【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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22_料理でけた!

 

「う……うう……ミツキ、暑い………………」

 

 寝苦しさを感じて目覚めた。

 エグい虚脱感だ。

 エアコンが途中で切れた夏の朝くらい怠い。

 しこたま食ったので脱水症状はないはずだけど、背中に感じる熱が原因だろう。

 火炎に対しては多少の耐性があるが、こういう暑さはまた別だ。

 

「……いや、ヒナタか」

 

 よく考えればここは山田家だ。

 ミツキがいるわけ無い。

 壁を見ていた身体を動かそうとして、胴体に何かが触れていた。

 

「腕?」

 

 それは女の腕だった。

 アリサほどしっかりしてはいないが、ミツキほど細くも無い。

 誰かなんてわかりきっている。

 

「……寝ぼけてたのか」

 

 腕を外して振り返ると、元ヤンのねえちゃんが寝ていた。今の姿はお清楚なパジャマ姿なのでそんな雰囲気は微塵もないけど、俺は覚えてるぜ。

 

「はぁ……」

 

 胃が痛くなる思いだ。

 実際には痛くならないのがこれまた痛いポイントだな。

 

 人の気持ちってのは、とにかく制御が効かない。そいつのやりたいを止めるのは、やりたくないをやりたいに変えるのと同じくらい大変だ。

 少なくとも、脳みそ溶けかけの状態でどうにかできるものじゃない。

 

 あと、昨日の俺に言いたいんだが……万が一がどうとか寝ぼけてたけど、同じ部屋にいるのに布団離したくらいでなんか変わるわけねえだろ。

 

「顔洗ってこよ」

 

 時刻は4時36分。

 昨日寝たのが7時だから11、12……10時間ぐらい寝たのか。三日間おきてた割には短いよな。

 二度寝してもいいけど、一旦な。

 

「──ふぅ」

 

 まだ早い時間。

 空がはまだ暗く、外を散歩する気も起きない。仕方がないので部屋に戻った。

 

「すぅ……すぅ……」

 

「そーっと……」

 

 この際しょうがない。山田は俺の布団に寝かせて、俺が山田の布団に寝ることにした。

 

「ん…………」

 

「可愛い顔しちゃって、まあ……」

 

 普段はもう少し険しい顔をしているけど、あれはやっぱり作っているということなのだろうか。起きている時だと、ここまで穏やかな表情を見せるのは珍しい。

 

「あらら」

 

 口に髪がかかっていた。放っておいたらモグモグしてしまうかもしれないのでどかす。

 

 昨夜に関しては何がしたいのか分からなかったけど、もしかしたら久しぶりに会ってテンションが上がっていたのかもしれない。そうだとしたら、少しだけ申し訳ないことをした気分になる。

 

 言い訳をするとしたら、仕事をしてたら人と会う都合がつけづらくなることぐらいあるだろってことなんだが。

 そんなことを口に出しても何にも良いことはない。口は災いの元とはよくぞ言った物だ。

 

「……ふぁ」

 

 

 ──────

 

 

「おはようアキヒロくん……んん〜……リビング連れてってー」

 

 背中でむにゃむにゃ言ってる早苗ちゃんをリビングに連れて行くと、あれを取って、それを取って、こう切って、と指示を出される。

 

「そしたら火つけてー」

 

 言われるがままにやっていくと、知らぬ食材がいつの間にか一口大になっていた。

 俺にはどうやらラジコンの才能があったらしい。

 

「中火でトコトコしててー」

 

 硬いやつから突っ込んで炒めていたら、指示が無くなって寝息に変わっていた。

 

「くぅ……くぅ……」

 

 ここから先は創作料理をしろってこと? 

 難易度高いぜ実際。

 男の料理っつったらとりあえず肉を入れるもんだけど……

 

「これ、使って良いのか?」

 

 人様の家の冷蔵庫を勝手に漁って良いのだろうか、いいや全然よくない。

 

「早苗ちゃーん、次はどうすれば良いんだー」

 

 背中を軽く揺すって尋ねるも、全く起きない。しょうがないのでおんぶをしたまま料理を続けた。

 早起きした結果、お母ちゃんみたいなことをする羽目になるとは。

 

「──なにしてるの」

 

「ああ、おはよう。早起きだな」

 

「なにしてるの」

 

「朝飯作ってる」

 

「ふーん」

 

 三船くんはまだ寝ているのだろうか。6時半だから、全然寝てておかしくない時間だけど。

 稽古だから朝早く起きて滝行け、みたいなの無いのか。 

 

「言われてない」

 

「そか」

 

 言われてないなら良いやな。どうせ昼間はヒナタ達の指示に従って色々やらされるんだ。無駄な体力を使う必要も無い。

 

「三船くんの事、どう思う?」

 

「弱い」

 

「ははっ! そうか!」

 

「戦士じゃ無い」

 

 そうかもしれない。人間ってのは面倒臭いもんで、動物よりもよほど感情の色が多い。動物のくせに戦うことができないって奴もいる。

 いわゆる草食系ってのは、そういうやつのことを指すのではないかと思う。

 

「でも悪いやつじゃ無いだろ?」

 

「……さあ」

 

「まだ分からないか」

 

「1週間かそこらで分かるわけない」

 

「思い切りのいいやつだな」

 

 どんなやつかも分からないやつとパーティーをいきなり組んだ、と。最終的に話を持ちかけたのは三船くんからだけど、そこまでの盤面を組んだのはシエルだ。

 何か琴線に触れるものがあったのだろう。

 

「1人じゃ限界が来る」

 

「おっと、それは俺にも刺さるな」

 

「あなたは、なんで1人でやってるの?」

 

「常に1人ってわけじゃない」

 

「論点のすり替え、答えに──」

 

「よいしょー!」

 

 炒め終えた食材を大皿に移し、保温用の覆いをかぶせた。雑談は雑なので、料理の方が大事なのである。

 おかんに任せとき! 早苗ちゃんの指示通りに作ったことによってまともな料理になってるはずだ! 半分ぐらい寝てたけど! 

 

 早苗ちゃんをソファーに寝かせて腰を下ろす。ちゃんと毛布はかけてあるぞ。

 

「なんだっけ、1人でご飯を作ってた話だっけ」

 

「1人で探索者をやっている理由」

 

「あーそうだったな……方向性の違いってやつだ」

 

「?」

 

「目的を共有出来ないからチームとしてうまくいかないってのは、よくある話だろ?」

 

「無い」

 

「あるとして話を進めてもらわないと終わっちゃうんだけど……」

 

「それで?」

 

「ああうん……俺も変なやつとパーティーを組みたくないからさ、そういう話があると面接とかしてたわけ」

 

「めんせつ」

 

「わかる? 面接、バイトとかでしたことない?」

 

「知らない」

 

 何も無いじゃねえか! どうやったら説明できるんだよ! 

 俺の言語能力が足りないせいですか!? 

 

「面接ってのは……その人がその仕事に対して適性があるかどうかを、こうやって話したりして見極めていく作業だよ」

 

「……」

 

 口をへの字に曲げて天井を見上げた。

 その後、目があっちこっちに行ったかと思うと小さく頷く。

 

「何となく分かった?」

 

「うん」

 

「じゃあ話を戻すけど……パーティー組もうってなったら面接をするんだけどさ、大体話が合わないんだわ」

 

「なんで?」

 

「わからん」

 

 俺が人生2周目だからかもしれない。

 

「あと、そもそも面接の時間に来ない奴もいる」

 

 そんな奴は信用できないので普通に切り捨てる。

 お話にならん。

 この場合は子供だとしても関係無い。

 大の大人でそんな奴がいるのは呆れたものだけど……見極めるための一助になっているから良いだろう。

 

「無駄なんじゃない? 面接」

 

「もう少し気楽にやったほうがいいって言われたこともあるけどな、呆れるぜ」

 

 仮にも仕事なんだぜ。

 俺たち程度のレベルのやつなんか、実績なんてあってないようなもんだ。どうしたら信用を稼げるかって考えるもんだろ。

 全体のうちの、ほんの一部だけどな。

 大体はちゃんと話して、その上で合わないだけだ。

 

「?」

 

「ん、なんか変なこと言った?」

 

「あなたがおかしいだけだよね?」

 

「…………そうかもな」

 

「変な人」

 

「そんな言葉を現実で聞くことがあるなんてな」

 

「?」

 

 なんだコイツという視線を受けながら、早苗ちゃんを撫でて時間を過ごした。

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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