【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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20_中間貯蔵施設

 引き返す事を決断した。

 疲労、食糧の問題では無い。将来的には考える必要性が出てくるのだろうが、現時点ではどちらも火急の事として挙がっていない。

 ならば何故か。

 

 洞窟を進んでいくと、広い空間に出た。玉座の間にたどり着いたかとビビったけど、まだ壁の色は黄色だ。

 天井までの高さは100mはある。

 横幅は──わからない。どこまで続いているのか、あたりをつけることすら。

 

「…………中間貯蔵施設か?」

 

 塔がそこにいくつも聳えていた。

 半透明の固体の中に物が閉じ込められている。

 まるで、水に沈めた色とりどりの絵の具のような状態だった。ほぼ形を保っていない物があれば、きれいそのまま残っている物もある。

 

「……!」

 

 クロウラーの大軍勢が、通路状に整備された場所を歩いていくのが視界の端に見えた。一瞬でも身を隠すのが遅ければ、見つかっていただろう。そうなれば、あいつらを全て相手する必要があったかもしれない。

 数えるのも億劫になる数だ。戦いにはならないだろう。

 

 クロウラーとは昆虫様のモンスターたちの総称であり、貝殻の洞窟ではスネイルに隷属して生活している。当然、敵だ。

 奴隷から解放してやれば味方になってくれるなどという都合の良い展開は無い。スネイルを絶滅させたら今度はクロウラーどもがこのダンジョンを占領するのだろう。

 

 一目見ればわかった。

 奴らは、犠牲者の遺品を運んでいる。

 探索者達の肉体は食べられてしまい、残った物をこうして運んでいるのがあのクロウラー達というわけだ。

 

「……」

 

 眉根が寄った。

 酷いものだ。誰かの人生の証が、ここには集められている。

 こんな無造作に。

 纏められて、溶かされて、最後には玉座を飾る宝飾品にされるのか。

 

 塔の根元では、綺麗に残っているものと溶けて混ざった物が分けられていた。

 混ざったものはクロウラー達がどこかへ運んでいく。

 綺麗なものは、スネイル達が運んでいく。

 向かう先は大きな通路だった。この空間からつながっている中では最も大きい洞窟、きっとあそこが……

 

 出来るなら玉座の間もチラッと見ておきたかったが、それは出来そうにない。玉座の間に繋がるであろう通路の入り口には、剣を持ったスネイルウォリアーが2体。

 見た目も、さきほどの奇妙なやつよりさらに人型に寄っている。強さも、門番をやるに相応しいのだろう。

 単純な数値として考えると、レベル70とレベル35の間を守っているのだから、その中間以上と考えるのが無難だ。

 

「無理だな」

 

 あの二体と戦うなら、その前に雑魚達を片付けなければいけない。雑魚と言っても相対的な話だし、クロウラーがサボらない様に見張っているスネイル達もそこに加わってくるだろう。

 多くはスネイルウォリアーで、手に剣やら槍やらを持っている。

 等間隔に配置されたモンクスネイルは異能を有していて、火やら氷やらを扱える。ナメクジ如きにそんな高等なものが使えるのか、実際のところは既に体験している。遠近ともに戦えるタイプで、ウォリアーよりも厄介だ。

 

 そして、一際目立つ体躯。

 アレがビッグスネイルだな。言ってしまえばデブのスネイルだけど、質量は力だ。レベルにしたら少なくとも40以上ではなかろうか。

 あの巨大さ。魔剣の刃も中まで届かないから、俺には殺し切る術が現状だと存在し無い。

 

 以上を、パッと見で判断して帰ることにした。

 コレは無謀というやつだ。

 石だけチョチョイと取って帰ろう。

 

 

 ──────

 

 

「ただいま」

 

「おかえり! う゛っ……」

 

「シャワー浴びて良い?」

 

 街行く人には既にその反応いただいてるんだよね。

 受付の光原ちゃんも鼻摘んでたし。

 

「お風呂沸かしてくるから、ちょっと待っててね! 外で!」

 

「はーい」

 

 臭いからお家入らないで! ということだ。

 気持ちは分かる。

 俺も洞窟に入る前は、中から流れ出てくる据えた臭いでやる気半減してたから。中に入っちゃえば慣れたけど。

 順応ってすごい! 

 

 ……早苗ちゃん以外が誰も来てくれない。寂しいな、これが親友に対する態度か? 

 

「──お待たせ! お風呂入れてきたよ!」

 

「ありがとう…………三人は何してるんだ?」

 

「稽古中!」

 

「あ、そういうね」

 

 じゃあしょうがないか。

 

「アキヒロ、帰ってきて──うわ、くっさ!」

 

 しょうがないのでこっちから挨拶しにきた。練習場にはいなくて、敷地内を探したら2人は滝に打たれている様だった。山田はそれを見ている。

 滝行──セイシンシュギョーってやつ? 

 足音で振り向いた時はちょっと嬉しそうな顔してたのに、いざ近づいたらこれですよ。

 

「離れろ! 今稽古中なんだよ! ……くっせ!」

 

「匂い程度で稽古成り立たないんじゃダメだろ」

 

「それとこれとは話が別だ! バカ! くさひろ!」

 

(´・ω・`)クサヒロ……

 

『──お湯加減どーお?』

 

(´・ω・`……

 

『ヒナタちゃんも心配はしてたんだよ?』

 

(´・ω・……

 

『でも、アキヒロくん本当に臭かったから』

 

(´・ω…………

 

『リュックにも匂いがこびりついちゃってたんだけど……リュック捨てて良い?』

 

(´・…………

 

『中身は捨てないからさ! あんなの家の中に入れたら家が臭くなっちゃうし!』

 

(´………………

 

『も〜、そんな拗ねないでよー!』

 

(………………

 

『寝てないんでしょ? ご飯、どうする?』

 

(`・ω・´)タベル

 

『じゃあ、みんなが戻ってきたら一緒に食べよっか!』

 

(`・ω・´)ウン! 

 

 

 ──────

 

 

「おかえりです」

 

「ただいま、滝冷たかっただろ」

 

「あはは……」

 

「アレはどういう修行なんだ?」

 

「わかんないです……」

 

 とりあえずやれって言われたからやったらしい。秋の水はまだ本格的じゃないとはいえ、結構冷たいんじゃないかな。

 何も分からずやるの辛そう。

 

「加賀美さんは三日間ずっとダンジョンに潜ってたんですか?」

 

「ダンジョン外の移動時間もあるから、まるまるじゃないけどな」

 

「ちゃんと寝られたんですか?」

 

「そんなわけないじゃん」

 

「えっ」

 

「あんな臭くてナメクジだらけのところで寝てられるわけないから」

 

「……そんなに臭かったんですか?」

 

「そこそこな」

 

 鼻が死んでいたので、早苗ちゃんのお弁当の美味しさも半減だった。

 

「あー、そういうこと言うんだー」

 

「もちろん美味しかったけど、鼻が効かなかったから……」

 

「ふーん」

 

 尚もジト目。

 許してちょ。

 

「ほ、ほら……ダンジョンの中で美味しく食べられなかった分、こっちで食べる時に美味しさが際立つ的な……なぁ、ヒナタ」

 

「知らねえよ」

 

 味方がいない! 

 かなり大変だったのに! 

 ウォリアーとモンクのコンビネーションとか結構エグかったのに! 

 凍らされたんだからな! 

 

「連絡ぐらいしてくれてもよかったのにねー」

 

「ダンジョンですが!?」

 

 電波じゃなくて魔素の共鳴を用いた通信とはいえども、魔素が濃すぎたら通りも悪くなるというものだ。

 

「クフフ、冗談だよ」

 

「な、何だ冗談か……」

 

「代わりにお土産は?」

 

「お土産? ……ナメクジの死骸とか持ってくれば良かった?」

 

「出禁だね、そしたら」

 

「ですよね」

 

 あの洞窟から持ってこられるものなんて無かったよ。仮にあったとしても全部遺品だし、人様にお渡しできるわけもない。

 

「あ、でも……」

 

 新しくなったリュックから、魔石を取り出す。

 スネイルから取り出したものだけど、金にはなるだろう。

 

「これなら」

 

「うっ!?」

 

「……三船くん?」

 

「あ、ご、ごめんなさい……う゛っ」

 

「もしかしてコレも臭い?」

 

 鼻を近づけても何も感じない。首を傾げていたら横から掻っ攫われた。

 

「風呂入ったはずなのにちょっと臭いなって思ってたらコレかよ! 外置いとけ!」

 

「…………」

 

 ショックだよ。

 内心で『こいつ臭いな』って思いながら接されていたのがすごいショックだ。

 まだ臭いよ、くらい言ってくれた方が良かったな……でも、魔石が臭いだけだよな? 

 

「ヒ、ヒナタ……臭くないよな?」

 

 魔石を外に置いてきた後、ちゃんと手を洗ってから山田に嗅いでもらった。

 

「……ちょっと臭いかも」

 

「えっ!?」

 

「ははっ! うそうそ!」

 

「ど、どっちだよ……」

 

「臭くねーって!」

 

 満面の笑みなんか浮かべやがって……

 臭いだろうなって思いながら臭いって言われるのはしょうがないから諦めるけど、油断してる時に何気なく臭いって言われるのはクリティカルヒットするんだよ……そこんところ、分かっといてちょうだい!?

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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