【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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14_浮気者?

「うぅぅぅ〜……」

 

「ミツキさん、落ち着いて」

 

 さっきから何回目? これ言うの。

 あっちへ歩いて、こっちへ歩いて、いい加減鬱陶しくてしょうがない。

 いくらヒロさんが恋しいからって、うるさいな。

 そんなに落ち着かないなら会いに行けば良いじゃん。場所は分かってるんだし。

 

「重い女だって思われるかもしれないし……」

 

「その思考がすでに重いよ」

 

「だ、だだだって山田ちゃんだよ!?」

 

「私、あの人のことあんまり知らないんですよね」

 

 学校も同じじゃ無いし、山田がどうとか言われてもあんまりわからない。一度も顔見たことないしね。

 それに、ヒロさんが浮気なんかするわけないし。

 

「すでに二股してるのに!? 浮気の実績解除済みだよ!?」

 

「浮ついてないから良いんデース」

 

 そもそも、そんなことを言い出したら私たちのどちらかは負けていたわけで……まあ、十中八九ミツキさんだろうけど。固着した関係に安堵して先に進めなかった臆病者だから。

 私の慈悲深さに感謝して、毎朝捧げ物をするべきだと思う。

 

「そ、それは言いっこなしじゃん……じゃない!」

 

「うわあ!?」

 

 机バァン! お水パシャアン! 

 何してんのこの女は……良い加減引っ叩いてやろうかしら。

 

「不良で、アキとの喧嘩に負けて下に着いて、同じ生徒会で会計やってたんだよ!?」

 

「だから?」

 

 その程度で何を怯えてるんだか。

 

「気に入ったやつはぶん殴ってでもかまちょするアキが、喧嘩でぶち転がして生徒会に強引に誘ったんだよ!?」

 

「…………」

 

 それは、知らなかったかな……あ、いやどうだろう。聞いたことあるような気も……

 

「しかも、アリサちゃんより前の話だからね!?」

 

「ふ、ふぅぅーん……べ、別に、ひ、ひろさんのことしんじじてるし……」

 

「声震えてるよ」

 

「…………のどかわいた……あ、あれ?」

 

 お、おかしいな、コップが揺れてる。あれだ、地震が起きてるっぽい。

 

「ミツキさん、地震ですよ」

 

「いや、アリサちゃんが震えてるだけだね」

 

 そんなバカな!? 

 

「ど、どうするんでふか!?」

 

「どうしようもないでしょお〜……」

 

 ヒロさんが、合間を縫って高校の時の友達に会ってる話は知っていた。何でも、高校の時に紡いだ縁こそ一生の縁なんだって。

 確かに私も高校のクラスメートは大好きだ。

 でも、中学や小学校の時の友達ともたまに連絡取るし、大学生になってもそうなんじゃないかな。

 

「チッチッチ、若いねえー」

 

「ちっ」

 

「中学の時の友達なんて、大学になるとほとんど会わないよ。小学生の時のなんて顔も見たくないけど、そもそも友達いなかったけど。なんなら、小学校と中学校の被り多いから殆ど興味ないけど」

 

 なんかいきなりミツキさんの辺りが暗くなった気がする。この人、ヒロさんに会うまではいじめられっ子だったんだもんね。仕方ないか。

 

「アキが助けてくれたんだぁ〜、へへ、えへへへ」

 

「トリップしてるところ悪いですけどぉ、その山田さんとやらは結局、どんな人なんですか?」

 

「はっ!? そ、そうだ! 山田ちゃんは……あの、武勇伝が色々あって……」

 

「はぁ」

 

「アキ、生徒会長だったじゃん?」

 

「らしいですね」

 

 生徒会長だった時のヒロさんの姿、見たかったなあ……あーあ、私も同じ高校行ってればなあ。

 

「公約はだいたい成立させたんだけど……ダンジョン探索部っていう部活を生徒会長権限で立ち上げてさ」

 

「ええ……」

 

「先生とか一部の生徒から結構ひどいこと言われてたのね。本人は全く気にしてなかったというか、これくらいでちょうど良いみたいな顔してたけど」

 

「はい」

 

「その……悪口言ってる人たちを裏でシめようと……」

 

「こわっ!?」

 

「それをアキが止めようとして、喧嘩になったりして……私は側から見てただけだったんだけど、マジ怖かった」

 

「どっちが?」

 

「アキが」

 

「ヒロさんが!?」

 

 なんで山田さんの方じゃないの? 

 

「山田ちゃん、アキの武器とか色々持ってダンジョンに迷い込んじゃってさ……それ知った時の顔が本当に……ううっ」

 

「そんなことがあったんですか……あれ、その時ってレベルいくつですか?」

 

「多分10行ってなかったんじゃないかな……」

 

「はぁ〜」

 

 ダンジョンに慣れるもクソも無かったって言ってたのはそういうことだったんだね。

 

「今日も、何でコマちゃんすら連れてかないのかなあ……もう!」

 

「そういえばそうですね」

 

 ヒロさんは基本的にコマちゃんとセットみたいなところがあるけど、こうしてコマちゃんだけ待機の時もたまにある。

 

「コマちゃん、何か知ってる?」

 

「……わふ」

 

 口元から漏れるような、気だるげな返事。

 何にも分かんないや。

 

「コマちゃんに聞いても分かるわけないじゃん!」

 

「わん」

 

 

 ──────

 

 

 縁側に腰を下ろす。

 見遣る空には今日も月が浮かんでいた。

 

「──果たして、どうなるかな?」

 

 三船黎人。

 辺見シエル。

 きっと、こいつらにはお互いに縁があった。

 そんな2人が出会った果てに何があるのか。

 それは誰にもわからない。運命や時間の神ならばあるいは分かるかもしれないが、考えても仕方のない事だ。カミサマは霊領を越えて人の領域にやってくることはごく稀なのだから。うざってえ。

 

 ここからどんな未来に辿り着くのか、それを見極める必要がある。

 こいつらが俺を運ぶ大波を巻き起こしてくれるか、それとも全く関係ない波の中で生きているのか。

 違うならば、波からは急いで外れなけれならない。

 

 いつだって、賭けなんだ。

 賭けを成立させているかすらも賭け。

 俺は命を捨てているのか、それともテーブルの上にチップとして載せているのか。見えぬ先行きを一歩一歩、飛び込むように開拓していくのはとてもスリリングだ。

 

 次のステージはどこだ? 

 探索者の道は本当に合っているのか。

 縁を結んだのは良かったのか。

 わからないさ。

 こんな世界で、予測なんか役に立ちやしねえ。

 それでも一生懸命やって──

 

「アキヒロくん!」

 

「──早苗ちゃん、お風呂上がったの?」

 

「ええー? それ聞くのー? …………えっち」

 

「エッチでごめんな」

 

「髪拭いてー!」

 

「じゃあ、こっちおいで」

 

 早苗ちゃんは髪が長い。

 腰まで届くほどだ。

 らしいと言えばらしいのかもしれないけど、乾かすのも一苦労だと言っていた。

 ドライヤーがあればそんな苦労もないんだろうに、まだそこまで手が回っていないようだ。電気だって使えるんだから、割とすぐに作られるだろう。

 それまでは自然乾燥で我慢だな。

 

「大内さんはもう60歳なのに全然元気で、この前も野菜をお裾分けしてくれたんだ」

 

「禿げてるおじいちゃん?」

 

「そうそう! 凄いよね、ちゃんと魔素の濃度も計測して管理してるんだって」

 

 髪に含まれた余分な水分を、タオルで包んで吸い取る。

 髪艶が凄い。

 丁寧に扱っているのが伝わってくる。

 山田ももう少し早苗ちゃんの細かいところを見習うべきだな。

 

「今日は、その野菜とかを使った鍋だよ!」

 

「おっ! 良いねえ! 白菜とか?」

 

「白菜は高いかなあ……黄菜ならあるよ!」

 

「そっか」

 

「……白菜が良かった?」

 

「違う違う! あんまり馴染みがないから想像しづらくてな! いやー楽しみだ!」

 

「それならよかった!」

 

 縁側から脚を下ろしてプラプラしている姿は、完全無欠の女児だ。カミサマと出会ってからこうなったらしい。

 本来なら早苗ちゃんは素敵なレディーになってただろうに、余計なことしかしない奴らだ。

 その顔を一度拝んでやりたいぜ。

 

 夕飯はダイニングに集まって食べた。

 ドカンと置かれた鍋。

 張り切ってくれたのか、量も多い。

 アミジカという種類のシカの肉も入れてくれたらしい。

 

「──うまぁい!」

 

「本当!?」

 

「ああ、出汁がよく染み込んでるよ。なあ三船くん!」

 

「はい!」

 

 早苗ちゃんは料理を作るのが本当に上手だ。

 山田家でご飯をいただく時は大体早苗ちゃんが作ってる気がする。

 三船くんも力強く頷くくらいの腕前、ミツキとアリサもきっと唸る。弟子入りをお願いするかもしれないな。

 

「明日は日向ちゃんが作るから、期待しててね〜!」

 

「!」

 

 この姉にしてこの妹あり、なのか。

 山田の作る炒め物も絶品だ。

 

「やめろよ姉ちゃん!」

 

「ヒナタ、期待してるぞ!」

 

「……だから、期待すんなって」

 

「とびきりのを頼む!」

 

「うるせえ!」

 

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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