【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「…………シエルちゃんと?」
「成り行きですけど、はい」
「ふぅぅん……」
商工会に戻って方目さんに今回の成果を報告した。三船くんの表面的な精神状態や食べたもの、そして起こったこと。要は、雑談形式での経過報告だ。
その中で最も食いつきが良かったのは、辺見シエルという少女との出会いだ。方目さんは受付嬢だが、全ての探索者を知っているわけでは無い。
それでもシエルのことは知っていたようだ。どうやら、ここの支部に所属しているらしい。
これまでに顔を見かけたことはないんだけど。
「たまたま時間が被ってなかっただけね」
成り立てということも関係しているのかな、なにせシエルは研修生だもんで。
気になったのはあの子の来歴、これまでの実績だ。
方目さんは、酒場で三船くんとぎこちなく会話をしているシエルを見ながら、気まずそうに口を開いた。
「……まあ、その……たぶん察してるんだろうけど……トラブルを起こしがちなのよ」
「やっぱり」
俺が会話にやや苦戦する相手だ。
粗野な探索者達の中には我慢ならない奴もいることだろう。
「ズバリ言ってしまえば、会話が下手なのよね……」
「ですよね」
「子供だし女の子だから、周りの人が取りなすんだけど……それが良くないのかしらね」
「うーん……俺はなんとも」
会話どころか、コミュニケーション行為そのものが下手くそにも見えたけど。
会話の繋がりをいきなりぶった斬るような話し方。自分が話したいことしか話さない。
それでは成立しないだろう。
戦闘時にも必要な指示が通らない可能性だってある。
「自分が話したいことしか話さないのは加賀美くんも同じなのに……何が違うのかな〜」
「俺はそんなんじゃないですけども、強いて言うなら経験の差ですかね」
「本当になんでシエルちゃんと三船くんが組むことになったの? 流れとかじゃなくて」
「遠距離攻撃持ちが欲しいからって言ってましたけどね」
「そもそも、その段階に達してないよね」
「今のうちからそういう連携に慣れとくのは良いことだと思いますよ」
「そうなのかな」
どんなことも、始める時期は早ければ早いほど良い。俺はなんというか、1人に慣れてしまった。
アリサと共闘する時もあるけど、あくまで倒せる相手での話だ。格上や初見のモンスターに対して、2人以上でどう立ち回るかなんてさっぱり。
いつかはそれが原因で失敗するのかもしれないけど、そこは自己責任。
だけど三船くんは、少なくともソロ向きじゃない。シエルを入れたことによって、どう変わるのかを見たいところだ。
──というか俺に関しては完全に失敗だよ!
なんで1人でやってるんだよ俺!
三船くんとシエルの姿を見て、改めて言語化してみたけど……俺、本当になんで1人なんだ!?
19歳でレベル29って割と有望株だろ! 俺の目的について来れるかはともかくとして、もっとチヤホヤされて然るべきじゃないのか!?
「シエルちゃんは可愛い女の子で、加賀美くんは男の子だからじゃないかな」
「さ、差別だ!」
「価値の違いだよ」
「商工会は人間の価値を性別で決めるのか!」
「商工会じゃなくて、誰かを誘いたい探索者が決めてるね」
「確かに……」
「ああ、あと勘違いしてるけど……加賀美くんはシエルちゃんよりもおかしいからね」
「!?」
「焼肉道中に着いていきたい人もいないよ」
冷たい! 言葉が冷たいよ!
ここは南極か!?
もっとオブラートに包んでよ!
「良い機会だから言っておこうかなって」
まあいいか。
「うわっ、いきなり冷静になった」
俺の目的に着いて来れる奴はいない。
当たり前だな。
「んん……まあ、そういうことだね」
「とりあえず、現状の報告はこんな感じで」
「うん、ありがとう!」
──────
「あ、来た」
「来ましたよ」
三船くん側の席に座ると、頼んだものがちょうどやってきたタイミングだった。
フライドポテト(ポテトでは無い)に手を伸ばす。
知っている味だ。
「それ、私が頼んだんだけど」
「美味いぞ」
「…………」
「あっ」
サッ、と。
自分の方に皿を寄せると、俺が手出しできないように腕で隠しやがった。
「私のだから」
ケチ!
くれても良いじゃん!
三船くんに聞いてみた。
「……どう思います!?」
「え?」
「奥さん、どう思いますあの人!」
「えっ、えっ……」
「独り占めですってよ!」
「あ、あ、あ……よくない、ですね?」
「だよな!」
そんな糾弾を受けてシエルは──
「もっもっもっ」
めっちゃ食ってた。
俺の言葉など耳に入ってないかのように、口一杯に頬張っている。
リスかよ。
それにしても、今の話を聞いてもその行動が取れるとは……中々の図太さ。
「加賀美さん……もう一つ頼みます?」
「そうしようか」
飲み物まで注文したところで。
「辺見さん、食べるの一旦止めて」
「?」
「せっかくパーティー組むんだから、ちゃんとやろうぜ」
「めんふぉくふぁい」
「そんなこと言わんと……」
尚も食べることをやめないシエル。
しょうがないので、食べながらで良いこととした。
「この度は、お集まりいただき──」
「なにしてるの?」
「くきっ……お集まりいただき、ありがとうございます」
くそっ、なんでこんな目で見られなきゃいけないんだ! お、俺は社会の通例に従ってやっている筈なのに! 恥ずかしいことをしてるみたいな空気になってるのは納得できない!
「ねえ、この人何してるの」
「シエルちゃん、一旦聞こう?」
そうだ! 聞け!
「2人のパーティーが結成されたということで、ささやかではありますが宴を開かせていただこうと思います」
グラスを持つ。
「では──」
「はい」
「かんぱーい!」
「かんぱい!」
「美味しい」
案の定、グラスを合わせることもせずに飲み始めた。
こいつぅ!
「…………ぷはぁっ! やっぱ仕事終わりの酒が一番だな!」
「あはは、僕はまだ分からないですけど……そんなに美味しいんですか?」
「いやあ、味じゃないな」
「ええ?」
「喉越しだよ」
「喉越し?」
「そもそもアルコール飲みすぎると舌がやられて味覚が終わるからな。食事の味を楽しみたいなら、むしろ飲まない方がいいかもしれない」
「へぇ〜……」
「飲む?」
「い、いや、いいです」
だよな、ネガキャンした後だし。
あ〜……焼肉食いてえわ。
焼き肉の油で満たされた口をビールで洗い流してえ〜!
「お酒とかバカの飲み物じゃん」
「おっ、言うじゃねえか!」
「高いだけで……何が良いの」
「高いのは小麦やらがチマチマとしか育てられないからだ」
「それで?」
「第一期の世界では大規模栽培や牧畜も行われていたから、酒なんか溢れるほどに売ってたんだ、肉もな」
「歴史の話?」
「興味無いか?」
「うーん、少しだけ興味ある」
焼きそばパンとラーメンチャーハンの話をしていたら、時間が飛ぶように過ぎていった。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない