【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「ふーん、ふん、ふん、ふーん」
軽く鼻歌を唄う。
背中のミツキが目覚めないように。
子守唄代わりに。
変わらず俺が覚えている、前の世界の歌。
この世界には無い歌。
ああ、俺は絶対的に俺だ。
何と素晴らしい事なんだ。
バッグには魔石とスマホ。
この魔石はそこまで大きく無い。
明日にでも換金しよう。
そして、探索のための資金にする。
俺は今すぐ焼肉を食べたいわけじゃない。
……いや、本当は食べたいけど我慢はできる。
俺は焦らない。
一歩一歩、進んでいくぞ。
何事も耐えてこそ新たな道が開ける。焼肉のことばかりを考えるのは良いけど、思わぬ角度から道が開けるかもしれないのだから。
タクシーを呼んでミツキを押し込む。
運ちゃんに行き先を告げると、少し驚いたようだった。
「四門家じゃないですか、その住所」
「まあ、はい」
チラッとバックミラーを見て、ミツキの顔を確認する。
事情は理解したようだ。
とはいえ、運ちゃんもプロ。
それ以上の深入りはしてこない。
ミツキは窓際に座らせて、俺は真ん中に座った。
車の揺れで首がぐわんぐわん行きそうだったからな。
怪我させたらシャレにならん。
「はい毎度」
車を走らせること30分、ミツキの実家に着いた。
1人暮らししてる方のアパートに連れていっても良かったんだけど、親父さんにあらぬ嫌疑をかけられても面白くない。
代金を支払い、ミツキを背負う。
タクシーが走り去ったあと、門前に立ってベルを鳴らした。
「ちわーっす、宅配でーす」
『おう、入れ』
「うっす」
相変わらず話が早いことで。
家に入ると意外と質素……に見えて、そこら辺にいかつい武器が飾ってある。
俺のナイフが比較にもならないほどにはやべえ物だらけだ。
「ミツキ、家に着いたぞ? 起きろー」
「んん……」
靴を脱がせても、いまだに意識は夢の中。
あとはコウキさんに引き継げば良いか。
……いや、せっかく娘が来たんだから出迎えくらいしろよ。
「コウキさーん……」
特に返事は無い。
「ミツキはここに置いておきますねー、じゃあ、おやすみ……ん?」
ミツキを玄関に置いて帰ろうとしたら、ガタガタと床が鳴り出した。
地震とかじゃなくて、コウキさんが走ってるっぽい。
何してんのあの人。
おっさんが1人、廊下につながる扉から慌てて出てきた。
「──何で帰るんだ」
「何でって、夜じゃん……」
「いや、美月を置いて帰るなよ」
「ここがミツキの家だろ」
「でも、俺が触ると臭いとか何とか……」
「何の話してんだよ……ミナさんいないの?」
「寝ちゃった……」
「あっそ、おやすみ」
「ちょっと待ってって」
今度こそ帰ろうとしたら、腕を掴まれた。
何だよこのシチュエーション……
何でおっさんに呼び止められないといけないんだよ。
「そもそも、ミツキを起こせば良いじゃん」
「……信じて美月を預けたのに」
「だからこうして返したんだよ」
「……けち」
おっさんのそんなセリフ聞きたくないね。
それとも、ここが地獄の一丁目?
……めんどくさいから聞いてやるか。
というか毎度のことながら、ミツキにももっとその一面を見せてやれよ。
「ミツキ、家だぞ」
「うん……」
うん、じゃないが。
眠いんだろうけど、家帰ってきたんだからお風呂入らなきゃ。
「ほら、洗面所行くぞ」
「うん……」
洗面所の前に立たせた。
ここまで来てもうつらうつらしてやがる。
流石に顔を洗うのは自分でやらないと水が飛び散るしな……
貸してる肩を軽く揺さぶる。
「美月、美月、家だぞー」
「……おしっこ」
「はいはい」
幼児退行してる幼馴染をトイレに連れて行き、シーシーしてる間にコウキさんと話す。
「……飲み会、美月は楽しそうだったか?」
「多分」
「多分てお前……」
「俺も久しぶりだったから楽しんじゃった」
「はぁ……まあ、無事に帰ってきたから良いか」
「飲み会ごときで無事とか……ていうか、監督者責任って何だよ。保護者の責任押し付けんなよ」
「良いだろ別に、今更ギャーギャー言うな」
「なんだそりゃ」
「そういう事もある、だろ?」
「ねえよ ……おっ?」
眠り姫が目覚めたらしい。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない