【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
明宏がダンジョンに行くらしい。1人でダンジョンに挑むなんて本当に命知らずというか、らしいというか。
あの2人のことは任せると言って、朝飯を終えたらソソクサと支度をし始めた。
「ほ、ほんとうに1人で行くのか? パーティーとか……」
「いないよ、知ってるだろ。下調べはしてあるから、順当に行けば勝てる」
「大丈夫、なのか?」
「さあな」
ダンジョンにはイレギュラーがつきものだから、確約できるものではないらしい。
……そういうことを言いたいわけじゃないと分からないのかね。
運動性の高いパンツと、胴体のラインに沿うようなインナー。その上から防具を纏っていく。高校生の時に一緒に見た物なんかよりもよほど良い素材なんだろう。見るだけで、触るだけでその質感が伝えてくる。鮮やかな黒──黒に鮮やかも何もあった物ではないと思うけど、とにかく、綺麗な黒。ムラがなくて、透き通ってるみたい。それに布みたいに軽いのに、叩くとありえないほどの硬さ──金属音がするなんて。
「レイスの纏ってた外套を使ってっからな、生半可な火だの雷だの酸だのは効かないんだ」
名付けて、レイスの死套鎧! とか言ってる。
「いくらするんだよそれ」
「多分……1500ぐらいかな」
「ううっ!?」
「買えばな? 俺は倒したから加工代だけだ」
絶句した。この、軽いだけに見える防具が1500万。
私が何年働けばこれが買えるんだ? というか倒したって……レイスって、死者の魂がモンスター化したとか言われてるやつだろ? そんな恐ろしいやつとよくもまあ……
「よく知ってんな」
「…………レベルは幾つだったんだよ」
「直に測ったわけじゃないから知らねえけど、大体40前後って聞いてる」
「お前レベル幾つ?」
「その時は25とかだったな」
「バカか!?」
「あっ、耳裂けりゅっ」
「お前は、バ! カ! な! の! か!?」
「オミミイタイヨー」
どうしようもないほどにバカだ、自分よりもレベルが10以上も上の相手と戦うなんて。明宏が探索者になるって聞いて、私もいろいろと調べたりしたんだ。今だって調べたりしてる。
レベルが10離れたら、存在としての段階が違うって。それなのにレベルが15も違う相手と戦うなんて、自殺行為としか思えない。
「千切れちゃう! 千切れちゃうから! やめて! お、俺だって自分から受注したわけじゃねえんだって!」
「じゃあなんだってんだ!」
「アンダーの第3階層で出会したんだよ! たまたまな!」
「なんで第3階層なんか行ってんだよ!」
「穴から落ちたの! ──あっ」
じゃあ、仕方ないのか……? 故意じゃないらしいし、自分からそういう無意味なリスクに突っ込むやつじゃ──いや、そういうやつだから信用できない。
「あー痛かった……」
「……それって、うちに来なかった間のことか?」
「それよりは少し前だったな…………いやっ、後だったかな……」
「お前……」
なんかあったらちゃんと言えって言ってるのに……
「だって死んでないから……」
「死んだらそもそも連絡とかねえよ! 大怪我したらって言ってんだろ!」
「回復薬だってあるし、医療機関もあるし、ミツキもいるし……お前に伝えるような大事ってあんまり……」
「っ……」
四門ミツキ。有名な一級探索者の一人娘にして、コイツの幼馴染。生徒会にもたまに顔を出していたから覚えている。大体が帰りのお迎えだった。
……別に、それをどうこうとかは思ってない。幼馴染なんだから、それくらいは普通なんだろう。幼馴染がいないから知らないけど。
でも、幼馴染をダシに私への連絡をサボられていたのは納得がいかない。
「親友のことを心配するのは、そんなに変か?」
「!」
「私のこと、本当は鬱陶しいって思ってるのか?」
「それはない!」
「……」
「ごめん、俺が悪かった」
「ばーか」
こういうところを直さないと、コイツはいつか痛い目を見ることになる。そうならない為にも、私が躾けてやる。
──────
「いってらっしゃーい!」
明宏がいなくなった後、ようやく本題に入った。明宏のことも大事だけど、今回のメインはこの2人だ。1人はおとなしい男の子だけど、もう1人は口が極限まで悪いクソガキ。
まずはわからせるか。
「辺見、お前はこっち来い」
「……」
「レイトくんはこっちー!」
「はいっ」
このガキにはまず、上下関係ってものを分からせてやらなきゃならない。私があいつに出会う前だったら、普通に取っ組み合いで蹴りをつけてたところだけど……今は分かってる。そのやり方じゃあ相手を納得させることはできない。
勝負ってのは、同じ土俵に立たなきゃ意味が無い。
コイツは弓使いだ。それなら、その枠組みの中で勝たないと説得力が生まれてこない。
「なにやるの」
「簡単だ、的当てだよ」
「ふーん……探索者に勝てると思ってるんだ?」
「お前みたいなペーペーが何言ってんだ、身の程知っとけ」
「……良いよ、やってあげる」
「射は4本、型に縛りはねえから自分のやりたいようにやれ。但し、場所は守れよ」
「分かってる」
取り出したのはコンポジットボウ、特に変なところは見られない。明宏が見せてくれたナイフみたいに変質してはいないみたいだった。
それだけでも、コイツが探索者として素人であるということがわかる。その癖、口ぶりだけは一丁前に叩きやがって、恥ずかしくないのかね。
「先にやれよ」
「…………」
弓道とはまるで違った弓の引き方。形自体は中々様になっていた。これで的にあたれば、あとは問題ないのだろう。
…………ん?
「っ!」
放った矢は、中央とはいかなかったけど的には当たった。
「次」
「うるさい」
終えてみれば、3中だった。
駆け出しの割には中てる方なんじゃないかと思う。ただ、外した一射が原因で死ぬこともあるのが探索者。まだまだ未熟ってことだ。
「つぎ、あなただよ」
「わーってるよ」
弓を構えた。
──────
「──どうだ?」
「……負けだね」
粘るかと思いきや、ゆっくりと目を閉じて負けを受け入れた。
意外と潔いな。
それもそうか、ど真ん中に4本ぶち込んでやればな。こちとら神事の為とかで散々やらされたんだ、負けるわけねえだろ。
「どれくらい練習したの?」
「10年」
「……!」
「年季がちげえんだよ」
「10年はつまんなそう」
「喧嘩売ってんのか」
「売ってない」
「……お前、なんでそんなに口が悪いんだ?」
「違う」
「いや、違わないだろ……」
「喋るのは意外と大変」
「ふんっ……そんな段階は赤ちゃんの時に通り過ぎてるだろ」
「…………」
「え、マジ?」
なんか深いところ突っ込んだ?
もしかしてコイツ、親御さんに喋り方とか教えられてない感じ?
「あー……ごめん、なんか変なこと聞いちゃったか」
「別に良い──それよりも」
「うおっ、なんだよ」
「どうやったら私も1ヶ月であなたみたいになれる?」
「舐めんな」
1ヶ月程度で私や姉ちゃんの域に辿り着けるわけねえだろ。それが出来るなら、私だって明宏にぶん殴られることはなかっただろうよ。
出会うことも無かっただろうけど。
「取り敢えず、やる気になったならその服からこっちに着替えろ」
用意しておいた道着。
うちの道場では、稽古の際にこれを着ることになっている。カミサマに失礼が無いようにってことだ。
「……」
「お、お前っ」
その場で服を脱ぎ捨てた姿を見て、少しだけドキッとした。
「サラシつけてんのかよ……」
「それが何?」
「胸の形が崩れるから、ちゃんとブラしろ」
「なんで?」
「なんでって……」
「崩れたところで、何が困るの?」
「見せる相手ができた時に恥ずかしいだろ」
「いないよそんなの。それともあなたはいるの? 見せる相手が」
「い、いや、別に……」
「別に、何?」
「…………」
「稽古に関係無いなら良いよね」
「──だよ」
「え?」
「これも稽古だよ!」
「………………どこに私のブラがあるの?」
「あっ………………きょ、今日の稽古は買い物だ!」
「そう」
つ⭐︎==く==V==>Д`)グエッ
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない