使うんだろうなとは思っていた。何で無手で避けるだけなんだよとも思っていたけど。
「ふぅ〜……」
弓を構える動作。
矢を番える動作。
息の整え方。
なるほど堂に入っている。
それなりに練習したらしい。
少なくとも俺なんかよりは、よっぽど弓の才能があるのかもしれない
息継ぎのため、一時的に攻撃動作をやめたボールバード。その身体に鏃をぴたりと差し向ける。
そして右手を開き、真っ直ぐに矢が飛んでいく。土手っ腹に風穴を開けるまでには至らなかったが、片翼の風切り羽を吹き飛ばした。
「ピイッ、ピイッ」
慌てて羽ばたきを強める。
もはや球体を放つ余裕はないようだ。逃走することに決めたのか、背中を向ける。
「逃がさないから」
すでに射の姿勢に入っていた。
背中に向けて、2本目の矢を放つ。
「……あれ」
矢はボールバードの肉体を逸れ、空へ消えて行った。
いや、今のは当てる雰囲気だっただろ。
そこを外すなよ。
引っ張るだけ引っ張っておいてしょぼい結果を見せると期待値の分だけ見る目が良くないものになる。三船くんも目をパチクリさせてるぞ。
「…………えい」
3射目も同様に。
さっきよりも型がぶれているように見える。
「………………」
4射目は脚をとらえた。
「ピィィィィ!」
ゴツゴツした脚を中程から消し飛ばしてバランスを崩すには至ったけど、それでも落ちるまでではない。モンスターは伊達じゃない!
五射目は外した。
「こ、これは違うから」
なんかグダつき始めたぞ。
「…………あ、あたった!」
八射目で頭を吹き飛ばした。
落ちてきたボールバードの死体。
どうやら第二世代以降だったようだ。ちゃんとモンスターの形を保っている。
首を掴んでピース(^^)v
カメラがあったら撮ってもらえたのに……
「……ど、どうだった?」
「どうって……」
やけに殊勝だった。先ほどまではあんなに太々しい口調と顔付きだったのに、何度も外したことが気まずいのかもしれない。
三船くんと目を合わせる。
「すごいと思う、けど……どう思います?」
「ああ、ボールバード以外だったら死んでるけど……動く的に当てられるなら、後は練習あるのみだ」
総評としては、レベル10程度でアレだけできるなら十分じゃないかということだ。
初級まではお遊びみたいなところあるし。
「無いですよ……」
回復薬があるんだから、どんだけ怪我しても問題ない。即死しなければダメージゼロだ。
「仲間にしたくなった?」
「え、別に」
「…………」
将来性があるからと言って、仲間にするメリットもあまりない。過去、何回かパーティを募った時も方向性の違いで断念した。だからこそ俺はソロでやってる。
向きが揃ってないとお互いに足を引っ張りかねないから、そこは慎重にしないと。あとは、レベルが著しく低いから合わない。
仕事でやってるんだから、合わない相手と組む必要も無い。
「レベル9のくせに」
「ごめんな」
仮に、俺の今のレベルが9だったらこの子と組むかと聞かれると……組まないと思う。
この子と焼肉にたどり着ける未来は想像できない。そういう相手ってのは得てして、ファーストインプレッションで分かる。
目と目が合う瞬間──じゃないけど、こいつだってのがすぐに感じ取れるんだよ。
「…………」
その気は無いと理解したのか口を引き結ぶと、弓をしまい始めた。
ああ、罪悪感が……
マジでごめんな。1人だったらもう少し相手も出来たんだけど。
「三船くん、行こう」
「…………ちょっとだけ、待ってください」
少女が弓をしまっているところに近づいていく。
果たして、何をする気なのか。
気休めの言葉でもかけるのか。
……まあ、わかりきったことだな。
「シエルちゃん、さっきの射撃は本当にすごかったよ」
「…………」
荷物を片付ける手が止まった。
「加賀美さんがああいう風に言ったのは、僕のせいなんだ」
「……加賀美って、あの人?」
「うん、僕が強くなるのに付き合ってくれててね」
「レベルそんなに違わないのに?」
「いや、アレは普通に嘘だね」
「!」
ヤベッ、バレた。
口笛でも吹いとこ。
ピィィィィ!
「加賀美さんのレベルは確か……29だったかな」
何で正確に覚えてんだよ俺のレベル……
「まあそういうわけで……でも、シエルちゃんも弓使いならさ、ずっと1人ってわけにもいかないでしょ?」
「別に……」
「それに僕も武器がナイフでね?援護してくれる人がいた方がいいんだ」
……お人好しだな、バカがつくほどに。
さっき出会ったばかりのやつに何を肩入れしているんだか。そんなんじゃすぐにクレカの枚数増えちまうぞ。あとは本棚にしまわれる聖書の数も。
「これから少しの間だけで良いから、一緒に戦ってくれないかな? 合わなかったら解散で良いから」
「……いいよ、そこまで言うなら」
「じゃあ、まずは1ヶ月ね」
「わかった」
「よろしくね」
「ん」
…………あれれ〜? 俺、空気じゃね〜?
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない