【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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12_押しに弱い(限定)

 気が付いたら実家のトイレにいた。

 そして蘇る、直前の記憶。

 

『おしっこ』

 

『はいはい』

 

 顔がすごーく熱くなった。

 アキはそんな事気にしないんだろうけど……ちょっとだけ、顔を見たく無い。

 アキが廊下にいない事を確認して、サッと洗面所に移動した。

 服を洗濯機に投げ入れ、お風呂場に入る。

 

「はぁ……」

 

 恥ずかしいところ見せちゃったな……と、少しだけ鬱な気分でシャワーを浴びる。

 酔いを覚ますため一瞬だけ冷水に変えて、そのあとは適温。

 スウウと肌を伝っていくお湯が心地良い。

 

「ふん、ふん、ふん」

 

 外で付着した汚染物質や汗を洗い流していく。

 鼻歌を唄うと、楽しい気持ちになる。

 アキのが移っちゃったよ。

 

 お金は、それ単体では価値が無い。

 でも、お金があると多くの価値あるものに触れることができる。

 私は、お父さんの影響で多くのものを見てきたと思う。

 英才教育ってわけじゃ無いと思うけど、知識、教養、色々なものを教えてもらった。

 アキは……正直、家庭自体は貧乏だったと思う。

 でも、少し歪だけど多くのことを知ってる。

 そしてその全てを、牛を食べる為に使ってる。

 勿体無いって思うと同時に、そんなアキじゃなきゃ助けてくれなかっただろうなとも納得してる。

 

「ふん、ふーん、ふ──」

 

「タオル置いておくぞ」

 

「ふひゃあ!?」

 

 扉越しの声。

 お父さんじゃ無い。

 幼馴染のものだ。

 そういえば、慌てていたからタオルを持ってくるのを忘れていた。

 

「変な声出すな、勘繰られたらどうするんだ」

 

「ご、ごめん……」

 

「俺は少しコウキさんと話してるから」

 

「分かった」

 

 スライドドアを抜けて、出ていった気配がした。

 身体の硬直が抜ける。

 息がフッと漏れた。

 

『────―!?』

 

『────』

 

 ……なんか騒がしくなった。

 お父さんは、アキの前だと子供みたいな一面がある。

 バレてないと思ってるみたいだけど。

 それにしても、デリカシーがない。

 年頃の女の子がお風呂に入ってるんだから、もう少し配慮とか……はぁ。

 

 お風呂から上がった。

 自室で寝巻きを着てリビングに行くと、2人はのんびりソファで話していた。

 2人とも脚を組んでいて、弛緩した空気が漂っている。

 

「──3級になって暫く経ったけど、どうだ?」

 

「別に? 等級が上がっただけで、すぐにできることが増えるわけじゃないんで」

 

「そうだろう、そうだろう──んんっ! 上がったか、美月」

 

「よっ」

 

 お父さんは私のことをちゃんと見たのに、アキは背を向けたまま一回だけ手を振った。

 あまりの雑な対応に腹が立ったので、デコピンを食らわせた。

 

「あだっ、なんだよ」

 

「詰めて」

 

「ああ」

 

 3人がギリギリのソファで、何故か距離を離すアキ。

 お父さんにピッタリとくっついた。

 いつもは距離とか気にしないくせに、一体どういう風の吹き回しなのか。

 

「なんでって……俺、風呂入ってないから汚いし」

 

「じゃあ入りなよ」

 

「ああ、じゃあ帰るか」

 

「え?」

 

「ん?」

 

「入りなよ」

 

「おう、だから帰るわ」

 

 意固地。

 頭が硬い。

 空気が読めない。

 

「──この家で入っても、帰る為に外出るんだから汚れちゃうだろ。俺嫌だよ」

 

「泊まっていけばいいだろ?」

 

「そうだよ、もう遅いんだし」

 

「なんでだよ……子供じゃねえんだから帰れるわ」

 

 親子2人で説得しているのに引かない。

 

「お父さん、何とかして」

 

「……明宏、今日泊まれば焼肉が──」

 

「お邪魔しました〜」

 

「ばか! 何で焼肉の話するの!」

 

「すまん……」

 

「ちょっとアキ! 待ってって!」

 

 廊下に出たアキの腕を掴む。

 振り向いたアキは、呆れたような表情を浮かべていた。

 

「ミナさん起きちゃうから、静かにな?」

 

「ねえ、ダメ?」

 

「うん」

 

「たまにはいいじゃん……昔みたいにさ」

 

「いや、コマちゃんがいるし……」

 

 コマちゃん。

 アキが飼ってるワンちゃんの名前。

 溺愛しているのは当然知っている。

 ダンジョンに順応して、頭が良くなっている犬だ。

 

「コマちゃん賢いんだから、自分で自分の世話くらいできるでしょ」

 

「それはそうだけど……まあいいや、久しぶりに泊まるか」

 

「よし、じゃあお風呂〜」

 

 背中をどすこいどすこいと押して、洗面所に押し込む。

 

「服はどうすりゃいいんだよ」

 

「そんなのお父さんの着ればいいじゃん」

 

「普通に嫌だ」

 

「そういう事もあるよ」

 

「ねぇよ、せめてパンツぐらいコンビニで買わせろ」

 

「はいはい、じゃあちゃんと戻ってきてね」

 

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