【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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25_全敗

「んゆ……」

 

 案の定、三船くんは寝ていた。萌えキャラみたいな寝息を立てている。

 

「三船くん、起きて」

 

「ん……」

 

「三船くーん」

 

 全く起きない。全身筋肉痛+疲労+風呂上がりで完全に整っちゃってるよコレ。

 

「寝かしといてあげたら?」

 

「ダメだろ」

 

 台所にいる先生2人で方針が真逆だ。ちなみに俺はヒナタと同意見。ご飯食べないと大きくなれないからな。

 

「お前それ一生言ってるよな」

 

「普通のことだからな」

 

「おいレイト、起きろ」

 

 まさかのソファーに一発蹴りを入れやがった。

 

「そんな乱暴にしたらかわいそうだろ……三船くん、ほら起きれる?」

 

「……気持ち悪っ」

 

「気持ち悪くねえだろ」

 

「気持ちわりぃから。そんな猫撫で声、どこから出してんだよ」

 

「猫撫で声じゃないけど……?」

 

 そこまで気持ち悪い声は流石に出してない……と思う。人前でそんな声出さないでしょ、普通。

 

「どいて」

 

「お、おお……」

 

「えい」

 

「!?」

 

 シエルがビンタを1発入れた。

 本気じゃないけど、結構痛そう。ちょっとだけ赤くなったし。

 

「いった……」

 

「起きた?」

 

「うん」

 

「はい」

 

 マジックを成功させたかの如きドヤ顔。実際は人を叩き起こしただけだ。

 

「ご飯できた?」

 

「出来たぞ」

 

「ううん……」

 

 伸びをして身体を起こす。

 途端に、小さく顔を歪めた。

 

「いたたた」

 

「ほら、起きて」

 

「いててててて」

 

 おじいちゃんみたいな足取りで進んでいく。全身筋肉痛という言葉に嘘がないというのがよくわかるな。

 

「ふぅ……」

 

 やっとこさ食卓につき、息を吐いた。

 じゃあ──手を合わせて

 

「いただきます」

 

「いただきます、ねえ」

 

「食材にちゃんと感謝して食うんだぞ。雨にも負けず、風にも負けず、魔素にも負けずに育ってくれたんだから」

 

「料理した私達への感謝もしろよ」

 

「もちろん」

 

 今日はシチューだった。味付けが濃いわけではないけど、煮込んだ具材の味が溶け出てスイスイ食べられる。三船くんもあっという間にお椀の中身を食べ終えてしまった。

 

「遠慮せずおかわりしな」

 

「…………」

 

 それを聞くとお椀を持ってスッと立ち上がり、鍋に向かう。やっぱり腹ペコだったんだな。

 さて、俺もおかわりするか。

 

「お前は既に三杯食ってんだろ」

 

「アキヒロくんはおわり〜!」

 

 これが友達に対してすることか……? 

 

「食い過ぎなんだよ!」

 

「まだまだ食えるぞ」

 

「食うな! ドラゴンかお前は!」

 

「あんな化け物と一緒にするな!」

 

 俺がドラゴンだったら冷蔵庫丸ごと食い尽くしてるぞ。

 

「とにかく終わり!」

 

 

 ──────

 

 

「2人だとあんまり食べないから、こういうの久しぶりなんだよねー」

 

「…………」

 

「作りすぎちゃったかと思ったけど、2人とも予想外に食べるから……まさか一晩で全部無くなるなんてね」

 

「ごめん」

 

「ふふ、良いんだよ。食べてくれる人がいるって嬉しいからさ」

 

「ちゃんとお金は出すから」

 

「うん! 流石にあのペースで毎日食べられたらお金無くなっちゃうからね!」

 

「またまたぁ」

 

「ふふふ」

 

 道場に通うこと自体が地元のコミュニティを兼ねてるみたいなところもあるので、結構な人が来る。月謝でそこそこの稼ぎはあるだろう。

 

「あの、さ……」

 

「うん?」

 

「ちょっと散歩しない?」

 

「食後のね、良いよ」

 

 山田家の敷地もそれ相応に広い。山を一つ持ってるみたいなもんだからな。そして山の中腹の段にあるのが屋敷やら道場やら、一番上には墓がある。そこまで歩くことにした。

 

「ここの階段、ちょっと一段が高いんだよね」

 

「削れば?」

 

「流石にそこまでやるとなると大変だから……身長が伸びれば良いしね!」

 

「……伸びるの?」

 

「伸びるの!」

 

「…………」

 

 もう何年も身長伸びてないのに、ここから伸びるのだろうか。

 

「コラーッ! 失礼なこと考えてるでしょ!」

 

「考えてないよ」

 

「見たらわかるんだからねっ」

 

「失礼なことは考えてないって」

 

 ごく当たり前の疑問を思ってただけだ。神様に出くわしてこうなったなら、自然現象で戻る事はないんじゃないか。もう一回神様に出会えばもしかしたら……ぐらいか。

 

「いっぱいご飯食べてるもん」

 

「じゃあ、大きくなるかもな」

 

「うん! ……あ、そろそろ着くね」

 

 山と言っても、そんな高いやつじゃない。丘と言い換えても良いくらいのものだ。そうじゃないと食後の散歩場所に選ばないしな。

 

「とうちゃーく」

 

「…………」

 

 綺麗に清掃してある。

 管理自体は任せているらしい。

 流石に墓の管理までしてたら時間無いしな。

 

「顔も知らないご先祖様達のお墓が今もこうして残ってるの、不思議だよねー」

 

 不思議だと感じないのは、俺にとっては当たり前の景色だからだろう。墓石に名前を掘って埋めるという文化。とても金がかかるし、労力もかかる。

 

「お父さん、アキヒロくん連れてきたよー」

 

 それは、ここにあるモノの中では一番金が掛かってなさそうな墓だった。中心からは外れたところにあるし、小さい。

 他の墓石を真似て、名前が彫ってある。

『山田 鳴人』

 それがこの墓の主の名前だった。

 

「──あ、やっぱりここか」

 

 少しだけ遅れてヒナタがやってきた。

 いなくなった俺たちを探していたらしい。

 

「なんでこんな時間に墓なんか連れて来たんだ?」

 

「散歩!」

 

「散歩で墓って……よくお前も着いてきたな」

 

「……むしろ、一番最初に来るべきだったかもしれない」

 

「そうか?」

 

 お盆は、無い。

 墓を大事にするという文化も。

 あくまで火葬して、好きなところに埋めるだけだ。

 少しだけ寂しいけど、これに関しては仕方がないという側面もある。

 集まれば集まるほどに、人の想いが宿る。墓は、死者にとっては安らぎの場所であり、遺されたものにとっては感情を整理する場所でもある。それ故に、ダンジョンになりやすい。

 だから、墓地という一体管理の場所を作る事自体が、商工会によって禁止されている。

 ここがダンジョンにならないのは、お参りをするのがこの2人と、生徒達と、あとは俺くらいだからだろう。

 それもナリヒトさんだけで、他のご先祖様達は見向きもされない。

 悲しいな。

 

「おい」

 

 首に回った腕。

 シャンプーの匂い。

 聞き慣れた声。

 

「なーに辛気臭い顔してんだよ」

 

「ん」

 

「さっさと済ませようぜ」

 

「そうだな」

 

 両手を合わせて、2人が立派にやっていることを報告した。少し長くなってしまったせいで飽きたのか、今し方立派にやっていると報告したばかりの2人が突いてくる。

 

「えいっ、えいっ」

 

「早くしろ!」

 

 報告内容を少しだけ変えた。

 立派かどうかは知らないけど、元気にやってます。

 

「まーだー?」

 

「長えよー」

 

「身体冷えちゃうー!」

 

「あほー」

 

「…………よし、行くか」

 

「「あ、終わった」」

 

「君たちさあ……4ヶ月ぶりに挨拶するんだから静かにしててくれよ」

 

 君たちが静かになるまでに3分かかりましたとかそういうレベルじゃなかった。

 

「そんなこと言われても」

 

「飽きるほど来てるし」

 

「俺は! 久しぶりに! 来てるの!」

 

 主役 is 俺! 

 

「はいはい」

 

「じゃあ戻ろっかー」

 

 こいつら、自分のお父さんの事なのに冷たすぎやしないだろうか。変に引きずるよりは良いのかもしれないけど、ぞんざい過ぎると──いや、それで良いか。

 俺がきちんとしてればそれで良い。

 家族ってのはそんなもんだ。

 だって、そうじゃないと……アイツがずっと悲しんでるってことになっちゃうもんな。

 

 

 ──────

 

 

「──あ、戻ってきた」

 

「…………んぅ……」

 

「どうにかして」

 

 三船くんがソファーで寝てしまって、シエルが困っていた。何故そうなる前に寝室に行かなかったのか。

 

「脱力してるから重い」

 

「見ててくれたのか」

 

「一応」

 

 布団に運ぶのは無理だけど、隣にいてくれたらしい。俺が言ったことを覚えててくれたのだろうか。あるいはブートキャンプの成果が既に出始めているのかな。

 

「歯は磨いたか?」

 

「子供扱いやめて」

 

「コレは俺が運ぶから、行こう」

 

「…………」

 

 起こさないようにゆっくりと運んだ。寝室では何故かヒモが畳の上に置かれていて、どかしたら怒られた。足引っ掛けたら危ないと思うんですけど。

 

「ここからこっちは私、そっちはその人」

 

「その人とかあなたとか言ってないで、名前で呼べば?」

 

「……まだ早い」

 

「そうですか」

 

 その気があるなら良いや。

 

「おやしみ」

 

「ん」

 

 半ば頭の隅の方に追いやっていたけど……俺、今日はどこで寝るんだろう。

 アイツの部屋なのかな……そうだよな……だって昨日、よく分からん理屈に負けたし。

 

「今日はこっち〜」

 

 早苗ちゃんが手招きをしている。しかし、賢い俺には一つだけ解決方法が見えていた。

 

「空いてる部屋はダメ?」

 

「ダメ〜」

 

 一つだけ、空いている部屋があるのだ。誰の部屋かと言えば当然……なわけだが、今日は誰もいないので許されるのではなかろうか。

 という甘い考えは一瞬で打破された。

 

「俺、バチとか当たらない?」

 

「──私のこと、嫌いなの?」

 

「好きだよ」

 

「わーい!」

 

「……」

 

 ま、いっか……みたいな気分にさせてくるのはとても強い。実際、早苗ちゃんなら変なことも起きないだろう。

 

「──だから布団うつすわ」

 

「おい、納得いかねーぞ! なんでそんなあっさりなんだよ!」

 

「ヒナタ……世の中って納得いかないことばかりだよな……」

 

「な、なんだよ……」

 

「じゃあ、おやすみ」

 

「お──」

 

 布団を敷くと、露骨に早苗ちゃんのテンションが上がってきた。疲れとかないのか? 体力、無尽蔵なのか? 

 

「ゲームしよっ!」

 

「……久しぶりに一丁揉んでやるか」

 

「負けたら顔に墨ね!」

 

「え」

 

 

 ──────

 

 

 ぷぁぁぁぁぁぁん! 

 強いよぉぉぉおおお!

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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