【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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8_相談

「昨日まで、三船くん? と一緒に探索してきたんですよね?」

 

「ああ、第100セクターに行った」

 

「え! あそこに行ったんすか!」

 

「うん、結構面白かったよ」

 

「そりゃあ、レベル20にもなればあんなところチョチョイのチョイですよ」

 

 今日はアリサに勉強を教える約束だった。

 場所は俺ん家。

 すでに時間自体は終わっている。

 その後の休憩時間だ。

 

 そんなわけで、膝の上に座らせたアリサとおしゃべり。

 ちょうど頭が顎の下くらいにくるので置きたくなるけど、それを本当にやると怒られるのでやらない。

 猫耳が目の前でフワフワしている。

 

 アリサには昨日のことを話すのと同時に、相談がしたかった。

 

「アリサ、聞いてもいい?」

 

「いいですよ」

 

 ちゅき。

 

「実は……三船くんと一緒に行ったんだけど、帰る時に人が増えててさ」

 

「え、もしかして怖い話ですか?」

 

「ちゃうちゃうちゃう、そういうんじゃない」

 

 部屋の隅に1人ずつ配置して順々にタッチしていくやつじゃないから。

 

「辺見シエルって子なんだけど」

 

「げっ……」

 

「え?」

 

「いえ……辺見シエルがどうしたんですか?」

 

「うん、三船くんと辺見さんでパーティーを組むことになってさ」

 

「え゛っ」

 

「ど、どうした?」

 

「……本気ですか?」

 

「いや、俺に聞かれても……三船くんは本気っぽかったけど……昨日も解散前に一応歓迎会みたいなのやったし」

 

「…………」

 

 腕に巻き付いていた尻尾が、ゆらゆらと立ち上がった。何ごとかと見ていると近寄ってきて俺の頬を軽く撫でる。

 

「どうした?」

 

「うーん」

 

 言おうか言うまいか悩んでそうな声だな。でも、そこで言わない選択肢を選ばれると何のための相談かわからなくなる。

 

「教えて?」

 

「えー」

 

 ペシペシと細い毛並みが頬を叩く。

 やっぱりこれ、自分の意思で動かしてるだろ。

 

「教えてよ」

 

「うん…………あの女、性格悪いんですよね」

 

「そ、そうなんだ」

 

「私が何の業務やろうかなーって探してたら、横からいきなり『なんで駆除やらないの』って」

 

「うん」

 

「なんでも何も、怖いじゃないですか」

 

「ソダネ」

 

「それで──やりたくないからって答えたら、なんて言ったと思います?」

 

「なんだろ……ふーん、みたいな感じ?」

 

「駆除やらないなら何のためにやってるの? って言ったんですよ! 私よりレベル低いくせに!」

 

「す……すごい……」

 

 やっぱりあの子、頭おかしいんだあ! 

 方目さんは俺の方がおかしいとか言ってたけど、これは明確な反証になりますよ! 見ず知らずの人に、何のためにやってるの? なんて聞ける子が俺よりまともなわけないっしょ! 

 

「あーもー! 思い出したらムカついてきた!」

 

「ちょっ、毛が口に……」

 

「むうううう!」

 

 荒ぶる尻尾の毛むくじゃら攻撃は、何故か俺へ。

 

「ヒロさんが変なこと言うから!」

 

「も……もごご……」

 

「聞いてます!?」

 

「もごお……」

 

 

 ──────

 

 

 尻尾が落ち着いたので、改めて相談を。

 

「はぁ……ヒロさんがあんなやつとパーティー組むなんて……私、がっかりです」

 

「違う違う、三船くんと辺見さんが組むのであって俺はそこには入らないよ」

 

「あ、そうなんですか! 私てっきり……」

 

 そこの前提が違ってたら相談も何も無い。

 あぶないところだった。

 

「じゃあ、何を相談したいんですか?」

 

「アリサも最初は4人組だったじゃん。連携とかどうしてたのかなって」

 

「……それ、私に聞きます?」

 

「え?」

 

「だって……最初以外、失敗続きだったし」

 

「でも分担はしてたんじゃねえのか? 1人は前衛で、もう1人は盾役、1人は遠距離で、みたいな」

 

「ヒロさん……」

 

 あなた、何にも知らないのね。

 そんな内心が透けて聞こえるような一言だった。

 

「ヒロさんみたいに考えられる人ばっかりじゃないんですよ」

 

「そうなんだ」

 

「最初なんて、みんな剣持って突撃してただけですから」

 

「なんだそりゃ」

 

 いくらなんでもそんなアホなことあるか? 

 だって相手はモンスターだぞ? 

 拳銃とかじゃあ太刀打ちできない相手に対して無策で突っ込むのってほぼ自殺だし、そんなことするくらいなら……いや、そんなことしないだろ。

 

「だからね、ヒロさん……言うほどみんな考えてやってないですから。そんなに考えてやってたら、死亡事故もそんなに起きないでしょ?」

 

「それはどうかなあ〜」

 

 だって、相手はモンスターだし。

 いくら考えてやっても死ぬ時は死ぬよなあ。

 

「そうなの!」

 

「そうなんだ」

 

「私だって今なら、アレはダメだったなーとか思えるし、あの時はこうすればよかったかなーなんて振り返ったりもしますけど……無理ですよ、普通は」

 

 そこら辺を言い出したら子供が怪物と戦うのはそもそもおかしいとか、ちゃんと育成学校作れとか、そういう話になりかねない。

 

「あ! でも、最近出来たらしいですよ」

 

「え? 商工会いつの間に?」

 

 何だよ、やればできるじゃねえか。

 

「民間のですけど」

 

「ああ……」

 

「興味ないんですか?」

 

「興味も何も……意味ないだろあんなの」

 

 そっちのやつは知ってるけど、プロゲーマー育成塾とかと同じ匂いがするぞ。

 講師に元探索者がいるとは言え、それだけで信用できるわけでもない。何せ、命をかけるんだ。

 

 その講師が言っていることが本当かどうかを見極める必要が出てくる時点で、まず行く意味が無い。

 そもそもそういう奴らは最新の情報なんか掴んで無いし、言えることがあるとしても広範で当たり障りのないことだ。

 気構えなんか学んだところで……人間は耳で聞いただけで心の準備ができるような生き物じゃない。

 

 ただ……もしも戦闘技術の訓練をしてたり、洞窟探索で必要な技術の習熟なんかを行っているなら、それはとても良いことだと思う。

 三船くんを通わせても良い。

 なにより、調子に乗ってる奴がいたらボコボコにして身の程を弁えさせることが大事だ。

 

「ヒロさんって割と考え方がバイオレンスですもんね……」

 

「これに関しては曲げる気はないなあ」

 

「子供だろうが容赦しないですもんね」

 

「まあな」

 

 心は痛むけど、コラテラルダメージなのだ。

 

「鼻、すんごい痛かったんですからね!」

 

「……加減はしたから許してほしいな」

 

 本気だったら顔面グチャグチャだっただろうし……

 

「そりゃあ許してますけど! 感謝してますけど!」

 

「そうだったんだ……」

 

「だって、そのおかげで学校に通えるようになったし、お母さんたちと仲直りできたし…………ヒロさんとも会えたし」

 

「アリサ……」

 

 可愛すぎて弾けそう。

 何がとは言わないけど。

 溢れる思いよ届け! 

 

「もー! 髪の毛グシャグシャになっちゃいますから!」

 

「…………あの2人、どうしよう」

 

「あの女に関しては1発やっちゃえばいいんじゃないですか?」

 

 シュッシュッと、シャドーボクシングを始めた。

 

「やめい」

 

「いたっ」

 

 怖いよ、いきなり何言い出すんだ。

 

「よっぽど危ないことでもしない限り、そんな野蛮なことしないから」

 

 そもそも俺はシエルに対して、どうにかなってしまえ! みたいな感情は無い。三船くんとパーティーを組む以上は戦闘力と人間性を持ってほしいだけだ。

 戦闘力に関してはそのうち伸びるだろうし、人間性だよなあやっぱり。

 

「知り合いの弓使いとかいないんですか?」

 

「いないなあ……あっ、でもあいつ確か……」

 

「いるんですか?」

 

「探索者じゃないけどな」

 

「え? 弓を使うのに探索者じゃないって……そんな人いるんですか?」

 

「いるいる」

 

 これぞジャパニーズネ! 

 弓も使えるし、心を落ち着かせるのも出来るようになっただろうし、よくよく考えたら、役目にぴったりじゃん! 

 

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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